しゃぼん玉とんだ

このところあまり見かけなかったアオサギが

湖岸で佇んでいました。

私が近づくとあわてて飛びたちました。

ようやく終わろうとしている夏。

夏の間にジュリーとの距離が

少しだけ近づいたような気がします。

天気のいい日は

みんなお気に入りの場所でまったりしています。

今日は富士山は雲の中です。

こたろうは湖岸の茂みがお気に入り。

ここは風通しがいいのです。

「ジュリー帰るよ」
と言うと、オシリを振り上げて走りだします。

駐車場の入り口でお別れ。

「また夕方来るから待っててね」


　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　
約束通り夕方行くと、

ジュリーは寝て待っていました。

「ジュリー、お待たせ」

「………」

時間がたって、富士山を隠していた雲が

すっかり消えました。

夕焼けが期待できそうです。

夕暮れ時を桟橋で過ごす

クロベエとこたろうとしっぽ。

石碑裏の土管の中に

あんずがいました。

このところ、あんずの姿をよく見かけます。

陽がだいぶ傾いてきました。

湖岸もこたろうも

　　　　　夕陽に染まっています。

桟橋の奥で水鳥が餌を探していました。

遠くてよくわかりませんが

くちばしの形から見て、カモの仲間のようです。

こたろうが桟橋のゲートをくぐりぬけて

様子を見に行きました。

陽が沈みます。

こんなに美しい時間なのに

こたろうったらクロベエに

ちょっかいを出してばかりいます。


綺麗な日没です。

その日没を、私のすぐ横で

おじいちゃんとおんなの子が見ていました。

携帯で夕陽を撮るおじいちゃん。

女の子のお母さんとおばあちゃんは

アウトレットに行っているそうです。

おんなの子はお買いものより

おじいちゃんといることを選んだのだと

おじちゃんが得意そうに話してくれました。

ただ一つ、カメラを預けてしまったことを

後悔していました。

こたろうとナナが警戒しているのは

二人がリードなしで犬を連れているからです。

でも犬たちは猫を気にも留めません。

陽が沈みました。



女の子はしゃぼん玉を持ってきていました。

唇を尖らせて

フーッとやさしく息を吹きかけると


富士山がしゃぼん玉に包まれます。


静かな夕暮れです。

いつか大きくなったとき、

　　今日の夕暮れを

　　　　思い出してくれるでしょうか…？

足元にしっぽが絡みついても

女の子はいつまでも

しゃぼん玉を吹き続けていました。