ひなた逝く
御殿場では四月の第二週が花の見ごろを迎えます。
4月の始めから我が家の前の桜並木も
夜にはライトアップされます。
そして4月10日は我が家のお花見でした。
毎年楽しみに来てくださる方も多く、
恒例行事なので外すわけにはいきません。
中には近くのホテルに泊まる人たちもいます。
ひなたのことが心配で先生に相談して、
ひなたのためにもなるべく長い時間、点滴をしたほうがいいので、
病院に入院させることになりました。
そしてお花見。
桜はほぼ満開。
天候にも恵まれ、暑いくらいの春の陽ざしです。
我が家の前は桜並木で、市の桜祭りの会場にもなります。
秩父宮記念公園から我が家の前にかけての通りに
模擬店なども出て賑わいます。
我が家では駐車場で大宴会をするので
時々、通りがかりの人が店と勘違いして入ってきます。
今年の参加者は25人。
いつもよりは少な目です。
それでもおおいに盛り上がりましたが
心の片隅にはいつもひなたがいました。
いつ病院から電話がかかってくるかもしれないと、
携帯を肌身離さず持っていました。
参加者の中にもひなたを知る人は
心配してくれていました。
そんなわけで写真を撮る余裕がありませんでした。
湖をぐるりと囲む土手に植えられた桜が見事です。
夕方、お泊り組みが帰った後、
ひなたを迎えに病院へ。
ひなたは私たちが迎えに行くのを
頑張って生きて待っていてくれました。
「ひなちゃん、頑張ってましたよ。
体温が下がってきているので、温めてあげてください」
と担当の辻川先生。
病院のスタッフの間でもひなたはすっかり有名で、
みんなが心配してくれています。
我が家について、しばらく家人と交代で体をさすったり
水を含ませたりしていましたが、
メールをチェックしに二人で事務所に行き、
数分後、私が戻ってみると
ひなたは眠るように死んでいました。
苦しんだ様子もなく、最後に見たときのまま、死んでいました。
身体にはまだぬくもりが残っていました。
ひなたは我が家の行事が終わるのを
ちゃんと待っていてくれたのです。
散歩夫人がいざという時のために用意しておいてくれた
真っ白なタオルにひなたを寝かせました。
そして今日、雨の中、散歩夫人、散歩嬢も立ち会って
散歩嬢が庭に咲いた花を摘んで備えてくれました。
元気ならばこうして花吹雪の中にいたでしょう。
そして桜の頃になるとひなたを思い出すでしょう。
ひなた、沢山の思い出をありがとう
そして安らかに。
みんなを見守っていてね。