命の力
動物病院に行く前に、
ひなたを東山湖に連れて行きました。
死ぬ前にもう一度、
自分の家の東山湖に連れて来て、
みんなに会わせてあげたかったのです。
奥の駐車場で籠を開けてあげると
ひなたはむっくりと頭を上げました。
どこにそんな力が残っていたのか・・・。
これだけでも驚きでした。
でもさらに驚いたことに、
歩き出したひなた。
(足に巻いているのは点滴用の針です)
自分のテリトリーに帰ってきたことが分かったようです。
ひなた、心なしか満足気です。
目にも力があるように感じます。
いつもとは違う時間なので
猫たちはみんなどこかに行っています。
大きな声で名前を呼ぶと
お腹を揺らしながらナナが出てきました。
奥の茂みにすみれちゃんを見つけたので、
「すみれちゃん」と名前を呼ぶと出てきました。
すみれちゃんはひなたに近づくと、
私のほうを見て切なそうに「ミャ~」と鳴きました。
「ひなちゃんを何とかしてあげて・・・」
とでも言っているようです。
駐車場の一番奥の茂みから
こたろうがひょっこり顔を出しました。
こたろうはひなたのそばに来たものの
自分から籠に入ってしまいました。
すみれちゃんがこたろうを窘めているようです。
ひなたを籠に戻すと、すみれちゃんが来ました。
心配そうに気にするすみれちゃんです。
その時こたろうが突然籠に乱入。
ひなたの上に乗って、匂いを嗅ぎます。
こたろうはひなたが死にそうなのが分かっていません。
困ったヤツです。
でもひなたは嫌がっていませんでした。
無神経と言うか、
これがこたろう流なんでしょうか?
それにしても、今朝のひなたの行動は奇跡です。
明日をも知れぬ命と言うのに
こうして自力で動こうとするのですから・・・。
与えられた命を精一杯生き抜こうとしている
『命の力』をひなたから教えられました。