京阪電車には、面白い駅がある、と知ったのはテレビ番組とYouTubeだった。それは「びわ湖浜大津駅」。京都市内の京阪三条駅から地下鉄路線、専用軌道、急勾配の坂を越えて路面を走った普通の複数車両を連結した編成の列車が駅に出入りする。あまり見たことのない景色に惹かれて、一度行ってみたいと思っていた。大阪の北浜駅から京都出町柳行きの特急に乗り込み、京阪電車自慢の複々線をぶっ飛ばして京都の三条駅に到着、ここから先は未知のルート、まず三条駅を「こんなんやったかなぁ?」と記憶を辿りながら広い地下街的な道を表示を頼りに地下鉄を探す。昔枚方市に住んでいた頃の三条駅は京阪電車の終点、たしか地上にあったはずだ。しかし大阪梅田の地下街までとは言わないが、大きな地下空間になっていて、外国人の方の姿もちらほら見られた。地下鉄に乗り込むと京阪電車と同じ色の編成の車両が地下のトンネル、66.7‰(パーミル)の急勾配を走り抜けて行く。そして知らぬ間に車両は地上の専用軌道から自動車も走るアスファルトの路面へと出て走っていた。目的の「びわ湖浜大津駅」に到着し改札口を出て歩道橋(ペデストリアンデッキ)に出てみると、目の前の交差点には不思議な光景が見えた。



そのシーンにワクワクして、急いで地上へ降り、動画を撮った。インスタグラム(↑)用、だ。

地上で撮ったらまたデッキ上に戻って撮影、

振り返ると

すぐそこに琵琶湖が見えた。小さな男の子が大きな声でお父さんと話しながら歩いている。

「ねぇパパ、滋賀県には海はないけど、世界一の湖があるんでしょ?」

ボク、それはきっと「日本一」やなぁ。笑


この土地ではええ子が育つやろなぁ、などと考えながら昼メシを探す。目星をつけていたラーメン屋「万両力石」さんに訪店。券売機でチケットを買ってカウンターに座って食べていると、窓のすぐ外の店の前の路面を長い車両が走って行く。



ラーメンも美味しくいただきながら、撮影タイミングを待ち、ラーメン杯から電車へのパンを動画に収めた。

京都市内の全面ガラスのホームドアのある駅からトンネルを抜け、急勾配の坂を登っていつのまにかクルマや自転車と並んでのんびり路面を走る電車には、バブル期から長いトンネルのような「失われた30年」を走り抜け、デジタルトランスフォーメーションとマルチメディア化・グローバル化を経験して障害者となり、トップスピードでは走れなくなった自分の姿が重なって見えた。ゆっくりと交差点を通り抜けた後にぶわーっと走り出すクルマが周囲の人や同僚に思えた。割と障害者には優しいルート、良ければ一度訪れてみられてはどうだろうか。