私は右の脳で「脳内出血」したため、左半身が完全に麻痺(俗に「片麻痺」と言う)
している。
そしてリハビリ専門の病院での半年間の入院とリハビリの結果、何とか杖を突いて歩けるようになった。
「歩く」と言ってもまず片脚に乗り、バランスを取りながら反対の脚を前に振り出す、そしてその脚に乗る、また反対の脚を振り出す、その繰り返しで、前に進んで行く。自分の身体を文房具の「コンパス」に例えると、2つの脚を頂点を軸に左右に交互に降り出して歩くと、といった感じだ。しかしこの方法ではなかなか歩行スピードが上がらない。少し広い道幅の道路だと、青信号のうちに向こう側まで渡り切れない、ということになりがちだし、駅のホームで電車が発車するアナウンスやチャイムがなり始めると間に合わない、ということになりがちだ。
そこでスピードアップするためには、必死で脚をぶん回していた。
しかしこれはさすがに危険だ。そこで先日リハビリの先生(理学療法士さん)に相談したところ、とても効果的な方法を教えてくれた。
それは、脚の前面の筋肉を意識して使う、というモノだった。もしかするとリハビリ病院で入院中にも教わったのかもしれないが、すっかり忘れていた。
それはまず、姿勢を高く保ちながら、脚を踏み出した時に反対の脚の前側の筋肉が張る(ゴムのように伸びて「張る」)のを意識して、その筋肉が縮むチカラを利用してその筋肉に引っ張ってもらって脚を前に振り出して伸ばすのだ。それを左右交互に繰り返せば、単に左右交互に脚を振り回して歩いていたのとは全然違う感覚=筋肉で脚を前に振り出している感覚を感じることができ、歩くスピードも間違えなく上がる(上がった)。
そういえば、中学校の時、保健体育の授業では短距離走の走り方は身体を前傾させて走る、と習ったのに、クラスで(学年で)一番脚が速かった友人は、背筋を伸ばしてまっすぐ立ち上がるような姿勢で走っていたのを思い出した。あれはそういうことだったのか。
身体障害者になって「リハビリ」に取り組んでいると、今まで50年以上使って来た自分の身体に新しい発見をするばかりだ。
次は「左腕」と「左手(指)」の動かし方にチャレンジだ。