倒れて入院してから最初に気づいてお見舞いに来てくれたのは中学校時代の友だちだった。遠く姫路から駆けつけてくれて本当にありがたかった。脳が「ぼー」っとした状態で何だか毎日起こっていることがうまく理解できていない時に来てくれて、少し自分を取り戻せた気がしたのを憶えている。
その後も会社に戻ったり誰かと会う度に「倒れるなら良い奥さんと友だちいる時にした方がいいですよ。」と言っていた。それは本心だ。この存在がなかったら、間違いなく今も病院のベッドで寝たままだったと思うし、心から感謝している。
中でも中学校の友だちは、ある時言い出してくれた人がいて同窓会的に集まって再会し、そこからあらためて仲良くなってお盆休みや正月に姫路に帰省する度に集まって飲んだりカラオケしたりするようになった仲間たちだった。ちょうど脳内出血で倒れたのもゴールデンウィーク前で、帰省してカラオケに行く約束をしていたタイミングだったので、意識が戻って携帯のメールを見たら「今日のカラオケには来ないの?」というメールが入っていたりして、慌ててそこで間違えて返信してしまったりしたものだ。
古い友だちに会うとぼやけていた昔の記憶が会話と共に戻ってくる。無くなりかけていた自分が再生されていく感じがする。
その後、高校の時の友だちもお見舞いや飲み屋で激励会を開いてくれたりした。一番の仲良しだった友だちが思いがけず近所に住んでいたりして、彼も本当にパワーになった。会社の上司や同僚の人たちもお見舞いに来てくれたが、古い友だちはやはり違った感覚と力をくれる。
本当なら定年退職でもした後にじっくり交流を深めるはずだったのかもしれないが、彼らがいてくれたことが自分の人生で最大のピンチを乗り越えさせてくれた。
そういう意味では奥さんも大学時代の友だちだ。気がつくと多くの友だちに支えられて生きている。
もし会社の同僚であっても、知り合いの人が同じように倒れるとかピンチになったら、必ず駆けつけて力になろう、と心から思っている。それが助けてくれた友だちへの自分なりの「恩返し」だ。「お見舞いで会いに行くこと」が思っているよりも大きな励ましになることが良く分かった。それに気付かせてくれた彼らに心から感謝だ。ありがとう!これからも友だちでいましょう!