【死は私たちに平等におとづれる】
 
生まれては死ぬるなりけりおしなべて
釈迦も達磨も猫も杓子も / 一休宗純
 
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一休禅師はたくさんの歌を
詠んだことで知られ、それが
『一休道歌』という歌集となっ
て残っている。
 
これは、その歌集の中の一首で
ある。
 
「みんな生まれては死んでいく
存在であるということに変わり
はない。お釈迦様をはじめ、
達磨のような高僧、猫や杓子に
いたるまで、やがては死に、
あるいは壊れる」ということだ。
 
そのほかにも有名な道歌がある。
 
「ほとけにも なりかたまるは 
いらぬもの 石仏らを 見るに
つけても」
 
(石仏のようにかたまってしま
うことはない。何ごとも大らか
な気持ちで受け止めなさい)
という有名な歌がある。
 
また以前で紹介した
「世の中は 食うて糞して寝て
起きて さてその後は死ぬるば
かりよ」
 
も、よく知られた一休禅師の
道歌のひとつである。
 
これらに共通するのは、
「人はみな生まれては死んでい
く。それについてはみな平等で
ある。だから無用に心をかき乱
すな」
という考え方である。
 
こうした歌を詠みながら、人々
を救い歩いていたのが一休禅師
である。
 
その思いを、現代の私たちも
少しは汲み取りたいものである。
 
 
「心を解き放つ禅の名言」
から引用