私は日記を書こうと思った。今日ではなく昨日の日記の続きを書こうと思った。

しかし、書けない。書いては消している。全てが白々しいし、なにも表現できていなかった。私が書きたいことはなんだろうか、書きたくないことは書きたくないという、そういう我儘なところがあるのだ。
ああ、そうだ、「きれいなお姉さん」と呼ばれるのは、嬉しかった、笑顔で返した。

期限付きでしょう、と世の中は言う、「きれいなお姉さん」でいられる期間は限られているのは知っている。若さは有限だ。でも、「きれい」は有限ではないことは知っている。祖母も、母も、「きれい」と言われていた。若くなくなっても、老人になっても、美人は美人だと言われるし、「きれい」と言われる。祖母は焼かれる直前まで、「きれい」だった。

私は私の顔を見て美しいとは思わないし、不満はたくさんあるけれど、総合評価として「きれい」と言われ続けたいという欲望はある。生まれつきの顔の造作だけではない努力が必要だ。特別な美形ではない、粗はたくさん、ある。そもそも、私の肌が美しかったことはない。

また何行も消した。
私は欲望を晒してどうしたいのかわからない、どう思われたいのかわからない、でも今日も鏡を見て化粧をしなければならない。唯一の救いは、私の容姿は商品だということだ。商品でもないのにあれこれ選評されるのは耐えられないから、商品にしているのかもしれない。

昨日の日記、ですが、美しい人をたくさん見て、美しいと思ったということも、書きたかったんです。これは本当です。

美しい女性が好き。
美しい女性になりたい。