無駄な時間はただ無駄な時間だけを浪費するのではなく無駄な時間を過ごした記憶がその後の生活を病ませることがあるので非常に恐ろしい恐ろしいものだが私は昔から無駄な時間を過ごしたという後悔を重ね続けすっかり人生を無駄にしてしまっていると思っていてこのスパイラルに嵌るとなにが恐ろしいかというと本当のあるべき人生の姿というものを頭のなかで作り上げてしまうことであり現実が現実でなくなるというのも繋がっていないからで記憶と記憶が繋がっている気がしないので今この瞬間が私の現実の人生そのものであるという実感が薄いということでつまりこれは嘘で頭のなかの私のほうがだんだんリアリティを持ち始めしかも更に細かくつくり上げるために例えば遠い土地の賃貸物件を調べインテリア雑誌を見て現実的な妄想の糧にしたりするがそれも嘘でとにかく全てが嘘のようで私が私の知覚を信じるしかないのだが指先の冷たさは感じられてもそれと過去との連続性はない。