こんにちは。福井のお菓子屋西勘堂西畑雄介です。
今日は大事なのはレシピじゃなく〇〇についてお話しします。
本題に入る前にお知らせをさせて下さい。
最近塩どらが大人気になって来ております。
暑くなって来たから?
ネクストブレイクに選ばれたから?
よくわかりませんが、毎日売れてます!
ホームページからご覧下さい!
‥では本題です。
さっそくタイトル回収で今回の結論にもなりそうですが
大事なのはレシピではなく素材です。
世の中には、数えきれないほどのレシピが溢れています。
料理サイトを開けば、名店の味を再現するレシピから、時短・節約レシピ、映えるレシピまで、誰もが簡単にアクセスできるようになりました。
テレビを見ればカリスマシェフが華麗な手つきで料理を作り上げ、その「レシピ」が注目を集めます。
まるで、素晴らしい料理を作るためには、素晴らしいレシピさえあれば十分だと言わんばかりの風潮です。
もちろん、レシピは重要です。
分量、手順、火加減。
これらを正確に守ることで、初心者でも玄人でも誰でもある程度の水準の料理を作ることができます。
特に、複雑な料理や初めて作る料理においては、レシピが道標となることは間違いありません。
しかし、本当にそれだけで「美味しい」ものが作れるのでしょうか?
更にその料理やお菓子の作り手の想いは、後世に伝わっていくのでしょうか。
レシピ傾倒の落とし穴
現代社会は、とかく「効率」や「再現性」を重視します。それは料理の世界も例外ではありません。
誰もが同じように作れること、失敗しないこと、そして一定のクオリティが担保されること。
レシピはそのための強力なツールとして、私たちの料理を支えてくれています。
確かに現代は人手不足な上に、労働基準などが見直されているのでどうしても「効率化」はどの職種でもキーワードになっています。
しかし、その一方で、私たちは何か大切なものを見落としているのではないでしょうか。
レシピ通りに作れば作れるけれど、なぜか「あの店」の味にはならない。
あるいは、以前作った時とは何かが違う。そんな経験はありませんか?
そこには、レシピだけでは語り尽くせない調理の「本質」が隠されています。
本質は、一つ一つの素材が持つ力にある
私が考える料理の真髄は、突き詰めれば「素材」そのものが持つ味わいや物性にあります。
想像してみてください。
熟れたレモンのあの甘みと酸味のバランス、みずみずしさ。
そして、切ってもないのに解き放たれている香り。
あるいは、獲れたての新鮮な魚をシンプルに塩焼きにした時の、ギュッと締まった身の食感と豊かな旨味。
これらは、どんなに精巧なレシピでも再現できない、素材そのものが持つ「力」そのものです。
素材には、それぞれ固有の個性があります。採れた時期、育った環境、鮮度、そして品種。
これら一つ一つが、一期一会で最終的な料理の味を大きく左右します。
例えば、同じ「じゃがいも」でも、男爵とメークインでは煮崩れ方が違い、向いている料理も異なります。卵一つとっても、黄身の色、白身の弾力、コクの深さは様々です。
優れた料理人ほど、この素材の個性を最大限に引き出すことに心を砕きます。
野菜なら、その野菜が一番美味しくなる切り方、火の入れ方。魚なら、その魚の身質に合わせた締め方や調理法。
素材が持つ本来のポテンシャルを見極め、それを損なわずに、あるいはさらに引き伸ばす工夫を凝らすのです。
レシピは素材の魅力を引き出す「手段」
決してレシピを軽んじているわけではありません。むしろ、最高のレシピとは、その素材が持つ魅力を最大限に引き出すための「手段」だと私は考えます。
黄金比率とはよく言ったもので、先人の知恵が脈々と受け継がれています。
それこそ数え切れない人の、数え切れないほどの失敗を積み重ねているからこそ今日の時短メニューや美味しいお菓子や料理を食べれている事に感謝しなければなりません。
先人達の数え切れない挑戦と失敗の積み重ねが今の私達の食文化を築いています。
この事は子々孫々と伝えるべき内容です。
そして
素晴らしいレシピは、素材の個性を理解し、それを最も輝かせることができるように工夫されています。
例えば、ある野菜を煮込むレシピであれば、その野菜の繊維の向きや火の通り方を計算し尽くしているでしょう。
ある魚を焼くレシピであれば、その魚の脂の乗り具合を見極め、最適な温度と時間を指示しているはずです。
素材の力を理解せず、ただレシピ通りに作っても、感動的な味には出会えません。
素材の声に耳を傾け、その個性を尊重し、それを最大限に活かすためにレシピをどう「活かす」か。ここに料理の奥深さがあります。
私達はその奥行きのある素材と向き合いながら、理解を深めながらレシピという知恵でお菓子や料理を作っていくべきだと思います。
まとめ
私たちは、もっと素材そのものに目を向けるべきです。
スーパーで食材を選ぶ時、その野菜がどこで、どのように育ったのか。魚はいつ獲れて、どれくらいの鮮度なのか。
そんなことに思いを馳せてみてください。
そして、手にした素材が持つ「本来の力」を感じ取ってみてください。
そうすれば、レシピは単なる指示書ではなく、素材と対話し、その魅力を引き出すための素晴らしい道具になるはずです。
料理の喜びは、完璧なレシピをなぞることだけではありません。
目の前の素材と向き合い、その声を聞き、どうすれば最も美味しくなるかを考える。そこにこそ、真の創造性と、忘れられない「美味しい」素晴らしい味わいが生まれるのです。
それではまた。