第145話 『必殺の一撃』  (Bパート)

 

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【B班作戦室】
 
B班全員とUST全員、それにカジ参謀が来ています。
 
カジ
「このあと、4軍の合同会議があるが、
 その前に我々、コマンド軍の、
 作戦方針を、決めておきたい。
 
 遠慮はいらないので、忌憚の無い意見を頼む。」
 
シズカ班長が促すと、ユウキが立ち上がります。
 
ユウキ
「とりあえず、ここまでの経緯をおさらいします。」
 
スクリーンに、画像とデーターが映ります。
 
ユウキ
「レンジャーと名付けられた、この怪獣は、
 これまで5日前、3日前、昨日と、
 2日おきに、出現しています。
 
 さらには、洋上での小型タンカー襲撃事件と、
 石炭集積場の襲撃。
 これらは未確認ですが、目撃報告や、
 現場の爪あとから、レンジャーの仕業と思われます。
 
 最初の出現確認は、阿賀洲C3水力発電所。
 この直前には、ガスタンクを襲っていたと思われ、
 すぐ続けて、発電所に現れたところを、
 ≪アーク1号≫が確認、交戦状態に入りました。
 
 ≪アーク≫は、ロケット弾攻撃中心、
 レンジャーは、火を吹いて暴れていました。
 
 しかし、現着まで時間があったせいか、
 レンジャーは、程なくして撤退。
 地中に潜って逃げました。
 
 会敵2回目は、柳動ガス田。
 この時は、出現場所の推定が出来ていたため、
 陸軍にも協力を要請。
 
 石油、石炭、ガスをエネルギーに、火を吐く怪獣との前提で、
 冷凍弾中心の、作戦を立てて攻撃。
 
 ところがレンジャーは、冷凍噴流を吐いて反撃。
 ナパーム攻撃はガスで消され、再び逃げられました。
 
 3度目は、先日の亜下(あした)水力発電所。
 UST、空軍、陸軍の合同作戦で、
 発電所に現れるであろう、レンジャーに対し、
 川中に誘い込んで、冷凍弾で動きを止める作戦でした。
 
 ところがレンジャーは、溶解液で氷を融解。
 3軍に、反撃して来ました。
 
 この時までに確認された、怪獣の武器は、
 火炎、冷凍噴流、不燃煙幕ガス、糸、溶解泡、固形液、
 電撃、爆裂弾、徹甲弾状の針、閃光、振動波。
 突風と水中での水流、尾からの毒液らしき物。
 そして空を飛び、地中移動し、水に潜ります。」
 
ゴウリ
「こんなめちゃくちゃに、手数の多い怪獣は始めてだ。」
 
ユウキ
「そうですね。
 こちらにとって、有利な材料は、
 敵は大規模エネルギー拠点を、狙うと言う事。
 この点は外れが無く、出現場所の想定は容易です。
 
 ただ、待ち伏せには、成功出来ても、
 接敵後、それ以上の手数、対応力で、
 取り逃しているのが、現状です。」
 
リオ
「冷静に、分析すると、
 一つ一つは、それほどでもないんですよね。
 
 過去の事件や、データーと比較しても、
 冷気はペギラの方が、遥かに強力だし、
 高熱もザンボラーには、遠く及びません。
 
 溶解液の危険度も、アボラスの方がずっと上です。
 陸軍の装甲車両は、時間的にはだいぶ持ってます。」
 
ドノバ
「人間ならむしろ、器用貧乏で、
 どれをやらせても、半人前以下って感じだが…」
 
アカイ
「だが、それらの選択・組み合わせで、
 ことごとく、先手を取られている。
 
 溶解液も強力過ぎれば、先に自分が溶けちまうだろう。
 相性もあるだろうが、氷だけを溶かして脱出している。」
 
ゴウリ
「人間の方がしてやられるって、どう言う事なんだよ?」
 
ナワテ
「空・陸軍の強みは、大規模な組織戦闘です。
 
 でも、それ故に、戦術変更には時間もかかるし、
 臨機応変な、個別対応は苦手です。
 
 怪獣は1体だけなので、好き勝手に暴れられる。
 ここまではその差が、出てしまっています。」
 
ユルガ
「シズカ班長、次の出現予測は出来るか?」
 
シズカ
「それは可能です。」
 
と言って、スクリーンに地図を出すと…
 
シズカ
「おそらくは、ここ。
 手深武(てぶかむ)原発ですね。
 
 第2候補として、手深武と同じ海岸沿いの、
 新型の、ネオコール火力発電所と、
 内陸の、追望(ついぼう)原子力発電所。
 
 ネオコールは火力としては、出力の高い、
 試作的な化学反応式ですが、ネオコール、
 追望共に総出力は、手深武の半分以下です。」
 
ユルガ
「ナワテ、
 とりあえず、手深武原発を調べて、
 地形的、位置的な面から、
 作戦を考えては、もらえんか?」
 
一瞬、顔が曇るナワテ。
 
ナワテ
「で、でも、一度失敗しています。
 
 ぼくが、作戦を立てても、
 また怪獣に、出し抜かれたら…?」
 
クロス
「いいえ、結局、誰かが作戦を立てるなら、
 やはりこう言う事は、ナワテさんが適任でしょう。」
 
ゴウリ
「そうだよ!
 立てて無理なら、誰かが反対するだろう。
 
 立案は誰でも、承認した時点で、
 みんなの意志で、みんなの責任だ。
 
 それに、今度こそ、俺が倒してやるよ!」
 
ユルガ
「2人の言う通りだ。
 安心して自由に、提案だけしてくれれば良い。
 そこからは我々も、一緒に考える。」
 
ナワテ
「そ、そう言う事なら…」
 
と、壁際の席に、ナワテが移動すると、
手を上げて、ドノバ、続いてヒデコも移動します。
 
ドノバ
「なら俺も、手深武原発と、
 地理のデーターを拾います。
 
 調べて送るのは、俺がしますから、
 ナワテさんは検討する方に、集中して下さい。」
 
ヒデコ
「あたしも、そっちやります。
 怪獣対策よりは、お役に立てるわ。」
 
ナワテ
「すみません。」
 

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ユルガ
「さて、肝心の怪獣対策だが…」
 
シズカ
「とりあえず、熱攻撃と冷凍系はダメですね。
 ともに防がれて、しまっています。」
 
ユリコ
「電撃系は? まだ試して無いわよね?」
 
ユウキ
「確かにそうですが、有効射程まで入れば、
 怪獣も電撃で、反撃が出来ます。
 
 と言うより、溶解液、固形液を使われたら、
 攻撃システムに、不具合が出かねません。」
 
クロス
「と言って、空から攻撃すれば、
 また、糸や冷気で、妨害される。」
 
ユルガ
「麻酔弾や麻痺系は、試したか?」
 
ユウ
「陸軍がやりましたが…、ダメでした。
 
 抗体か耐性が、あるようです。
 発信機の類も、すぐ落ちてしまいました。」
 
ユリコ
「溶解液や、固形液を出す、
 頭の穴だけでも、ふさげないかしら?
 こっちも、粘着弾のような物で。」
 
ユウキ
「まず、頭に当てるのが、難しいでしょうし、
 怪獣の溶解液の、成分が不明な以上、
 ふさいでも溶かされる、可能性があります。」
 
ユリコ
「ダメかぁ」
 
リオ
「じゃあ、逆に、
 可爆性の燃料弾を、頭に吸着させて、
 怪獣が、電撃を出すのを、待つのは?」
 
クロス
「出さなかったら?」
 
リオ
「あー…」
 
ユリコ
「そうねぇ。
 
 何か頭に付いたら、使ったとしても、
 溶かすための、溶解液とかでしょうねえ。」
 
アカイ
「こうして見ると、確かに厄介だな。
 ああ打てば、こう返すと言う怪獣は。」
 
一瞬、静まり返って、みんな考え込みますが、
ゴウリが、口を開きます。
 
ゴウリ
「だったら、もう、超強力な爆弾一発で、
 吹っ飛ばせば、いいじゃんか?」
 
最初は「え?」と言うような、空気が漂いますが…
 
ゴウリ
「ああ、打てば、こう、返されるってさ。
 将棋やってんじゃ、無いんだから。
 
 なまじっか、弱点を突こうとするから、
 返し技の事を考えちまって、堂々巡りだろう?
 
 だっから、もう、ウムを言わせぬ、
 超強力な爆弾の、一撃で、
 木っ端微塵に、吹っ飛ばしてしまえば、
 返し技とか次の一手なんか、無いじゃんか。」
 
ここで、アカイが口を開きます。
 
アカイ
「そうだな。
 かえってシンプルで、良いかも知れん。」
 
クロス
「確かに… つい怪獣の特性中心に、
 対抗策を、考えちゃってたけど。」
 
ユルガ
「なるほど。
 問答無用の超強力爆弾で、倒すか?」
 
ユウキ
「待って下さい。
 
 しかし現場は、原発ですよね?」
 
ここでまた、あっ?と言う空気になりますが、
今度はすぐに、後ろからナワテが呼びかけます。
 
ナワテ
「待って下さい。
 その作戦、行けます。」
 
ユリコ
「どう言う事?」
 
ナワテ
「今、見ていたら、
 手深武原発は、非常時に備えて、
 半・フロート構造に、なっています。
 
 炉心部を含めた、バイタルパートは、
 海上退避、させられるんです。」
 
クロス
「それなら、怪獣を足止めだけ出来れば…」 
 
シズカ
「ええ。行けますね!」
 

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【科学センター第9研究室 製作工場】
 
新型の重爆弾を前に、USTに説明しているナワテ。
 
ゴウリ
「これなら、間違い無さそうだな。」
 
カワベ(第9研究室長・科学センター)
「ただ、威力を内向きに調節している以上、
 必ず直撃が、条件です。
 
 シミュレーションでは、50センチ外れただけでも、
 威力は13から4%にまで、激減します。」
 
ゴウリ
「大丈夫だよ。
 動きを止めてくれる事が、前提だし、
 誘導爆弾だろ?」
 
ナワテ
「あてにならないですよ!そんなの!
 
 こんな重量、サイズの誘導なんて、
 実測無しの、シミュレーションに過ぎないんです!
 何としてでも、一発必中させないと…」
 
と、急にまくし立てる、ナワテの勢いに、
驚いたように、半歩下がるゴウリ。
 
ゴウリ
「わ、わかったけど…
 
 何でお前が、むきになって怒るんだよ?
 ちゃんと、当てるからさ。」
 
ナワテ
「あ、い、いえ… その。」
 
ヒデコ
「はい!」
 
と、
テーブルのコーヒーを、手に取ると、
ナワテに渡す、ヒデコ隊員。
 

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【手深武(てぶかむ)原発】
 
こうして3軍の承諾を得て、USTと、
陸海空軍の、合同待ち伏せ作戦が始まりました。
 
USTは≪アーク3号≫が、艦載機を下ろし、
16トン誘導重爆弾を搭載して、ゴウリが待機。
 
通常装備の≪アーク1≫号に、ユルガ隊長、
ナワテ、ユリコ、クロスが乗ります。
 
陸軍と空軍は、ワイヤーアンカーの、
投射機を持った車両、機を第一陣とし、
本隊を、原発周囲に伏せて、
海上には海軍艦艇が、陣取りました。
 
また、念のため、ネオコール火力発電所と、
追望原子力発電所にも、陸軍の1部隊を配置しました。
 
待つ事、数時間…
 
ゴウリ
『現れないですね。
 
 勘の良い怪獣だ。
 もしや、こっちの動きに気付いて、
 ネオコールか追望に、行っちまったんじゃ?』
 
ユルガ
「だとすると、まずいな。
 そっちには、最小限の部隊しか…。
 
 う、来た!?」
 
と、地中から頭を出して、辺りの様子を伺います。
ところが中々、出て来ません。
 
ナワテ
「車両も航空機も、偽装している。
 
 怪獣にはまず、わからないはずだが…」
 
ユリコ
「でも、明かに、これまでとは違うわ。
 なんか、怪しんでいるみたい?」 
 
やがて怪獣は、頭を出したまま、
そのまま地面を潜りながら、原発に近づきます。

 


 
クロス
「やっぱり、警戒しているんだ。」
 
ナワテ
「これじゃ、ワイヤーを撃てませんよ。
 ど、どうしましょう?」
 
ユルガ
「やむをえん。
 とにかく攻撃して、地中から出そう。
 
 3軍に作戦変更と、攻撃指示を。
 ≪アーク1号≫、出よう。」
 
全員
「了解!」
 
怪獣が、周囲を警戒し、
このまま半地中を、移動されては、
ワイヤーによる、奇襲攻撃を、
かけられないため、
一度地面から、出す事にしますが、
この時点ですでに、奇襲では無くなっていました。
 
怪獣は四方に電撃、爆裂弾を放って反撃し、
ワイヤー車両、ワイヤー搭載機は苦戦。
 
さらに、ワイヤーに気付いた怪獣は、
ガスを出しながら、羽ばたき、
砂地の地形で、砂塵を巻き上げ、
取り押さえ作戦は、完全に失敗し、
怪獣はついに、空に逃げてしまいました。
 
ユルガ
「どっち行った?」
 
ヒデコ
『海岸線を移動中。
 
 ネオコール火力発電所です。』
 
ナワテ
「まずい。
 ネオコールと追望には、小部隊しか。」
 
ユルガ
「移動可能なここの部隊を、全軍ネオコールへ!
 
 陸軍は、間に合わんかも知れんな。」
 
ナワテ
「計算上、ワイヤーは、
 半分でも、十二分な量のはずですが、
 空軍だけとなると、厳しいかも…」
 
ユルガ
「それでも今は、やれるだけやるしかない。

 強引だが、同じ手をもう一度は、

 あの怪獣には、通じんだろう。
 
 ネオコールへ、緊急警報。
 すぐに発電を停止させ、全職員を避難させてくれ。」 
 
ヒデコ
『了解』
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 

 
【ネオコール火力発電所】
 
飛来した怪獣レンジャーが、ネオコール守備の陸軍部隊と、
すでに戦闘を、開始しており、
追撃して来た≪アーク1号≫、≪3号≫も戦線に参加します。
 
徐々に空軍部隊も追いついて、戦闘に参加、
ただ数的には、さほどでも無いので、
今度は怪獣も踏み止まって、反撃し続けています。
 
≪アーク1号≫は、3機に分離して攻撃、
ゴウリの≪アーク3号≫は、重爆弾を搭載している事もあり、
距離を取っての、間接攻撃で援護しています。
 
そんな時…
 
ユルガ
『なんだって?
 職員が避難をしない?』
 
ヒデコ
『ネオコールは、原子力でこそありませんが、
 新式の反応発電は、デリケートで、
 急停止は、最悪、爆発の危険があるそうなんです。
 
 どうしても人の手で、調整しながら止めるしかなく、
 最短でも、1時間弱はかかると…。
 
 現在、所長以下、最小限の人数で、
 停止作業に、当たってくれていますが、
 それでも38名が、施設内に残っています。』
 
ユルガ
『怪獣を倒すか、1時間守り切って、
 発電所に近づけないかの、どちらかしか無いのか?』
 
ナワテ
『最悪だ…。
 
 すみません。』
 
ゴウリ
『隊長、こうなったら思い切って、
 ワイヤー無しで、重爆弾を…』
 
ユルガ
『それはダメだ。
 
 人の命が、かかっている時に、
 万が一の賭けは出来ん。
 
 それくらいなら、取り逃がしたほうがまだ良い。』
 
ゴウリ
『しかし…
 
 しかし、発電所を襲われたら、結局は…』
 
ユルガ
『とにかくまずは、何としてでも食い止めよう。
 希望は、この怪獣は不利とわかれば逃げる。
 
 我々ががんばり、その間に3軍が追いつき、
 こちらが、数的に有利になれば、
 諦めるかも知れない。』
 
ゴウリ
『わかりました!』
 
≪アーク≫の他、海軍の空母艦載機と、
空軍の先発部隊が、楯となって迎撃しますが、
空軍主力は、まだ十数分、
陸軍、海軍主力は、さらにもうしばらく、かかりそうでした。
 
航空機のみの、比較的単調な攻撃のせいか、
怪獣の糸、冷凍噴流で次々に失速、
墜落や不時着していきました。
 
ユリコ
『帰って欲しい時には、粘るわね。』
 
クロス
『やはり戦力的に、足元を見られているのかな?』
 
ユウキ
『それもあると、思いますが、
 これだけのエネルギーを、使う怪獣です。
 
 自身の、エネルギー補給と言う、意味でも、
 これ以上獲物を、逃したくないのでしょう。』
 
ヒデコ
『隊長、ネオコールが振動が激しすぎて、
 作業が進まないと、言っています。
 何とか、なりませんか?』
 
ユルガ
『今、それは、さすがに無理だ。
 
 怪獣を離せれば、良いんだが…』
 
ヒデコ
『あ、ネオコール炉心加熱。
 このままでは、溶融の可能性が。』
 
クロス
『残弾、撃ちつくしました。
 地上攻撃します。』
 
ユルガ
『やむを得ない、もう充分だ。
 職員を、避難させてくれ。
 
 ネオコールは、放棄しよう。』
 
ヒデコ
『それが…
 今からでは、間に合わないから、
 停止作業を続けると、言っています。』
 
ユルガ
『冗談じゃない!
 何としてでも、避難させてくれ!』
 
ナワテ
『ダメです。
 怪獣がネオコールに、取り付きます。』

 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
建物の壁を、背にして、
ウルトラホープを、フラッシュさせるクロス。

 


 

 

 
今まさに、建物を崩そうとしていた、怪獣の下から、
大きく現れて、怪獣を蹴り倒すゾフィ。
怪獣は建物の、反対側に倒れます。
 
起き上がりざま、チョップを浴びせ、
さらに首投げで一度、二度投げ飛ばすと、
そのまま怪獣を絞めながら、飛び上がります。
 
ゾフィはしばらく、海に向かって飛ぶと、
沖の小島に降りました。
 
向き直ると、電撃を放つ怪獣。
が、
これはゾフィが、手で弾きます。
 
逆に、ゾフィが手から火炎を出しますが、
今度は怪獣はガスを出して、消して行きます。
 
冷凍噴流を、バリアで防ぐと、
スラッシュ・ショットを連射。
これは次々に当たり、怪獣がひるみます。
 
そこに、ローリング・ビームを放つと、
完全では無いものの、時折小爆発を起こしながら、
怪獣の動きが、鈍くなります。
 
さらにエンテングル・スネーク・ショットを放ち、
光のロープがうねり、スパークしながら、
怪獣に巻きついて、動きを止めます。
 
その様子を見ると、そのまま空に飛び立ちました。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*

 


 
【ネオコール火力発電所】
 
ネオコール発電所の、そばに降り立つと、
空に向かって、ウルトラ・ギャラクシー・スコールを発射。
 
光の銀河が、中空に現れて、
そこから雨のように、光の雫が降り注ぎます。
 
光が降り続ける中、ネオコール全体が、
静寂と涼気に、包まれて行きました。

 


 
ヒデコ
『隊長、ネオコールから連絡。
 炉心が徐々に、冷えて行くそうです。
 
 原因は、不明だそうですが、
 発電システム、全体が沈静化。
 
 溶融、過爆の可能性は、
 ほぼ無くなったそうです。』
 
ユルガ
『そうか…
 
 危機一髪だったな。』
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【沖の小島】
 
動きが鈍りながらも、やはり耐性があるのか、
何とか海に、這って行こうとする怪獣。

 


 
空・海軍の、ワイヤー搭載機が、
ここぞとばかりに、散発的に、
攻撃をかけ続けますが、まだ電撃、糸、
徹甲弾の棘で、反撃します。
 
ゴウリ
「いや、これだけ動きが鈍ければ当たる。
 あとは、任せてくれ。」
 
と、
上空から誘導重爆弾を、投下するアーク3号。
 
すさまじい爆発が上がり、爆煙が晴れた後は、
中心は更地になり、怪獣の姿はありませんでした。
 
ゴウリ
「こっちも、必死だったとは言え、
 こんな無粋な倒し方で、すまなかったな。
 
 一つ一つの武器は、それほどでも無いって言ってたが、
 実際、お前さんは、強かったぜ。」
 
ナワテ
「勝ちました!
 
 勝ちましたね!」
 
ゴウリ
「ああ。
 
 余り、勝った気はせんがな。」
 
爆心地に向かって、敬礼するゴウリの後ろ、
ネオコール火力発電所の脇から、ゾフィが飛び立つと、
そのまま空に、消えていきました。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 

 
【海岸】
 
釣り人風の中年男性と、片手杖の老人が、
離れ島~のその様子~を見ていました。
 
中年男性
「強いじゃないか。
 
 USTは。」
 
老人
「怪獣が強いから… 強くなるのかも知れん。」
 
中年男性
「ああ、それはわかる。
 相手が強いと、強くなるよ。
 
 おっと。
 こっちは逃げられたようだ。」
 
釣竿を上げて、苦笑する中年男性。
 
【第145話・終わり】

 
☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

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