第074話 『臨海防衛命令(前編)』

 
球形海獣ワースター 

地底怪獣サイドライン 

     

もし、ウルトラセブンの最終回のあと、
TVでゾフィが始まっていたら?の妄想ストーリーの第074話。

 

海洋に現れた怪獣。が、USTは地元自治体の要望で、

中々思うように、攻撃する事が出来ずにいました。

 
【UST=防衛チーム】
 
ユルガ(隊長)
ゴウリ
ナワテ
ユリコ
ヒデコ
クロス
 
【IDM=地球防衛機構】
 

(Bチーム=情報技術班)
シズカ(班長)
ユウキ
ドノバ
アカイ
リオ
ユウ
 
カジ(UST参謀)
 
マトバ(防衛海軍参謀・IDMN司令)
 
【その他・ゲスト】
 
久橋茂好(千剣村 村長)    
高田忠治(畳宝崎市 市長)

 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

  

【太平洋上】
 
航行している漁船に、海面から背びれが出て、
だんだん近づいて行きます。
 
漁船は慌てて、よけようとしますが、
かわし切れずに、そのまま背びれが激突。
 
やがて怪獣が海面から顔を出し、
船を破壊し始めます。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【太平洋上】
 
到着する第1艦隊、軽巡≪雨境≫(あまざかい)
 
艦長
「遅かったか…。」
 
副長
「≪あすは≫艦載機がついた時点で、
 すでに怪獣の姿は、無かったそうですから…」
 
艦長
「とにかく、生存者の救助だ。
 それと、本部に連絡を。」
 
副長
「了解。
 
 あ、USTです。」
 
艦長
「ご苦労様だが…同じく遅かったな。
 
 なんなら生存者救助を、手伝ってもらえ。」
 
副長
「打診してみます。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*


 
【UST作戦室】
 
浮かない顔で入って来るゴウリ、ユリコ、クロス。
 
ゴウリ
「すみません。
 
 到着時には、影も形もなく…」
 
ユルガ
「先に海軍から連絡が来たよ。
 ご苦労だった。」
 
カジ
「海洋怪獣か…
 
 行動範囲も広ければ、見つけにくい。
 厄介と言えば、厄介だな。」
 
ヒデコ
「海軍もパトロールを、強化してくれていますが、
 なにせ、索敵範囲は海全体ですし。」
 
リオ
「生態から割り出せたら、良いんですが、
 まだデーターが、少なくてねえ。
 
 今、ユウキさんが、ウンウン唸ってます。」
 
ユリコ
「当面は海軍の、人海戦術頼みかしらねえ。」
 
クロス
「とりあえずは島しょ部や、人のいる場所だけでも、
 ガードとパトロールを、固めては?」
 
ユルガ
「積極策では無いが、それしかないだろうな。
 まさか、ヤマを張るわけにも行かん。」
 
こうして、海軍とも共同で、
洋上の警備、パトロールに重点が置かれた数日後、
ついに怪獣が現れます。
 
それは九州南方、屋久島の南の小島、
千剣島(せんけんじま)でした。
 
海軍が先制攻撃をかける中、
USTも≪アーク1号≫で、現場へ向かいます。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
が、
先に攻撃を始めていると思った、海軍第2艦隊は、
小口径銃や模擬弾、音波砲などの限られた武器での、
牽制攻撃に、徹していました。
 
ゴウリ
「何やってんだ? 海軍は?」
 
ユリコ
「何か、事情がありそうですね。」
 
と、そこへ海軍から、連絡が入ります。
 
実は、島の近海には、サンゴ礁があるため、
ここでは、戦わないで欲しいと、
千剣村役場から、強い要望があったとの事でした。
 
ゴウリ
「な、何、言ってんだ!?
 そんな事で!」
 
ユリコ
「そんな事って、言っても、
 島の人達にとっては、大切な事なんじゃないの?」
 
久橋茂好(千剣村村長)
『そうです。
 
 どうか珊瑚礁を、荒らさないで下さい。
 何とか一度、別の場所へ誘導して…』
 
ゴウリ
「そんな事、言ったって、
 相手は、考えのわからない怪獣だぞ?
 
 結局、珊瑚礁に来られれば、同じ事だし、
 島に上陸でもされたら、どうするんだ?」
 
久橋茂好(千剣村村長)
『しかし珊瑚礁は、島の大切な宝で、
 同時に唯一の、観光資源でもあります。
 
 それに比べたら、村の家くらい、
 壊れても、建て直せる。
 
 でも、珊瑚礁は一度失ったら、
 お金を出せば、買えると言う物でも無い。
 島の生命も、同じなんです。』
 
ユルガ
「わかりました。
 
 すでに海軍も、作戦を開始している。
 我々も、出来るだけの事はしましょう。
 
 それで駄目なら、またその時はその時だ。」
 
ゴウリ
「隊長が… そう言われるなら。」
 
久橋茂好(千剣村村長)
『どうかお願いします。
 
 珊瑚礁が、全滅でもしたら、
 村だけが残っても、もうおしまいなんです。』
 
ゴウリ
「なんてこったよ。
 
 実戦で手加減なんて。」
 
ユルガ
「ゴウリ、大切な物は人それぞれだ。
 
 地元の意向を、無視していたら、
 何かを、守った事にはならんぞ。」
 
ゴウリ
「そりゃあ…
 
 それも、わかりますが…。」
 
ユリコ
「牽制や誘導は、撃破より難しいわ。
 
 腕の見せ所よ、ゴウリ隊員。」
 

 
こうして≪アーク1号≫も、
レーザーや小口径砲での、威嚇射撃中心に、
まずは怪獣を、サンゴ礁から引き離すべく、
誘導作戦を、優先しました。
 
結果、
珊瑚礁への突入は、何とか回避した物の、
怪獣にはほとんど、ダメージを与えられないまま、
取り逃がして、しまいました。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*


 
【UST作戦室】
 
ユルガ
「申し訳ありませんでした。」
 
カジ
「いや…
 
 私も、複雑な気持ちだが、
 先ほど千剣島役場から、感謝の電話があったよ。
 
 珊瑚礁を守ってくれて、ありがとうと。」
 
ユリコ
「ありがとう。か…
 
 我々攻撃は、失敗かも知れませんが、
 防衛には、成功したってわけですよね。」
 
ゴウリ
「しかしなあ、
 今回1回、防衛に成功しても、
 撃破しない限り、また現れる。
 
 最初の1回目で、撃破していれば、
 2度目以降の防衛は、すでに成功と同じだ。
 
 でも、撃破が無い限り、何度防衛しても、
 また次の、防衛作戦が待っている。
 
 怪獣側の、敗者復活戦を、
 延々と、やり続けるような物だぞ。」
 
ユルガ
「まあ、そのうち、
 撃破のチャンスも、来るだろう。
 
 今は素直に、防衛を喜ぼう。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
そして、海軍の懸命な索敵によって、
ハッキリでは、無いにしても、
徐々に近づいて来るらしい、怪獣の動向で、
戦力を九州側に、展開させていきます。
 
痕跡や目撃情報から、九州に向かうと、
推測出来たからです。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
やがてついに、九州南方、
鹿児島、畳宝崎(じょうほうざき)沖で、
目標怪獣が、確認されます。
 
このままの進路なら、九州上陸を、
目指しているように、思えました。
 
が、現場に急行したUSTは、
再び海軍が、牽制攻撃をしているのを見ます。
 
ゴウリ
「お、おい… まさか、また!?」
 
ユゲ(第2艦隊提督・IDMN)
『こちら第2艦隊、ユゲ、
 そのまさかです。
 
 この湾は、阿古屋貝の養殖地なので、
 ここを戦場には、しないでくれと。』
 
ゴウリ
「じょ、冗談じゃないぞ!
 
 そんな事言ってたら、どこだって同じだ!
 いつまで経っても、攻撃なんか出来ないぞ!
 
 どうか、ぜひ、うちの町で、
 ドンパチやって下さい。なんて町があるか!」
 
ユルガ
「落ち着けゴウリ。
 
 だからと言って、地元の意向を無視して、
 怪獣を倒したところで、守った事にはならん。」 
 
クロス
「まずは出来るだけ、沖へ誘導ですね。
 
 外海にさえ出れば、攻撃出来ますよ!」
 
ゴウリ
「くっそう… 覚えてろよ、ちくしょうめ!」
 
ユリコ
「誰に言ってるのよ?」
 
文句タラタラながらも、星光弾、スモークで、
≪アーク1号≫は、怪獣の進路を妨害、
何とか上陸を、阻止する事に成功します。
 
苦労の末に、外海へと移動させた怪獣ですが…
 
これで思い切り、攻撃出来ると思った時には、
再び、逃げられてしまいました。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*


 
【UST作戦室】
 
ユルガ
「たびたび、すみません。
 1度ならず、2度までも。」
 
カジ
「我々的には、そう思ってしまうが、
 今度も地元自治体からは、感謝の電話が来てる。
 良く守ってくれましたと。
 
 これはこれで、良いのかも知れんと、
 なんだか、そんな気さえしてくるよ。」
 
ゴウリ
「そりゃないでしょ、参謀。
 
 倒さん限り、敵はまた来ますよ。」
 
ナワテ
「ぼくも…
 
 今回に関しては、ゴウリ隊員の意見も、
 一理あるようには思います。
 何だか問題解決の、先送りしてるみたいで。
 
 対処療法としては、これで良いのかも知れませんが、
 根本療法には、なって無いじゃないですか?」
 
カジ
「そう言われれば…そうだな。
 
 ここまでの対応が、間違っていたとは思わんが、
 それはそれとして、攻撃も考えんと…か。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【B班作戦室】
 
シズカ
「海のプロの、海軍がまかれるんですから、
 確かにやりにくい、相手ではあります。
 
 行動の予測も、つきにくいし。
 レーダーやソナーにも、あまり反応しない。
 
 大体あの体型で、どうやって移動しているのか?
 謎の多い怪獣です。」
 
ユウキ
「石油が常食とかなら、グッと的を絞りやすいんですが、
 どうも、肉食寄りの雑食らしいんです。
 
 出現地点が絞りにくいのは、それもあります。」
 
ユルガ
「肉食寄りの雑食と言う事は…。」
 
ユウキ
「人間も。
 
 と、考えられますね。」
 
ユルガ
「共存や保護は、無理な対象か…
 
 やはり撃破しかないが。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
精度的には、あまりあてにはならない物の、
一度出現した場所には、再び来る事が考えられたため、
海軍~USTは、九州南方を中心に、
防備・パトロールを、強化します。
 
一通りの湾岸には、陸軍も布陣する事になり、
移動、展開が開始されますがー…。
 
奇しくも九州南部に、局地的な地震が起き、
畳宝崎では、大きな被害が出ます。
 
さらに悪い事には、季節外れの台風が発生し、
九州に、向かっている事がわかります。
 
畳宝崎は、怪獣どころではなくなり、
地震被害からの救助・復旧、台風への準備、
さらに、ここまででの被害者の対応と、
他地域への避難で、手一杯になります。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*


 
【UST作戦室】
 
カジ
「弱ったよ。
 畳宝崎は当分、怪獣退治どころじゃない。
 復旧と避難、台風対応で手一杯だ。
 
 陸軍も作戦は、見合わせている。」
 
モニターに映っている、町の様子を見て、
みんなもため息を、漏らします。
 
ゴウリ
「さすがに、これじゃあ…
 
 わからなくも無いですが。」
 
ユリコ
「でも…
 
 だからこそ、今怪獣が出たら、
 大惨事になって、しまいませんか?」
 
ユルガ
「それはそうだ。
 
 だから、そうなったらもう、
 町の協力は望めないまま、町には一歩も入れずに、
 我々でケリを、つけるしかない。」
 
ナワテ
「怪獣自体は決して、強敵ではないと思うんですよ。
 
 何とか逃がさず、戦う事さえ出来たら…」
 
ヒデコ
「今の時点での、畳宝崎の、
 避難計画が、届きました。」
 
ユルガ
「スクリーンに、映してくれ。」
 
リスト化されたデーターを、一覧する一同ですが、
 
ゴウリ
「避難に客船を、使うのかあ。
 危ないなあ。
 
 襲ってくれと、言ってるような物じゃないですか?」
 
ヒデコ
「しかし、空港はほとんど使えない状態。
 陸路も限られているし、避難だけに使うわけにも。」
 
クロス
「結局、けが人や避難民を、
 安全に一気に運ぶとしたら、船で海路か…」
 
ユルガ
「いや…
 これは逆に、チャンスかも知れん。
 
 避難民を、オトリに使うようで、
 そこは少し、心苦しいが。」
 
ゴウリ
「そうか!
 
 いや、気にする事、無いですよ!
 こっちから頼んだんじゃ、ないんだ。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ にほんブログ村  特撮ランキング