第127話 『朝日の沈む町』

 
カンティール星人 
軟体怪獣 レントリックス 
白光怪獣 アラベラドン 

     

もし、ウルトラセブンの最終回のあと、
TVでゾフィが始まっていたら?の妄想ストーリーの第127話。

 

自殺をほのめかしながら、失踪した子供を追い、

とある町に、やって来たクロス達ですが…

 
【UST=防衛チーム】
 
ユルガ(隊長)
ゴウリ
ナワテ
ユリコ
ヒデコ
クロス
 
【IDM=地球防衛機構】
 

(Bチーム=情報技術班)
シズカ(班長)
ユウキ
ドノバ
アカイ
リオ
ユウ
 
カジ(UST参謀)
 
ナガサウラ(特務軍参謀・IDMI司令)

 ヤセ(遊撃3課長・IDMI)

 シガ(遊撃3課・IDMI)

 リエ(遊撃3課・IDMI)
 
マキノハラ(科学センター・所長)

 オザワ(第7研究室長・科学センター)
 
【その他・ゲスト】
 

【場原塚町(ばはらつかまち) 住民】

内川保成

内川ふみ
市久純子

 
文原重造(警視庁特殊事件対策部)

 

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【UST作戦室】
 
ドアが開き、クロスが入って来て、
ユルガ隊長の前で、一礼をします。
 
クロス
「N地区、T地区、パトロール終了。
 異常ありませんでした。」
 
ユルガ
「ご苦労だった。」
 
ナワテ
「ここんところ、大きな事件は無いですね。」
 
ヒデコ
「そりゃ、事件ばっかりじゃ、
 やってらんないわよ。」
 
ナワテ
「まあ、そうですけど。」
 
ふと、シズカ班長に気がつくクロス。
 
クロス
「あれっ? 班長って…
 
 今日、非番じゃなかったでしたっけ?」
 
シズカ
「そうなんだが。
 
 ちょっと、待ち合わせでね。」
 
ドアが開き、科学センターのオザワ室長が、
バタバタと、入って来ます。
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「ごめんなさい、待ちました?
 
 出がけに、一仕事入っちゃって。」
 
シズカ
「いえ、大丈夫ですよ。」
 
クロス
「何か珍しい… 組み合わせですね?」
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「実はね、甥っ子がちょっと、
 家出しちゃってさ。
 
 私この手の事は、あまり得意じゃないんで、
 シズカさんに、助けていただこうかと…。」 
 
クロス
「行方不明か…
 
 まさかとは思いますが、事件性は無いですよね?
 どこです?」
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「甥っ子の話は、しばしば聞いてたから、
 事件性は、まずない… とは思うけど?
 
 場原塚町(ばはらつかまち)よ。」
 
特務軍に、連絡を入れるクロス。
 

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【極東基地 特務軍 第3課作戦室】
 
ヤセ(遊撃3課チーフ・IDMI)
「場原塚(ばはらつか)…!?
 
 ああ、そこ、確かそこ、
 行方不明者が集まる街って、噂があってさ。
 
 一応、1人、調査に向かわせたんだが…。」
 
確かめるように、振り返ると、
シガ・サブチーフが、
首をすくめて、両手を広げます。
 
ヤセ(遊撃3課チーフ・IDMI)
「今のところは、めぼしい成果は無い。
 
 まあ、何か見つかるまでは、噂の域だなァ。」
 

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【UST作戦室】
 
クロス
「隊長、ぼくも行って良いでしょうか?
 
 何かあれば、すぐに戻ります。」
 
ユルガ
「いいだろう。
 
 今は特に、差し迫った事件も無いしな。」
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「すまんね、クロスさん、
 USTに手伝ってもらえるなら、百人力ですよ。」
 
クロス
「いやあ、本当の事を言うと、
 何となく気になるのが、大きくて。
 
 純粋な、行方不明探しだけなら、
 どこまで、お役に立てるかは…」
 
シズカ
「いやいや、
 2人か3人かは、大きいですよ。」
 

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【極東基地 地上部】
 
ゲートが開き、発進していく、
ジェットヘリ≪エストブリダー≫。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【≪エストブリダー≫ コクピット】
 
シズカ
「ハッキリ言えば、足が出来ただけでも、
 我々は、大助かりです。」
 
クロス
「あははは。
 まあ、そんなもんですよね。」
  

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場原塚町(ばはらつかまち)に到着すると、
さっそく目的の内川宅に、3人で向かいます。
 
【場原塚町(ばはらつかまち) 内川宅】
 
母親の内川ふみに会い、話を聞く、
オザワ、シズカ、クロスの3人。
 
高校生の内川保成は、これまでにも何度か、
自分は生きていても仕方がない、意味がない、
と、言うような言動をして、
自殺をほのめかすような事を、言っていたそうです。
 
半分は、本気では無いと考え、
半分は、慰めたり励ましたりして、
これまでは何とか、やって来たのですが、
先日、家からいなくなってしまい。
戻って来ないとの事でした。
 
内川ふみ
「男の子だし、これまでも家出はあったんですけど、
 お友達の家に転がり込む事が、ほとんどで、
 すぐに所在は、わかったんです。
 
 でも今回は、心当たりの誰のところにもいなくて。」
 
シズカ
「今までとは、違ったわけですね?」
 
内川ふみ
「そうなんです。
 
 本人は、軽い気持ちでも、
 自殺志願者の、グループみたいなのに会って、
 変に誘われたら、どうしようと。」
 
クロス
「何か手掛かりは、ありませんか?」
 
内川ふみ
「手がかりと言うか、これも心配してるんですが。
 
 悪いと思いつつ、場合が場合なので、
 保成の日記や、ノート類を確かめたんです。
 
 そしたら、いつもの愚痴の他に、
 らばらむら…って、走り書きがあって。」
 
クロス
「らばらむら?」
 
内川ふみ
「私もなんだろうと、調べてみたら、
 どうも、安楽死出来る村みたいなんです。
 あくまで、噂ですが。
 
 それで心配になって。」
 
顔を見合わせる3人。
 

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【場原塚町(ばはらつかまち) 路上】
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「らばらむら…かあ。
 
 どっかで、聞いたような気もするんだけど、
 何だったかなあ?」
 
クロス
「なんとなく、一般的な名前じゃないですね。
 らばらむらって。」
 
と、
歩いていた女性が、こちらに寄ってきます。
 
女性
「あの… すみませんが、
 騾馬羅(らばら)村を、ご存じなんですか?」
 
シズカ
「え、あ、いや?
 
 実は私達も、探そうかと話していた所でね。
 名前を聞いた事が、ある程度なんだが…。」
 
落胆した様子の女性。
 
女性
「そうでしたか。
 
 失礼しました。」
 
クロス
「君… よかったら、お名前は?」
 
市久純子
「市久… 市久純子です。」
 
それだけ言うと、足早に去ります。
 

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3人はとりあえず、場原塚警察署に向かいます。
そこでは、文原警部に会いました。
 
【場原塚(ばはらつか)警察署】
 
クロス
「あれっ!?
 警部、何でこんなところに?」
 
文原
「いや。
 俺は、もちろん仕事だが。
 
 そっちこそ、いやに早いな?
 まだ何も、言っとらんのに。」
 
クロス
「いやー、我々は…」
 
お互いに、これまでの事情を話します。
 
文原警部は、やはり行方不明者の件で、
場原塚(ばはらつか)が怪しいと、考えて、
調査に来ていたと、言います。
 
警察署内の一室で、話し合う4人。
 
文原
「知っての通り、残念ながら行方不明自体は、
 連日、日本中で、起こっている。
 
 ただ、ここが少し、妙なのはな、
 自殺志願者が、来る町として、
 秘かに噂に、なってるらしいんだ。」
 
クロス
「それじゃやっぱり、保成君も?」
 
文原
「自殺したい人間は、場原塚(ばはらつか)に行けば、
 痛みも、苦しむ事も無く、確実に安楽死出来る。
 そんな噂が、流行っているようでな。
 
 あくまでも噂だぞ。
 
 もし仮に本当に、安楽死出来たら、
 死んだ当の本人は、噂を流せんし、
 実際、遺体も発見されとらん。」
 
シズカ
「すると…
 誰か噂を流して、演出と言うか、
 プロデュースしている、奴がいる?」
 
クロス
「ですよね。
 
 生きて噂を流している、誰かが、
 自殺志願者以外に、いるんじゃないですか?」
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「警部さん、らばらむらって、ご存じですか?」
 
文原
「騾馬羅(らばら)村。
 
 それは、場原塚(ばはらつか)町が、統合された時、
 吸収合併されて今は消滅した、廃村の名前だ。」
 
シズカ
「それを、書き記して、
 行方不明になった子が、いるんです。」
 
文原
「俺も、どうもそこが、
 関係あるように、思えるんだよな。
 
 まず、場原塚(ばはらつか)に来るのも、
 隣の騾馬羅(らばら)村に行くため…
 と考えれば、辻褄はあう。
 
 大体、行方不明者が多発する町なら、ともかく、
 行方不明者が、たくさん来る町なんて、
 そうそう、わかるもんじゃない。
 
 あちこちで、行方不明になった人間が
 集まると噂になるとか、実際見かけられたとか、
 そんな話が出る時点で、おかしい気はするんだ。
 
 だが、俺が1人で行った時には、
 騾馬羅(らばら)村は、やはりただの廃村で、
 人の気配もなく、怪しそうな所は無かった。」
 
クロス
「念のため、行ってみますか?」
  

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【騾馬羅(らばら)村】
 
≪エストブリダー≫で、降り立つ4人。
 
手分けして調べますが、やはり人の気配はなく、
十数軒の家屋は、すぐに調べ終わってしまい、
お堂や井戸、社など、
それらしい場所も、調べますが、
特に手掛かりになりそうな物は、ありませんでした。
 
クロス
「なにか…
 
 条件か仕掛けでも、あるんでしょうかね?」
 
シズカ
「そうだろうなあ。
 
 仮に、自殺志願者が、
 場原塚(ばはらつか)まで、来たとしても、
 普通ならそこで、どうして良いかわからなくなる。
 
 そこから、警部のように、
 ここ、騾馬羅(らばら)村まで来ても、同じだ。
 
 何も情報が無ければ、今の我々と、
 同じ状況に、なるはずだ。」
 
文原
「なにか、自殺志願者同士だけがわかる、
 合図か符丁のような物がある…か?」
 
クロス
「それに、間違いないでしょう。
 
 それを、フィールドマークにして、
 エスコート役が、接触する。」
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「それが、わかればねえ…。」
 
文原
「俺はもう少し、警察署で話を聞いてみる。
 
 若い者ならその手の噂を、耳にしたかも知れん。」
 
クロス
「ぼくはもう一度、保成君の家に行ってみます。
 
 オザワさん、同行お願い出来ますか?」
 
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「ええ、もちろん。」
 
シズカ
「それなら私は、ダメもとで、
 改めて町を、巡ってみるよ。」
 
4人は一度、3組に分かれます。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【場原塚(ばはらつか)警察署】
 
地元警察官A
「これと言った手掛かりが無くて、申し訳ないですが。
 
 出来れば、事件解決して、
 この町の汚名を、返上して欲しいです。」
 
文原
「この町に、汚名なんかあるのか?
 
 正直、これといった特徴のない、
 普通の町だと、思っていたが。」
 
地元警察官A
「表向きはそうです。
 
 でもね、特に名産や名物、
 アピール・ポイントも、無い町だから、
 自殺者が苦しまずに、思いを遂げられる町。
 ここに来ればもう、昇る朝日を見ずに済む町。
 なんて噂が流れて、そう言う人間が集まって来る。
 
 町の人間は、良い気持ちはしませんよ。」
 
文原
「なるほど、
 そう言う噂は、一番厄介だな。」
 
地元警察官A
「そうなんです。
 あくまで噂なんで、否定のしようがない。
 
 下手に強く、否定しようものなら、
 かえって『やっぱり、そうなんだ。』と、
 受け止めるような、輩も出て来る。」
 
文原
「それでいて実際には、自殺者の遺体は無いか。」
 
地元警察官A
「そうです。
 
 だから普通なら、自殺はしてない。と、
 受け止めるてくれるのが、普通なのに、
 苦しまずに消えた!
 なんて、オカルトじみた解釈をされてしまう。」
 
もう1人の警察官が、地図を持って来ます。
 
地元警察官B
「これで良いですか?
 
 言われたように、保護した場所を、
 地図に直接、書き込んでみました。」
 
文原
「この、時間の下の、色と数字は何だ?」
 
地元警察官B
「数字は年齢、色は男性青、女性赤です。
 
 あくまで、保護した場所ですから、
 そこに集まってた、わけじゃないですが…」
 
文原
「いや、参考にはなるよ。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【場原塚町(ばはらつかまち) 内川宅】
 
再び、内川宅を訪れた、オザワとクロス。
  
クロス
「あの…
 保成君の部屋と、ノートを、
 見せては、もらえませんか?
 
 何か、手掛かりがあるかも?」
 
内川ふみ
「ええ。
 お役に立てるんでしたら。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
  
【内川宅 内川保成 私室】
 
日記帳、ノートを追っていくと、
最後のページには、確かに、
 
「らばらむら」
と、
走り書きのような物があり、
さらに一度、消しゴムで消した微かな跡で、
漢字の一部のような物が、読めました。 
 
クロス
「馬… と、これは東…かな?
 
 一番下は、カタカナらしいが
 ムラ… いや、わからない。」 
 
オザワ(第7研究室長・科学センター)
「写真に撮りましょう。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*


 
【場原塚(ばはらつか)町 公園】
 
シズカが学生数人と、話をしています。
 
シズカ
「そりゃあ、誰だって、一度や二度は、
 自殺を考える事は、あるだろう。
 
 おじさんだって、若い頃には、
 自殺を考えた事はね…あるよ。」
 
男子高校生A
「でも… 結局は、死ななかったんでしょ?
 何で、思いとどまったの?」
 
シズカ
「正直に言うとな、思いとどまるとか、
 そこまでハッキリ、決心したり、
 答えが出たわけじゃ、ないんだ。
 
 ただ、迷っていたからこそ、
 迷ったまま、結論出したくなくて、
 『とりあえず生きてみよう』だな。
 
 おじさんの場合は、
 それの繰り返し、みたいなもんだよ。」
 
男子高校生B
「何で自殺は、ダメだって思えるの?」
 
シズカ
「一般論としては、悲しむ人がいる。
 自分だけの命じゃない。
 死んだらやり直せない。ってのがあるよね。
 
 でもさ、そうすると、じゃあ、
 悲しむ人がいない、限りなく1人の人や、
 心底死んで良いって思う人は、
 自殺OKか?となる。
 
 実際、例えばさ、
 絶対治る見込みのない病気で、
 生きてる間も、苦しみ続けるだけなら?
 自分で命を終わらせたいって人も、
 いるかも知れない。
 
 そこまで追い詰められ、かつ冷静に考えても、
 自殺がベストと思う、他に道が無い人がいたとして、
 説得して止められる自信あるか?と言われたら、
 おじさんには、止められる自信は無い。」
 
女子高校生A
「じゃあ、自殺には賛成なの?」
 
シズカ
「それはね、
 どんな場合でも絶対に全部反対か?
 と言われたら、
 反対とは言い難いと、言う事だけど…
 
 でもね、それは逆に言うと、
 その手前までなら、やっぱり生きるべきだと思う。
 
 本人が、思うほど、
 他に道が無い… わけじゃない事の方が、
 実際には、圧倒多数だと思うんだ。」
 
女子高校生B
「わかる!
 私、失恋した時、もう生きていても、
 他に何も無いって思えて、死にたくなった。」
 
男子高校生A
「それはさすがに、軽過ぎるだろ!」
 
女子高校生A
「そうだよ。
 恋なら、また出来るじゃない?」
 
シズカ
「いや… そうとも言えないよ。
 本人にとって、どれほどの悩みかは、
 本人にしかわからない。
 
 だから、自分にとっての失恋や失業…
 俺の場合は、乗り越えられた悩みだ!ってのも、
 他人も同じとは、限らないんだ。」
 
男子高校生A
「そうなると…むずかしいね?」
 
シズカ
「悩みの大きさと、言う意味ではそうだね。
 
 たださ、それは本人自身にも言えるんだ。
 
 その時の本人にとって、限りなく大きな、
 取りかえしのつかない、悩み、
 もう他に道の無い、乗り越えられない状態に思えても、
 時間がたてば、同じ本人が見て、
 取り返せ、乗り越えられ、
 生きてて良かった。に、なる場合もある。
 
 つか、実際多い。こっちがほとんどだ。」
 
女子高校生B
「わかった!
 先に死んじゃったら、それがわからないもんね。」
 
シズカ
「そう言う事。
 君は頭いいね。
 
 いわゆる、非可逆性って事だけどさ。
 
 だからね、おじさんとしては、
 そう言う人達を、出来れば止めたいかな…と。
 
 何か、知らないかな?」


 
男子高校生A
「噂は聞くけど…
 
 具体的な話って、無いしなあ。」
 
女子高校生A
「うちらの周りには、いないもんね。」
 
シズカ
「いや、それなら良いんだ。
 何もない、いないのなら、それが一番だ。
 
 じゃ、達者でな、少年少女。」
 
手を振って去ろうとする、シズカですが、
後から声を、かけられます。
 
女子高校生B
「あ、あのう…?」
 
シズカ
「ん?」
 
女子高校生B
「あくまで噂で、見たわけじゃないんですけど…」 
 
シズカ
「良いよ、良いよ。
 
 何?」
 
女子高校生B
「確か、霧雨の朝に、
 黒い車が、迎えに来るって…」
 
男子子高校生B
「あ、言われてみれば、それ俺も聞いた事ある。
 
 でも、何か芝居がかってて、
 伝説みたいな物と、思うけど。」
 
シズカ
「黒い車か。
 
 いや、ありがとう!
 参考になったよ!」
 

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【夜 場原塚(ばはらつか)町 海岸】
 
海から現れた、怪獣の巨体が、
月夜の海岸線に、黒い影を落としながら、
ゆっくりと、上がって来ます。
 
町の方を向いて、止まると、
背中から、霧のような物を吹き出していきます。


 
海岸から町に向かって、霧雨が降り出し、
モヤが、覆いつくしていきます。
 
一方、反対側の丘が、盛り上がると、
地中から、別の怪獣が顔を出し、
辺りの様子を、探るように見まわすと、
再び地中へと、姿を消します。


 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*

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