第155話 『リアナイトの宇宙から』

 
他次元怪獣 ジルコン
浮遊生物 レルドレックス
砂岩怪獣 アリエル
海生怪獣 サイトリオ
植性怪獣 タスバーダ

     

もし、ウルトラセブンの最終回のあと、
TVでゾフィが始まっていたら?の妄想ストーリーの第155話。

 

不思議な、結晶状の隕石が落下します。

科学センターのウメノ室長らが、調査に行きますが…

  
【UST=防衛チーム】
 
ユルガ(隊長)
ゴウリ
ナワテ
ユリコ
ヒデコ
クロス
 
【IDM=地球防衛機構】
 

(Bチーム=情報技術班)
ドノバ
ユウ
 
カジ(UST参謀)
  
マキノハラ(科学センター・所長)

 ワカヤマ(第1研究室長・科学センター)

 サントウ(第2研究室長・科学センター)

 ウメノ(第4研究室長・科学センター)

 クサカ(第4研究室・科学センター)

 ニッタ(第4研究室・科学センター)
 
【その他・ゲスト】
 
奥尾良樹(おくお いいじゅ 鉱石研究所長・調査隊長)

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【極東基地内 食堂】
 
お昼ごはんを食べている、マキノハラ博士と、
科学センターのワカヤマ室長、サントウ室長。
 
ワカヤマ(第1研究室長・科学センター)
「結晶隕石か…
 
 いや、ぼくも興味、ありますよ。」
 
マキノハラ
「言いだしっぺは、民間の誰だかだったんだよな。
 
 ウメノ君は、あまり気の無さそうな事、言っとったが。」
 
ワカヤマ(第1研究室長・科学センター)
「彼が? 冗談でしょ。
 
 右から左に、食いついたと思われたら、
 格好悪いと考えて、、
 また、自分は誘われたアピールを、
 してるだけですよ。」
 
サントウ(第2研究室長・科学センター)
「あたしは余り、興味わかないなあ…
 
 石ッコロの、何が楽しいんだか…」
 
マキノハラ
「サントウ君、自分の専門分野以外にも、
 興味を持つのは、良い事だよ。
 
 普通だったら、女性の方が、
 鉱物に興味、持ちそうな物だが。」
 
ワカヤマ(第1研究室長・科学センター)
「彼女に普通基準は、当てはまらないだろうし、
 所長は所長で、持ち過ぎと思いますが。」
 
と、1人が駆けて来て、
帰ろうとしていたドノバ、ユウと、
ぶつかりそうに、なります。
 
ドノバ
「おっとぅ!」
 
ユウ
「きゃっ」
 
クサカ(第4研究室・科学センター)
「あ、すいません。
 
 た、大変です。所長。」
 
マキノハラ
「どうしたんだね?」
 
クサカ(第4研究室・科学センター)
「室長が… 行方不明になりました。
 おそらくは、遭難らしいと。」
 
マキノハラ
「ウメノ君が!?」
 
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数日前、東北、馬栄田(ばえいた)台地に、
不思議な隕石が、落下しました。
 
大きさは、3~40センチほどでしたが、
石と言うより、ほぼ半透明の結晶体の構造をしており、
ほとんど、壊れたり、崩れる事無く、
大気圏突入時と、同じ形を保って降って来ました。
 
極めて珍しい、素材・性質の隕石と思え、
一番近い、鉱物研究所の、
奥尾良樹(おくお いいじゅ)所長が、
科学センターのウメノ室長と、懇意だった事もあり、
一緒に行かないかと、誘ったのです。
 
声をかけられたウメノ室長は、同室のニッタを伴い、
奥尾所長が隊長になった、調査隊に同行し、
一緒に現地に、行っていたのです。
 
ところが奥尾隊長や、ウメノ室長、ニッタを含む、
結晶隕石の、調査・回収に向かった、
調査隊の主力が、消息を絶ってしまいました。
 
現場に残った2名が、出力の弱い無線で警察に連絡し、
それが、防衛機構に回って来たので、
やっと事が明かになって、事件が知らされました。
 
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UST、そしてマキノハラ博士が、アーク3号で、
すぐに馬栄田(ばえいた)台地に、向かいました。
 
【馬栄田(ばえいた)台地 結晶隕石着弾地点】
 
現地に到着すると、異様な光景が広がっていました。
 
濃い黒~赤~青に色が流動する、
上下3~4メートル程度の、不規則な結晶構造体が、
脈動するように、存在しており、
そのそばに、残された調査隊員2名と警察官1名が、
途方にくれていたのです。
 
ゴウリ
「おおーい! ここは立ち入り禁止だぞ!」
 
近くの沢で、釣りをしている男性を見かけて、
声をかけるゴウリ。
 
男性
「立ち入り禁止?
 ロープも何も、ありませんが…?」
 
ゴウリ
「無くても、とにかく、危険なんだよ。
 何が起こるか、わからんのだ。
 
 さあ、悪い事は、言わないから、
 一般の人は、帰った帰った!」
 
男性
「一般の人は… ねえ。」
 
苦笑しながら、頭を下げ、
釣り道具を、まとめだす男性。
 
ゴウリ
「まったく、のん気なんだから。」
 
ゴウリが駆け戻ると、みんなはリアナイトの、
鉱物空間を前に、話し合っていました。
 
マキノハラ
「これは、一体なんだ?
 
 みんなはどこに、行ったんだね?」
 
調査隊員A
「それが… この中に飲み込まれてしまったんです。」
 
ゴウリ
「何だって!?」
 
と、
思わず手を伸ばすゴウリを、静止する調査隊員。
 
調査隊員B
「いけません!
 うかつに手を入れると、吸い込まれます。」
 
マキノハラ
「もっと小さな、隕石だったのではないのかね?」
 
調査隊員A
「そうなんですが…
 
 拾おうとしたら、石が石の中に転がり落ちてしまって、
 その瞬間に、この結晶の塊と言うか、
 3次元ホログラムみたいな空間が、広がったんです。」
 
ユルガ
「な… 何を言ってるんだ?
 それは…?」
 
調査隊員A
「いや、何を言ってるのか、
 わからないと、思うでしょうが、
 とにかく、そうなんですよ。
 
 石は石自身の中に、転がり落ちてしまった。
 少なくとも、そう見えました。
 
 そして、同時に広がった、この大きな結晶空間が、
 この状態のまま、安定してしまった。
 
 最初は、結晶が巨大化したのかとも思ったんですが、
 手を伸ばすと物質ではなく、中に入るんです。
 
 それで、奥尾隊長は、
 「結晶隕石は、それ自身の中に落ち込んでしまい。
  それでこの空間が、発生してしまった。
 
  空間の中に入って、結晶隕石を取り返せば、
  結晶隕石も、予定通り回収出来るし、
  ここも元の状態に、戻るのではないか?」
 と、
 仮説を立てて、中に入りました。
 
 が、
 中に入ったら、通信・連絡が、
 無くなって、しまったんです。
 戻っても来ません。
 
 残った私達2人は、どうして良いんだか。」
 
ユリコ
「まさか、この容積に、
 人間が何人も、入れるとは思えないし。
 
 ワープゲートのような物でしょうか?」
 
マキノハラ
「いや、これは、もしかすると…
 リアナイト。」
 
ナワテ
「リアナイト?」
 
マキノハラ
「あくまで、仮説なんだが。
 そう言う物の存在を、主張していた男がいてね。
 
 宇宙の中に物質があるなら、
 物質の中に宇宙があるケースもありうると。
 
 空間の集合構造が、可逆なら。」
 
ナワテ
「それ… マイナスの分子運動の人ですか?」
 
マキノハラ
「そうだ。
 3大頭脳の1人、スーザの説なんだが。」
 
ユルガ
「博士、するとその場合、
 彼が言うように、実際に中に入り、
 結晶隕石を取り出せば、元に戻り、
 調査隊も中で存命、救助も可能と?」
 
マキノハラ
「理論的には、そうなる。
 
 なにしろ、まあ、
 実在も未知なら、現物を見るのも初めてなので。
 
 これが、その、
 リアナイト前提の上での、理屈で、
 断言は出来んが。」
 
クロス
「しかし…
 彼らが戻って来ないと言うのが、気になります。
 
 連絡不通に気がつけば、一度戻るか、
 連絡を試みるように、思うんですが。」
 
ナワテ
「入れたのなら、非可逆じゃなく思うけど。
 
 確かに、なぜ戻って来ないんだ。」
 
ゴウリ
「結晶隕石を見つけようと、夢中で、
 気がついて、いないのか?」
 
ユルガ
「それならむしろ、問題無いが…
 
 何らかの理由で、一度入ると、
 戻りたくても、戻れないとしたら事だ。」
 
しばらく対策を、考えますが、
ヒデコ隊員が残って、外から発信機の先端を、
結晶空間に差し入れて、位置を知らせ、
残りの、ユルガ隊長、ゴウリ、ナワテ、ユリコ、クロス、
マキノハラ博士で、結晶内に突入する事になります。
 
持てるだけのサバイバル装備や、バックパック、
武器なども携帯した上で、順番に結晶空間内に突入する、
UST5人と、マキノハラ博士。
 
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【結晶空間内】
 
それは一見、同じ風景のようでしたが、
色はだいぶ違い、補色のようになっていました。
 
緑の山は、赤紫のようにくすみ、
オレンジ色の空に、どす黒い雲が浮かび、
地面も、オレンジがかっていました。
 
地形も、一見同じようですが、
遠くには奇妙な塔や、橋のような物が見え、
風や波の音も、逆回しのように聞こえてきます。
 
ユリコ
「何か… 変な感じね?」
 
ナワテ
「大気組成は、同じですね。
 毒物や有害病原菌等も、特にはありません。
 
 見掛けは変だけど、地球と同じですよ。
 ヘルメット取っても、大丈夫なはずです。」
 
ユルガ
「これが、あの、3~4メートルの、
 結晶の中の世界とは、信じられんな。」
 
マキノハラ
「リアナイトなら、この世界はこの世界で実在なんだ。
 
 そして、ワープゲートでもなければ、
 入った瞬間に、圧縮のような事をされたわけでもない。
 これだけの広さを持つ、実在空間だ。」
 
ユリコ
「隊長、発信機の信号を拾えたんですが…」
 
ユルガ
「どうしたんだ?」
 
ユリコ
「位置が… ずっと、離れているんです。
 30キロ? いえ、それ以上くらい。」
 
マキノハラ
「そうか。それでだ。
 
 入った瞬間、その入り口から、
 離れた場所に、落ちてしまうんだ。
 それで戻るのに、時間がかかる。
 
 いや、その事に気がつかなければ、
 戻る事自体、出来ない。」
 
クロス
「隊長、調査隊の信号も、キャッチ出来ます。
 
 それほど遠くでは、ありません。」
 
ナワテ
「この中では、レーダーもセンサー類も、
 普通に機能しますね。
 良かった。」
 
ユルガ
「よし、まず調査隊と合流し、
 その後、出口へ向かおう。」
 
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【結晶空間内 崖】
 
“外”と似ていながらも、どこかおかしな、
結晶空間内を、進んでいく一行。
 
川のように見える地形が、上流に向かって流れて行くので、
良く見ると流れているのは、水ではなく砂だったり、
明かに細い、小さい石や棒の上に、
ずっと大きい石や岩塊が、バランスを保って乗っていたり。
 
そして、断崖の壁面の、一本道を進む時、
浮遊する奇妙な、生物の群れにまとわりつかれました。

 

 
思わずゴウリが、リモートレーザーで、
1匹を打ち落とします。
 
撃墜された生物は、崖の壁面に落下した後、
なぜか上に向かって、転がり上がっていきました。
散開して逃げる、生物群。
 
ユリコ
「上に… 落ちた?」
 
ナワテ
「こうして立って、いられるんだから、
 重力は普通の、ベクトルのはずですが。」
 
マキノハラ
「場所や状況で、変わるのかも知れん。
 
 ここでは、風と同じように、
 重力が“吹く”と、考えれば…。」
 
ユルガ
「撃つなとは、言わんが、
 なるべく慎重に、最小限にな。
 
 どんな反応をするか、見当がつかん。
 逆に襲われたら、困った事になる。」
 
ゴウリ
「わかっているつもりですが…
 
 いえ、わかりました。」
 
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【結晶空間内 木立】
 
調査隊一行と、合流するUST。
 
調査隊の奥尾隊長と、隊員3名、
科学センターのウメノ室長、ニッタの、
6名全員、元気でした。
 
奥尾隊長
「私たちが、行方不明になっていた?」
 
ゴウリ
「そうですよ!
 自覚、なかったんですか?」
 
ウメノ(第4研究室長・科学センター)
「来た時の結晶が、振り返った時には無かったから、
 出口を見失ったとは、思っていたが…
 
 連絡は、こっちからしていたし、
 ポイントシグナルも、出していたから、
 遭難しているとは、思わなかったなあ。」
 
奥尾隊長
「助けが来るまで、出口を探しがてら、
 もう少しあたりを、調査しよう程度で。」
 
ニッタ(第4研究室長・科学センター)
「そう言えば、こっちから連絡を出すばかりで、
 会話のやり取りを、していませんでした…ね?」
 
ウメノ(第4研究室長・科学センター)
「あまり異様な世界だったんで、夢中で。」 
 
マキノハラ
「のんきな話だな。
 
 無事だったから、良かった物の。」
 
ウメノ(第4研究室長・科学センター)
「それで、出口はわかるんですか?
 所長。」 
 
マキノハラ
「今は、結晶の入り口から、
 発信機を出してもらってるので、わかるよ。
 
 どうも、こっちに入り切ってしまうと、
 外との通信は、出来なくなるらしい。」
 
地図を覗き込む一同。
 
奥尾隊長 
「こんな先の、こんな場所なんですか?
 
 こりゃあ、行き当たりばったりで、
 歩き回ってても、見つからないですね。
 
 迷うわけだ。」
 
ナワテ
「もうちょっと、先の事、
 考えて下さいよ。」
 

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