第128話 『25時』

 
テンダー星人

     

もし、ウルトラセブンの最終回のあと、
TVでゾフィが始まっていたら?の妄想ストーリーの第128話。

 

宇宙ステーションで起こった、異常現象。

その謎を解くために、USTはステーションへ向かいますが…

  

 
【UST=防衛チーム】
 
ユルガ(隊長)
ゴウリ
ナワテ
ユリコ
ヒデコ
クロス
 
【IDM=地球防衛機構】
 

(Bチーム=情報技術班)
シズカ(班長)
ユウキ
ドノバ
アカイ
リオ
ユウ
 
カジ(UST参謀)
 
マキノハラ(科学センター・所長)
 
【その他・ゲスト】
 
(宇宙ステーション≪ケンタウロスB-178≫クルー

石原博 (いしはらひろし キャプテン)

真鍋春男 (まなべはるお 技術長)

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【極東基地 地下格納庫】
 
薄暗い、地下格納庫内にある、アーク2号。

 
燃料パイプや、アームが外れて行くと、
誘導灯、発進灯が点り、最初のゲートが開きます。
 
動き出していく、アーク2号。
 
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地下格納庫内の通路を、移動していくアーク2号。
  
1、2、3、4のゲートを、次々と通過すると、
最後に5のゲートの前で止まり、今度は上がっていきます。
 
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【つつじの原宇宙線研究所】
 
望遠鏡が引っ込むと、天文ドームがスライドして開きます。
 
少しすると、垂直に飛び上がって行く、アーク2号。
 
窓越しに、その様子を見ている2人。
 
トヤマ(第3研究室・科学センター)
「行きましたか。
 
 上手く謎が、解ければ、
 何か、大発見かも知れませんね。」
 
タグチ(第3研究室長・科学センター)
「上手く行けば、そうかも知れんが…
 
 そう言う、自然現象が無い可能性があるから、
 USTが、行くんじゃないのか?」
 
トヤマ(第3研究室・科学センター)
「言われて見れば、そうでした。」
 
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赤道上、高度約48000kmに、設置された、
実験ステーション、≪ケンタウロスB-178≫。
 
事件は、そこで起こりました。
 
≪ケンタウロスB-178≫は、軌道エレベーターの、
前段階の実験施設として、打ち上げられた物でした。
 
≪ケンタウロス≫では、地上までではありませんが、
下に向かい、数キロほどのチューブと、下端にラボラトリー、
上方にバラストを設置して、様々な実験を行なっていました。
 
特に数キロの、真空チューブ内の移動は、
理論的には、光速に近い物に出来るはずで、
様々な、未知の事象やパターンがあるため、
直接的な成果だけでなく、新しい発見もあるのでは?と、
期待されていました。
  
ステーション~ラボ間での、限りなく準光速での、
トランスポート実験は、当初、順調に開始されました。
 
距離が試験用で、数キロと短かった物の、
理論値に、極めて近い数値を出し、
単に、
「地上~ステーション間を、高速で行き来出来る」
だけに、留まらず、
様々な応用法が、考えられました。
 
が、実験を進めるうちに、
はっきりした事故や、失敗では無い物の、
奇妙な不具合や、トラブルも起こり始めます。
 
「これまでにない、物理現象を起こしているのだから、
何かその、副産物のような現象ではないか?」
と、
考えられた物の、中々原因がわかりません。
 
最初は、エネルギーが異様に減っていたり、
ステーション内の物が、別の場所に移動したりで、
事故にしては、原因が思い当たらない物の、
何者かの攻撃や、妨害と考えると、
それにしては、実害は少なく、
敵の姿も、まったくありません。
 
が、試しに、全テストを中止した日にも、
不具合は起こり、物体の移動、消失なども、
徐々に、起こるようになります。
 
そして、決定的だったのは、
古典的な、エートベスのねじれ天秤の実験で、
特定方向の引力が、予測値と違っている事がわかります。
≪ケンタウロスB-178≫では、重力異常が起きていたのです。
 
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お留守番のヒデコ隊員を、地上に残し、
アーク2号が、ステーションに付くと、
さっそくUSTのメンバーは、ステーション職員と会い、
改めて、事情を聞いて、資料を受け取ると、
事件の原因解明に、乗り出しました。

 


石原博(ケンタウロスB-178 キャプテン)
「非科学的な事を、言うようですが…

 
 幽霊でも、いるんじゃないか?
 と、
 思うくらい、妙なんですよ。」
 
ナワテ
「必ず、科学的な原因は、あるはずですが。」
 
石原博(ケンタウロスB-178 キャプテン)
「最初は私も、そう思って、
 ハッパを、かけてましたが。
 
 何か未知の、物理現象の類が起こっているなら、
 我々には、お手上げです。」
 
真鍋春男(ケンタウロスB-178 技術長)
「エネルギー減少現象を、チェックするために、
 動力炉に独立した、計測機器を仕掛けていたんですが。
 
 減少現象が起きた、これまでのリストを見て下さい。」
 
と、渡されたファイルには、
エネルギーの現象が起きた、時間と量が、
箇条書きの一覧になって、リストアップされていました。

が…
 
ナワテ
「この… 25時って、何です?
 
 この、ステーションでは、
 25時間サイクルで、やってるんですか?」
 
真鍋春男(ケンタウロスB-178 技術長)
「いいえ、
 もちろん地上と同じ、24時間制です。
 
 だから、なぜ時折、25時の表示が出るのか、
 我々にも、理解出来ないんです。
 
 機械は何度も、チェックしましたが、
 ミスや故障は、ありません。」
 
ゴウリ
「どう言う事なんだろう?」
 
ナワテ
「何らかの機械のミス以外、考えられないけど。
 
 いや、ここは視野を広く持って、
 とにかくあらゆる可能性を、考えましょう。」
 
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雲をつかむような、話の中、
USTは、出来る所から、
ステーション内の調査を、開始します。
 
ゴウリ、クロスが、探査艇で、
ステーション外の空間の、再調査と分析を、
ユルガ隊長、ナワテ、ユリコが、
ステーション内の、異常現象の再チェックと、
わかる限りの、調査分析を。
 
それらをまとめて、ナワテが考え、
また、データーを地上に送信して、
分析はB班も、担当しました。
 
ところが、確かに、
異常現象が起きている事は、わかる物の、
原因に関しては、まったくわからないままでした。
 
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そんな中、
以外なところから、突破口は来ました。
 
ユルガ
「なんだって!?
 ヒデコ隊員が?」
 
ユリコ
「そうなんです。
 Ⅳ-144の、写真って…」
 
と、手元の機械を操作しながら、
該当する写真を、スクリーンに出します。
 
それは、探査艇から撮った、
ステーションの外の画像でしたが…
 
クロス
「あ! 本当だ。
 写っている!」
 
その画像の、ステーションの窓の部分に、
見知らぬ宇宙船が、写り込んでいたのです。
 
ナワテ
「やっぱり…
 
 宇宙人の仕業だったのか!?」
 
クロス
「待ってください!
 
 でも… この時、確かに、
 外には宇宙船など、ありませんでした。
 
 いや、これに写ってる位、飛んでれば、
 見落とす事は、無いはずです。
 
 レーダー類も、無反応だった。」
 
ユリコ
「言われて見れば…
 
 確かにこの画像は、私もチェックしたわ。
 と言うか、画像は全部チェックしている。
 
 宇宙船など、写っていなかったはず?」
 
ユルガ
「とにかく、もう1度、
 周囲の空間を、調査するんだ。
 
 もう1度、徹底的に。」
 
全員
「了解。」
 
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それから1時間、5人は探査艇とレーダー、
各種調査機器を、総動員して、
ステーションの周囲の空間を、調査し直します。
 
が、この時は何も、見つけられませんでした。
 
再び、1度集まるUST。 
  
ゴウリ
「どう言う事なんだ!?
 感知出来ないのは、なぜだ?
 
 レーダーにも、探査機類にも、
 反応は無いんだぞ?
 
 今、たまたま、
 どっかに、行っちまってるのか?」
 
クロス
「わかりません。
 何となく不気味です。
 
 何か、わからない方法で、
 すぐ近くに、いるのかも知れない。」
 
ユリコ
「何らかの、隠匿技術を持った、
 宇宙人という事かしら?
 
 ステルスみたいな?」
 
ナワテ
「隠匿と言えば、そうなのかも知れないけれど。
 
 何か、今回は、根本的に、
 別の事態の、ような気がする…。」
 
ユリコ
「もし、何かの間違えや、トリックではなく、
 敵が“真に”、25時と言う、
 時間帯から、干渉して来るのだとしたら。
 
 それは我々から見て、存在し得ない時間です。
 
 どう対応すれば、良いのでしょう?」
 
ナワテ
「いや… トリックにせよ、真にせよ、
 向こうからこっちに、干渉出来ると言う事は、
 こっちから向こうにだって、干渉出来るはずだ。
 
 必ず、科学的な原因が、あるはずです。
 
 もう少し情報収集と、時間をもらえませんか?」
 
少しの沈黙のあと、うなづくユルガ隊長。
 
ユルガ
「もとより、今は、それ以外に無い。
 
 どんな小さな異変でも、発見したら報告し、
 あらゆるケースを想定して、対処しよう。」
 
全員
「了解。」
 
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B班と、通信しているナワテ。
 
ナワテ
「単純な、空間的ステルスの類なら、
 時間の遅延現象などは、起きない。
 そもそもキッカケは、エートベスのねじれ天秤だ。
 重力異常は、時空両方の異常だろ?
 ミンコフスキー空間的な。
 
 それに、ただのステルスなら、
 窓ガラスに写る、円盤と言うのも、
 かえって、おかしい気がする。」 
 
ドノバ
「まあ、時間と空間は関連しています。
 時空自体に、干渉されたと思えば?」
 
ナワテ
「そうなんだ。
 
 敵は、ビラ星人事件の時のように、
 時間自体に干渉した…と考えたほうが、
 イメージとしては、近い。
 
 でも、まだ何か、違うんだよ。
 
 こちらの時間を、止めるとかじゃない。
 それならさっきの、窓に写る円盤は起きない。」
 
ドノバ
「確かに、こちらの時間を、止められる…。
 
 限りなくゼロに近い、短い時間に、
 先方さんの時空を、繰り込めるとしたら、
 我々はそもそも、気付けませんね。」
 
ナワテ
「そうなんだよ。
 
 だが、干渉時空中では、同一に存在している。
 
 でないと「一瞬、窓に映る」なんて、
 アナログな事象は、起きない。」
 
ドノバ
「あるのに無い。
 
 もしくは、
 隣り合わせに、存在しているのに、
 機械まで含めて、気がつかない。
 
 まるで、ブラインドサイトですね。」
 
ナワテ
「そう。
 今回は、時空のブラインドサイトとでも、
 言うような、事態なんだ。」
 
ドノバ
「もし、これが、
 時空のブラインドサイトだと、すると…
 
 存在自体は、最初からしているのか?
 
 気がつけないけど、ある。
 あるのに、気がつけない。と言う事に?」
 
ナワテ
「だが、それなら、あると知覚出来た瞬間、
 存在を視認出来るし、存在する事になる。」
 
ドノバ
「量子論的な時空が、繰り込んでいる?
 
 それって、観測問題になっちゃいませんか?」
 
ナワテ
「観測出来れば、存在するんだよ。
 
 だから「一瞬、窓に写る」のを見れた。
 見れた後には、存在しているのは、
 まさに、観測問題なんだよ。
 
 必ずデコヒーレントが、起きてるはずなんだ。」 
 
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【宇宙空間】
 
ステーションのそばを、ゆっくり移動している、
巨大な宇宙人の円盤。
 
窓の中には、数人の宇宙人がおり、
窓の外を、見ています。
 

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