第156話 『14秒の悠久』 (Bパート)

 

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【峡谷内 遺跡の村】
 
5人は、子供の宇宙人に案内され、
村へとやって来ます。
 
村の奥の、一回り大きな建物に入り、
簡素な一室に、案内されます。
 
長老と名乗る、人物と話すと
彼らは、金星人との事でした。
 
ユアラ(アウストリナ文明人 長老)
『ようこそ、外の方。
 
 私はユアラ、
 ここの民、300人の長です。
 
 実は私達にも、よくわからない。
 私達は、滅んだのです。』
 
ユルガ
「滅んだ?
 しかし… 今、生きて…?」
 
ユアラ
『そうです。だから、わからない。
 
 我々は、ずっと昔に栄え、
 しかしその後、衰退して滅びました。
 
 ところが、ある時、
 すべてが、元通りになっていたんです。
 
 ただ、一つだけ昔と違ったのは、
 そこに見知らぬ、宇宙人がいました。
 
 彼らは我々の、時間を戻したと言いました。
 
 もう一度、生きられる代わりに、
 この谷での、鉱石の採掘を命じられています。』
 
ゴウリ
「そんな!?
 そんな事が…!?」
 
ユルガ
「そんな事が、出来るのか?」
 
ナワテ
「いえ…
 常識的には、想像つきませんが…
 
 ただ、翻訳の問題などもあります。
 
 何かの比ゆとか、口語訳として、
 時間を戻すに、相当する“何か”を、
 宇宙人が、起こしたのかも知れません。
 
 それにしても原理は、わかりませんが、
 例えば…
 
 状態を戻すような、何かの操作とか?」
 
ゴウリ
「しかし一体、何のためにそんな真似を?」
 
ナワテ
「そりゃあ、もし最初から、
 侵略、征服する気だったなら、
 元気いっぱいで、警戒しているのよりも、
 滅んじゃってるのを、蘇らせるほうが、
 無抵抗のまま、制圧しやすいんじゃないですか?
 
 そんな事が出来れば。の話しですけど、」
 
クロス
「それで、その、
 何千、何万年分の、
 状態の逆行を、この場で起こした影響が、
 金星全体の、自転の停止だったのか?」
 
ナワテ
「今のところ、自転停止の原因が、
 他に無いですからね。
 
 しかし、そうだとすると…」
 
ゴウリ
「いや、今は自転停止の原因より、
 それが本当なら、隊長!
 
 その宇宙人を倒して、この人達を、
 解放するべきじゃないですか?」
 
ユルガ
「我々の目的は、異変の原因調査だった。
 
 確かに、この人達が、
 嘘をついているとは、思えないんだが。
 
 二勢力の一方に、加担する事が、
 果たして、良い事なのか?」
 
少し考えますが…
 
クロス
「いえ、この人達の言う事が本当なら、
 この人達はもう、滅んでいたんです。
 
 宇宙人の、やっている事は、
 滅んでいた彼らを、利用しての、
 金星侵攻と、考えられませんか?」
 
ナワテ
「ぼくも、クロス隊員に賛成です。
 
 異変の原因と、関係ある事ですし、
 ここは、太陽系の防衛と言う意味で、
 侵略者を撃退して、良いと思います。」
 
ゴウリ
「俺はもちろん、撃退に賛成だぜ!」
 
ユリコ隊員も、うなずいているのを見て、
ユルガ隊長もうなずきます。
 
ユルガ
「わかった。
 一人、アークに戻って、
 ヒデコ隊員と一緒に、そっちを頼む。
 
 残った者で、宇宙人を迎撃。
 金星人を解放しよう。」
 
ナワテ
「それなら、ぼくが戻ります。
 アークのほうは、任せて下さい!」

 

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【峡谷内 円盤母船着陸地点】
 
金星人達に、教えてもらい、
宇宙人の円盤母船の着陸拠点まで近づく、
ユルガ隊長、ゴウリ、クロス、ユリコ。

 
ユルガ
「作戦通り、四方から接近。
 見つからなければ、そのまま爆弾を仕掛け、
 見つかったら、その者が注意を引き、
 残りで円盤を攻撃だ。」
 
ゴウリ、クロス、ユリコ
「了解。」
 
徐々に、円盤母船に接近する4人ですが、
採石場の方で騒ぎが起こり、サイレンがなります。
 
ユルガ
「なんだ? 事故か?」
 
と、ロハビがかけてきます。
 
ロハビ
「長老様が、みんなに話したら、
 みんなも一緒に、戦うって…
 
 今、採石場で反乱を…」
 
ゴウリ
「気持ちは、ありがたいが、
 今、そんな事されたら、かえって邪魔だ!
 こちらの計画が…
 
 あ、危ない!」
 
円盤のそばの、宇宙人が、
ロハビを狙って、銃を撃ち出すのを見て、
ゴウリが、思わず立ち上がって、
宇宙人に撃ち返します。
 
宇宙人は倒れ、ロハビは無事に、
ユルガ隊長の、そばまで来ますが、
円盤母船と周囲には、ライトがともりだし、
ここでもサイレンが、鳴り始めます。
 
ユリコ
「まずいわ、完全に気付かれた。」
 
クロス
「採石場の人達が、気になります。
 
 ぼくは、そっちへ行って見ます。」
 
ユルガ
「わかった。
 気をつけて、何かあったら連絡するんだ!
 
 ゴウリ、ユリコ、
 飛び立たれる前に、円盤を撃てるだけ撃て!
 
 ナワテ、ヒデコ、
 アーク2号、スタートしてくれ!
 話はあとだが、計画が狂った!」
 
ナワテ
『わかりました!』
 

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円盤母船は、
さしたる損傷も無く、浮上してしまい、
さらに、地上施設から出てきた、
宇宙人部隊も、反撃を始めたため、
ユルガ隊長、ゴウリ、ユリコは、
その迎撃で、手一杯になってしまいます。
 
クロスが、採石場前まで来ると、
アウストリナ人と、宇宙人の戦闘は、
すでに、乱戦になっていました。
 
アウストリナ人の方が、人数は多いのですが、
宇宙人は銃を持っているために、苦戦でした。
それを、乱戦に持ち込む事で、
一進一退の、状態になっていました。
 
上空を通過する、アーク2号。
一方こちらの、谷入り口には、
例の怪獣が、やってきました。
 
クロス
「円盤を、アーク2号がやるなら、
 こっちの怪獣は、何とかしよう。」
 
リモートレーザーを、数発撃った後、
変身するクロス。
光りとともに、ゾフィが現れます。

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【峡谷内 宇宙人基地】
 
浮上した円盤母船に、時折撃ち返す物の、
さしたるダメージは、与えられない上に、
円盤に気を取られると、基地から出た、
宇宙人の地上歩兵が、攻撃をし、
 
地上の宇宙人を、相手にしようとすると、
上から円盤が、光線を撃つといったありさまで

苦戦中の3人。
 
そこへ、アーク2号がやって来ます。
円盤に向かって、ロケット弾を撃ち、
数発が命中。
 
上空から離れ出す、円盤。
 
ナワテ
『隊長、円盤は引き受けますよ。』
 
ゴウリ
「こうなれば、こっちの物だぜ!」
 
と、最後に一度、
エネルギー徹甲焼夷弾を装填し、円盤に放つと、
今度は地上宇宙人に向き直る、ゴウリ。
 

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【峡谷内 採石場】
 
採石場の大きな穴の淵で、怪獣と格闘するゾフィ。

 
毒液を吹き出す怪獣。
避けると、後ろの人にかかってしまうので、
反対側に側転して、避けるうち、
足元が崩れ、採石場の穴の中に落ちてしまうゾフィ。
 
怪獣は穴の上、淵からさらに毒液を吹きますが、
ゾフィが、スラッシュショットを放つと、
がけの淵に当たって、足元が崩れ、
怪獣もまた、穴の中に落ちてきます。
 
落ちてきた怪獣をつかんで、手刀を数発打ち、
さらに抱えて、投げ飛ばすゾフィ。
 
起き上がった怪獣は、再び向かってきて、
穴の底で、格闘戦になります。

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【峡谷内 宇宙人基地上空】
 
空中戦中の、アーク2号と円盤母船。
しかし円盤母船はすでに、煙を吹いています。
 
逃げる円盤母船を、後方上空から、
攻撃しながら追っている、アーク2号。
 
ヒデコ
「円盤、速度が低下しています。
 
 下方には、人はいません。」
 
ナワテ
「よし、冷凍散弾で、
 止めを刺しましょう!」
 
アーク2号から発射された、中型弾が、
円盤上で、無数にわかれて降り注ぎ、
数発の命中弾を受けた円盤は、
軌道が外れて落下、地上に激突して爆発します。
 
ナワテ
「やった!
 円盤は、撃破しました!」
 
ユルガ
『ご苦労、こちらもほぼ終着だ。』
 

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【峡谷内 採石場】
 
採石場の大穴の下、輝く鉱石の地面で戦う、
硫黄怪獣ファルマドラと、ゾフィ。

 
ゾフィが再び、怪獣をつかみ、
首投げでたたきつけると、地鳴りが起こり、
底の一部から、噴火のように、
異様な液体の火花が、噴出し始めます。
 
赤、青、紫などの、毒々しい光が輝き、
液体と鉱石が、噴水のように吹き上がります。
 
さらにもう一度、たたきつけると、
噴出が、別の場所からも起こり始め、
鉱石の地面も、崩れ始めます。
 
ガスと毒液をはいて、まだ暴れている怪獣。


 
ゾフィは空へ逃れ、飛びながら、
ボウ・アンド・アロー・スラッシュを撃ち、
怪獣を地面に、縫いつけた上で、
上空から、M87光線を発射。
 
崩壊する、鉱石の穴の底で、
大爆発を起こした怪獣は、そのまま、
崩れる土砂の中に、埋まっていきました。
 

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【金星上空】
 
ゆっくりと垂直に、飛び上がったアーク2号が、
水平に噴射して、軌道を修正、
金星上空を周回しながら、帰路につきます。
 
ユリコ
「色々、あったけど、
 とにかくみんな、無事でよかったわ。」
 
ヒデコ
「人工的と、思われる発信は、
 すべて、なくなりました。
 
 当たり前でしょうけど…。」
 
ゴウリ
「これで、一件落着ですね!
 原因がわかった上で、解決したんだ。
 満点じゃないですか!」
 
クロス
「あ、すみません、
 もう一度、アウストリナ峡谷の上を、
 飛んでもらえますか?」
 
ゴウリ
「了解。
 
 だが、どうかしたのか?」
 
クロス
「やっぱり。
 
 解析度を、最大に上げても、
 廃墟しかない。」
 
ユリコ
「私も、今、思ったの。
 人工的な、発信どころか、
 一切の、動的反応がないのよ」
 
ユルガ
「どう言う事なんだ?
 
 じゃあ、やはり、
 星人の影響から、解き放たれたら、
 彼らは滅んだ状態に、戻ってしまったのか?」
 
ゴウリ
「そんなバカな!?
 
 さっきまで、あれだけの人がいて、
 普通に元気に、してたのに!?」
 
ナワテ
「いえ…
 
 これはあくまで、ぼくの仮説ですが…」
 
ユルガ
「なんだ?」
 
ナワテ
「そもそも、彼らと我々は、
 星人の手で、復活させられて以来、
 時間の、進み方のような物が、
 違っていたのではないか?
 
 と、
 言う気がするんです。」
 
ユルガ
「どう言う事なんだ?」
 
ナワテ
「つまりですよ、
 14秒で終わっていたんです。
 自転の静止は。
 
 でも、我々が、金星で経験した出来事は、
 最初から14秒じゃ、説明出来ません。
 
 それなら、彼らの時間では、
 もう一度自然に、種族が滅ぶまで、
 峡谷で静かに、暮らせたのかも知れない。
 
 そうだとしても、それは“外”から見たら、
 14秒の中に、閉じ込められていた。
 
 我々は峡谷を離れて、こちらに来た時点で、
 彼らの時間から、離れてしまったんです。」
 
クロス
「すると、我々が星人を倒したから、
 彼らは再び、滅びるまでの間、
 峡谷で天寿を、全う出来た。
 
 ただ、その何百年、何千年の時間も、
 我々にとっては、もうすでに、
 終わってしまった14秒の中…。」
 
ナワテ
「現状では、確かめようがない、
 仮説ですけどね。
 
 おそらくは、今、峡谷に戻っても、
 あるのは、廃墟だけでしょうし。
 
 それは、年代測定すれば、
 何千、何万年前と、出るはずです。」
 
ゴウリ
「良くわからんが…
 
 我々のやった事は、無駄では無い。
 それだけわかれば、俺は良いよ!」
 
ユルガ
「地球の我々の、身の回りでさえ、
 まだまだ、謎は尽きないんだ。
 
 宇宙で出会う謎に、解けない物があるのは、
 人が、傲慢にならないようにとの、
 警告かも知れんな。」
      

【第156話・終わり】


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