オバマ大統領の日本観 | Go for Broke ~ハワイ日系二世の記憶~

Go for Broke ~ハワイ日系二世の記憶~

ハワイの日系二世たちが第二次大戦で大活躍をし、多大な犠牲を払ったことは、日本では殆ど知られていません。彼らは、移民後の日系社会を知る唯一の世代でもあるのです。これは、彼らの功労を広く伝え、二世の記憶を残す貴重なドキュメンタリー映画の制作・上映日記です。

いよいよ明日から、日本でサミットが開催されます。

そして大きな話題となっているのが、アメリカのバラク・オバマ大統領が、アメリカの大統領としては初めて広島を訪問することです。

アメリカの政府内では、オバマ大統領が「謝罪」をするのではないかと懸念している向きもあるようです。
それについては、なんとも言えません。なぜなら、日本の首相もこれまで誰一人真珠湾を訪れ謝罪を口にしていないからです。

それよりも、なぜ、オバマ大統領は広島に行こうと思ったのか?

考えようによっては、ケリー国務長官やケネディ大使を先遣隊として遣わせ、自分が訪れる素地を作っておいてから訪問するのではないかとも捉えられます。

それほど、オバマ大統領は個人的に日本に対して「思い入れ」を持ってくれているのではないでしょうか。
そう考えられる要因があります。

皆さんご存知のように、オバマ大統領はハワイで生まれ、少年期の一時期をインドネシアで過ごしましたが、ハワイに戻ってから名門のプナホウスクールに通いました。
オバマ大統領が少年期を共に過ごした母方の祖父母の家は、プナホウスクールからそれほど離れていません。

また、少年バラク・オバマは、高校生時代に社会奉仕と収入を兼ねたアルバイトをします。それは、プナホウスクールの道を挟んだ向かいにある「Arcadia Retirement Residence(アルカディア退職者レジデンス)」での皿洗いや配膳、掃除などです。

本作で証言する「Whity Yamamotoさん」も住むArcadia Retirement Residenceは、文字通りリタイアしたお年寄りたちが暮らす老人ホームのようなものです。しかもArcadia Retirement Residenceは、一流レストランかと見紛うほどの食堂や、コミュニティスペースもあり、ここが老人ホームだとは思えないほどです。

Arcadiaの食堂には、高校生時代にアルバイトをしたオバマ大統領からの礼状が飾られています。
そこには「PunahouとArcadiaで働いた日々や、私に影響を与えたハワイのアロハスピリットとハワイの素晴らしい人々を思い出します。私は多くのことを家族や友人、そして教師から教わりました」とあります。

もちろん、ここには日系のお年寄りもいます。特に日系人の中で広島県人が多いのは言うまでもないでしょう。Whity Yamamotoさんも広島系の二世です。

少年バラク・オバマが接した日系人のお年寄り。そしてその中で、まだ見ぬ広島への憧憬の念を抱いていたとしても決して大げさではない気がします。