【地獄にようこそ】

◎コメディー台本

◎30~35分程度

☆約束☆

・今回の台本は長編となっています。お気を付けください。

・配信でご使用する際は許可を取る必要はありません。ご自由にご使用ください。

・番組名や説明欄に紹介していただけたら嬉しいです。

・話口調を男性寄り、女性寄りに変更していただいても大丈夫です。アドリブとかも入れていただいて構いませんが、他の演者様が困るような事や結末を変えるなどはお控えください。

 

・場合によってBL、GLになってしまうかもしれません。苦手な方はお気をつけください。

・みんなで楽しく声劇をしましょう!!

 

佐藤(性別不問):ボケ。

 

田中(性別不問):ツッコミ多め。演じる方によって女性好きの女性にもなるし、女性好きな男性にもなります。

 

赤鬼(女性):ボケ。

 

青鬼(男性):ボケ。

 

エンマ(性別不問):自由人。

 

 

【役表】

佐藤(性別不問):

 

田中(性別不問):

 

赤鬼(女性):

 

青鬼(男性):

 

エンマ(性別不問):

 

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佐藤:いやぁ、死んじゃったね。

田中:いや、展開が急すぎないか!?

佐藤:死んだら、頭に三角の布のやつ着けるって本当だったんだ。

田中:いやいやいや、そんな事よりも俺ら死んだの!?なんで!?

佐藤:でも、死んだら路線バスに乗るって言うのは初耳だよね。

田中:いや、それも思ったけど、展開が急すぎるんだよ!なんで!?俺らなんで死んだの!?

佐藤:えっと・・・ごめんね?急に山登り誘って。

田中:山登り・・・?あのさ、自分の死因をはっきり覚えてないんだけど、佐藤はなんで死んだか覚えてる感じか?

佐藤:バッチリ覚えてるよ?

田中:なんで死んだの?俺ら。

佐藤:えっと、確か山登りしてたんだよ。

田中:山登り?インドアな俺らが?

佐藤:そうそう。たしか、キャンプ飯か何かの動画でビビっと来て…

田中:山にキャンプしに行ったと。

佐藤:で、まだ食べ足りないとかでキノコ取って食べたんだよ。

田中:キノコ…、まさか、それか?

佐藤:おそらくね。まぁ、お酒も飲んでたし、やっちゃったもんはしょうがないよね?

田中:はぁ…最悪だ。酒飲んで毒キノコ食って死ぬって…。

 

佐藤:まぁ、死んじゃったのには変わりないから、しょうがないね。

 

田中:えぇ…まじかよ…なんか損した気分だわぁ…。

佐藤:ところで、このバスどこまで行くんだろうね。

田中:ん?え、あぁ、そういや、俺達以外、誰も乗ってないもんな。

アナウンス(エンマ):ピンポンパンポン♪亡者(もうじゃ)の皆様、本日はお亡くなりになってしまい、ご愁傷(しゅうしょう)さまでした。まもなく、地獄、地獄。お忘れの悔(く)いがありませぬよう、お気をつけてお降り下さい。

田中:は!?地獄!?

佐藤:どおりで外の景色、暗色(あんしょく)が基調(きちょう)になってるなぁって思ったんだよね。

田中:嘘だろ…、酒飲んで毒キノコ食って死んで、結果地獄って…マジかぁ…(ため息)

佐藤:でもさ、案外良いとこかもよ?地獄。

アナウンス(エンマ):突然の死、伝えたい事、伝えたかった事、ラップ音でお伝えします。遺言、伝言はポルターガイスト情報センターにご連絡ください。詳しくは042-731ドットコムまで。

佐藤:ほら、こんなサービスまであるみたいだよ?便利〜。

田中:ラップ音ってそういう仕組みなの!?生きてる人わかんねぇよ!!これ、語呂合わせすると「お死になさい」じゃん!!無理矢理にでも成仏させる方向じゃんよ!!

佐藤:あ、着いたみたいだよ?

赤鬼:亡者の皆さーん、降りてもらっていいですかー?

佐藤:田中、着いたって。あれ?田中?もしもーし?

赤鬼:あれ?あなた達二人だけ?ほら、さっさと降りて?エンマ様待ってるから。

田中:あの…LIN〇とかやってます?

佐藤:田中?

田中:あ、俺、田中って言います!お姉さん、めちゃくちゃかわいいですね!え?彼氏とかいますか?

赤鬼:え、ちょっ…なに?キモっ。

佐藤:田中、彼女引いてるから。ほら、行くよ。 

田中:せめて…せめてお名前だけでもおおおおおお!!

赤鬼:なんだったの、あの亡者。初めてのタイプだわ。(トランシーバーを取り出して)もしもし?青?いま、亡者2人そっちに行ったから。うん。案内の用意してて。私も説明会終わったら合流するからさ。

 

 



佐藤:田中、そろそろ機嫌直しなよ。呼ばれてたんだからしょうがないじゃん。

田中:いいや、もうちょい粘ってたら連絡先ゲットできてたね。彼女、俺の事見て視線逸らさなかったもん。

佐藤:そりゃ、目血走った奴が見てたら、怖くて目離せないと思うよ?何してくるかわかんないから。

田中:死んでからの運命の出会いかと思ったのにいい…。

佐藤:諦めて成仏しなよ、田中。

田中:消滅させにくるのやめてくれる?

赤鬼:落ち着いた?君達。

田中:運命の再会キター!!

赤鬼:・・・あなた、ちょっと黙っててくれる?なんか、その、キモいから。

田中:おやおや?恥ずかしいのかい?大丈夫!オレ、コワクナイ!アナタ ノ トモダチ!(佐藤に頭を叩かれる)痛っ!!

佐藤:すみません。後でよく言い聞かせておきますので。

赤鬼:そ、そう?ありがと。それじゃあ、改めて、地獄にようこそ♪あなた達には、これからエンマ大王様の前まで来てもらうわ。途中、罪を洗う前準備として、八大地獄を体験してもらうけど、案内人が地獄の紹介もガイドしながらやってくから、しっかり、ついてきてよね。

田中:(小声で)おいおい、佐藤。地獄って聞いてやべえ所かなって思ったけど、かわいいお姉さんいるし、ご丁寧(ていねい)に観光案内みたいなのもあるし、いまのとこ、最高じゃね?

佐藤:田中、いま、サラッと八大地獄体験付いてるって言ってたの聞こえてた?

青鬼:(しんどそうに)失礼します。ここから案内を担当させていただきます。青鬼の青です。

赤鬼:青、あんた、またそんな感じに入ってきてから、もっとしゃんとしなさい!

青鬼:(しんどそうに)しゃきーん。

赤鬼:あんたねぇ・・・(ため息)。もういいわ、とりあえず、案内してあげて。

青鬼:じゃ、手っ取り早く終わらせたいので、お二方、こっちに付いてきてください。



佐藤:(薄暗い道を歩きながら)なんか、急に通路が暗くなってきてない?

田中:さっきと打って変わって、物々しい雰囲気だよな。急に怖くなってきた。

エンマ:お?お客さん達、もしかして地獄初めて?そんな顔してるもんね!

田中:いや、初めてに決まってんだろ!!何回も死んだ事ないわ!!

佐藤:わ!びっくりした!!田中どうしたの!?いきなり大声上げて!

田中:いや、だって、こいつが・・・(指を指す)

青鬼:誰もいないけど?

佐藤:田中、まさか・・・これ?(幽霊のポーズをする)

田中:いや、幽霊って俺らがそうだからな!?・・・あれ?

赤鬼:(耳を塞いで怖がりながら)なによ?

青鬼:そういえば、赤、そういうの苦手だったね。地獄の住人なのに。

赤鬼:うっさい!!

佐藤:まぁ、人間、苦手なものありますよね。

赤鬼:人間じゃないし!!鬼だし!!

田中:キュンっ!!

赤鬼:死ねっ!!(田中を殴る)

田中:ぐふっ!!

青鬼:あ、そろそろ最初の地獄にご案内しますので、準備のほど、お願いしまーす。

田中:いたもん、本当にボケてきた奴いたもん。

青鬼:昔の地獄は、そりゃもう血なまぐさい・・・もとい、色々、悲惨な地獄があったのですが、いまでは時代に沿ったテーマとしてリノベーションされ、新しい地獄となっております。

田中:いや、地獄ってリノベーションされるもんなのか?

佐藤:地獄も世知辛いんだね。

青鬼:そして、これが現代の八大地獄、第1の地獄「休みの日にお仕事の電話地獄」です。

田中:なんて!?

赤鬼:ここでは、あんた達、亡者に催眠をかけて、久しぶりの休日感を味わってもらうわ。

佐藤:ほうほう。

青鬼:そして、この自分の部屋と錯覚するワンルームマンションを模した部屋でしばらく過ごしていただきます。

田中:なるほど?

赤鬼:見てみなさい。ちょうど、亡者1人が体験するとこよ。

亡者(エンマ):いや〜、久々の休日だ。普段疲れてる分、しっかり楽しんで・・・ん?電話?はい、もしもし。え?相手先からの注文の取り方?いや、そこは特殊なとこだから、うん、うん、そうそう。で、注文書に目印付けといて。うん、よろしく〜。はぁ、また面倒なとこから注文来たなぁ。明日、やっとかねぇと・・・って、もう、12時!?やばい!!休みだから時間が過ぎるのが早すぎる!!・・・え!?また電話!?はい、もしもし。あ、お世話になっております。え!?注文の変更をしたい!?申し訳ありません、いま、会社に居なくて・・・え?関係ない?担当は自分なんだからって、いや、そう言われましても・・・え!?なら、取引先を変える!?ちょ、待ってください!!わかりました!!すぐ、なんとかしますんで!!はい!折り返し連絡します!はい、はい!すみません、失礼いたします!!・・・え!?もう3時!?はっ!!また、電話が!!別の取引先!?はっ!!こっちにも!?あっちにも電話!?や、やめてくれーー!!休ませてくれーー!!

田中:地獄だな。

佐藤:地獄だね。

青鬼:君達にもいまから、これを1時間みっちり味わってもらいます。

田中:ウソだろ・・・。

赤鬼:エンマ様の審判を受けるには八大地獄巡らないといけないから、ね?

佐藤:田中、地獄ってやっぱり怖い所だったんだね。

田中:嫌だ!!離せ!!俺は行きたく(遮られる)

青鬼:無駄な抵抗はやめてくださいね〜。

赤鬼:社畜にな〜る社畜にな〜る。

青鬼:おかえりなさい。いい感じに生気抜けたね。

田中:(絶望した顔で)おやすみが・・・俺のおやすみが・・・

佐藤:電話嫌い・・・電話出たくない・・・。

赤鬼:まだ、こんなんじゃ終わらないから。あなた達、覚悟しておくように。

青鬼:それじゃあ、じゃんじゃん行きましょう。れっつごー。

田中:いや、ちょっと休ませてく(遮られる)

赤鬼:コンビニのトイレ開かない地獄。

青鬼:大が漏れ〜る大が漏れ〜る

田中:最終関門が!!俺の最終関門が!!

佐藤:社会人なって、漏らしたくない!!漏らしたくない!!

田中:トイレでスマホいじんな!!さっさ出てこいや!!

青鬼:映画館内で両隣りの咀嚼音(そしゃくおん)で映画に集中できない地獄。

赤鬼:クチャラ〜クチャラ〜

田中:くちゃくちゃうるせえ!!

 

佐藤:良いシーンのはずなのに内容が入ってこない!!

田中:ガム噛んでんじゃねえ!!

赤鬼:精神的逼迫(せいしんてきひっぱく)状態パワハラ地獄。

青鬼:求人多数〜求人多数〜

田中:パワハラ、セクハラ、モラハラ何でもアリか、この上司は。

佐藤:アットホームじゃないよ、バッドホームだよ、この職場。

田中:やめろ!!昔話始めんな!!無駄に長ぇっ!!

青鬼:屋内炎天下人密集地獄(おくないえんてんかひとみっしゅううじごく)。

赤鬼:コミケ〜コミケ〜

田中:あ、あづい・・・。

佐藤:これが人類が作れる熱なのか。

田中:わ〜、室内に雲ができてらぁ〜。

赤鬼:オールシーズン花粉症地獄。

青鬼:スギヒノキ〜スギヒノキ〜。

田中:鼻詰(ばなどぅ)ばりが、どぅらい。(鼻詰まりが辛い)

佐藤:目を取り出して洗いたい。鼻に蛇口つけて鼻水全部出したい・・・。

田中:花粉の元になる植物、全部燃えろ。

青鬼:声劇中に物語の中心的肝心(かんじん)なセリフが飛ぶ地獄。

赤鬼:セリフ飛べ〜セリフ飛べ〜。

田中:あ・・・

佐藤:その・・・えっと・・・

田中:た、耐えられねえ!!この空気感は地獄過ぎる!! 

青鬼:むち打ち100回地獄。

田中:おい、ちょっと待て!!地獄の本性出てきてんぞ!!(鞭で叩かれる)いったああああ!!

佐藤:鞭打(べんだ)は痛い!!鞭打(べんだ)は痛い!!



青鬼:はい、お疲れ様でした。

田中:めちゃ疲れた。

佐藤:なんか、3キロくらい体重減った感じがする。

赤鬼:それじゃ、いまからエンマ大王様に会うけど、準備はいい?

田中:お、おう。

青鬼:エンマ様は凄い怖いかもですけど、質問にしっかり答えればいいので、頑張ってください。

赤鬼:エンマ様、失礼します。亡者2人を連れてきました。 

エンマ:(威圧感を出しながら)・・・貴様らか。

田中:(怖がりながら)あ、あれがエンマ大王・・・。

佐藤:(怖がりながら)周りの空気が全然違う・・・。

赤鬼:・・・ちょっと失礼。

エンマ:(威圧感を出しながら)・・・貴様・・・らか。

赤鬼:起きろ!!このスットコドッコイが!!(エンマを引っぱたく)

エンマ:痛い!!はっ!!暗黒魔界軍団は!?ラグナロクはどうなった!?

青鬼:どんな夢見てるんですか。ほら、亡者2人連れてきましたよ。

エンマ:ん?え?あぁ、夢か。・・・えっと、チャオ、エンマだぞ。

田中:いや、どんな寝言だよ。焦ったわ。

佐藤:わぁ、さっきまでの威圧感が嘘のように消えた。

赤鬼:なんで、寝てんですか?今日、審判あるって伝えたでしょ?

エンマ:だって、君ら来るの遅いんだもん。途中、ちょっかいかけ行ったけど、気づいたのもそこの子だけだったし。

田中:あの時、話しかけてきたのお前かい!!

エンマ:で、地獄どうだった?

田中:まったく良くなかった。

佐藤:メンタルやられるかと思った。

エンマ:うん、上々(じょうじょう)上々。そんじゃ、次が審判になるんだけど、この生前のあれこれが書いてあるプライバシー無視の閻魔帳(えんまちょう)を使いながら、君らの行いを見ていこうかな。まぁ、罪の意識とか悔いとかで心残りしない為の浄化作業みたいなもんだから、大丈夫大丈夫。

田中:そんなこと言われても「審判」ってワードで既に怖いんよな。

エンマ:じゃ、まず、君から。田中さんね。ほら、そこの審判席に座ってくれる?

田中:審判席って、この縦型洗濯機(たてがたせんたくき)の事か?

エンマ:ん?そう見える?

田中:いや、どう見ても、ちょっと昔のガタガタ言うタイプの洗濯機じゃん。

佐藤:久々に見たね、この薄緑色タイプの洗濯機。

赤鬼:おい、何を言う!!これは最新型の審判席だぞ!!

青鬼:ここのボタンを押すと席が回って、あらゆる罪を洗い落とすタイプですよ?

田中:まんま洗濯機じゃねぇか。

エンマ:じゃ、とりあえず罪(つみ)いっとこうか♪

田中:そんな、「とりあえず生」みたいな響きで審判始まんの?

エンマ:えっと、なになに?「衝撃!!小学生ながらに狡猾(こうかつ)な手口、教師の目を盗み、昼休みの廊下を爆走!!周りへの迷惑を考えない暴走田中!!」か。

赤鬼:悪ね。

青鬼:悪ですね。

佐藤:(引き気味に)田中ぁ・・・

田中:いや、ちょっと待って!?なに!?ニュースの特番みたいな感じで進んでいくの!?ってか、廊下走って、そんな風になるもんなんか!?

エンマ:まぁ、校則守れてないって、悪じゃない?

赤鬼:あんたが走った事で、騒音を生み出し、図書室で本を読んでいる子達に迷惑をかけたのよ!!

青鬼:悪事を認めないって、厄介なドライバーですね。見苦しいですよ?

佐藤:田中、どんな田中だろうと見捨てないよ?

田中:待って!!絶対、世の小学生ほぼ全員引っかかるからな!?佐藤も絶対、人の事言えないはずだからな!?

エンマ:いや、佐藤さんにそんな罪状は見当たらないね。

田中:嘘じゃん!?

エンマ:はいはい、じゃあ、罪洗っていこうか。準備して〜。

赤鬼:己の罪を償いなさい。

青鬼:レッツ洗浄。

田中:いや、ちょい待っ(回る)ぬあああああああああああ!!!!

エンマ:うん、絶好調、絶好調♪

赤鬼:今日も、なんとか大丈夫そうね。

青鬼:この前、ガッタンガッタン言ってた時は流石にヤバいと思ったけど、良かった、良かった。

赤鬼:出てきた時は腕とか足とかありえない方向に曲がってたけど・・・。

エンマ:大丈夫、大丈夫。今回はなんとか回ってるし。うん、多分。

佐藤:あの〜・・・なんかガッタンガッタン聞こえてきてますけど?

エンマ:ん?

佐藤:田中、大丈夫なんですよね?

赤鬼:え、うん、多分。

青鬼:最悪、死ぬことは無いですから、ね?

田中:なんか言ったああああああああ!?!?!?

エンマ:いや、大丈夫ー、うん、問題ないからー。

赤鬼:あ、終わった。

青鬼:田中さん、なんともないですか?

田中:(ぐったりしながら)体の節々(ふしぶし)が痛いのと吐きそうなのとは裏腹に、謎の爽快感がある・・・。

エンマ:あ、ならOKOK。無事、罪(つみ)洗えてるわ。

佐藤:田中、大丈夫?

田中:うん、まぁなんとか・・・。

エンマ:じゃ、次行こうか。えっとお次はー・・・(急に真剣な顔つきになる)

赤鬼:エンマ様?

青鬼:いかがされました?

田中:え!?なに!?そんな集合するような案件までしてたっけ!?

エンマ:最近まで「死んだら異世界転生して俺TUEEEEな人生送りながら、ハーレム築き上げる生活」という自分を主人公にした漫画をノートに書いていた。

赤鬼:うわぁ・・・。

青鬼:・・・はは。

田中:いや、そんな黒歴史を全員で鑑賞すんなよ!!ってか、朗読すんじゃねえ!!

エンマ:そのノートは現在、お母さんが大切に保管されてるそうだよ。良かったね。

田中:良くねぇよ!!遺品のチョイスおかしいだろ!!心残りが過ぎるわ!!成仏できねぇよ!!

エンマ:はい、洗って洗ってー。

赤鬼:ポチッとな。

田中:ぬあああああああああああああああ!!!!

佐藤:田中、そんな事もしてたんだ。

青鬼:あ、終わりましたね。

エンマ:はい、次ー。えっと、小学生の頃、好きな子のリコーダーを・・・え、マジ?

赤鬼:クズね。

青鬼:うわぁ・・・。

田中:いや、それは、その、出来心っていうか、佐藤もそういうのあっただろ!?

佐藤:stay away.(ステイアウェイ:近づかないで)

田中:なんで、英語!?

エンマ:じゃ、洗っちゃおう!!

青鬼:ポチッとな。

田中:んぎゃああああああ!!吐く吐く吐く!!!!



エンマ:さてと、無事ありとあらゆる田中さんの罪は洗えた訳だけど、どうだった?

田中:体へのダメージと裏腹に心の爽快感がハンパなくて、すごい気持ち悪い。

佐藤:田中、大丈夫?

田中:大丈夫と言えば大丈夫かもだけど、大丈夫じゃないと言えば大丈夫じゃない。佐藤、お前も気をつけろよ。洗濯物の気持ちがよく分かるぞ。

エンマ:もう無いみたいだね。うん、OK、OK。

赤鬼:洗浄完了ね。

青鬼:お疲れ様でした。

エンマ:では、判決を言い渡そう!!(軽く言う感じで)まぁ、天国でいいんじゃない?

田中:そんな簡単に言うもんなのか!?

佐藤:良かったじゃん、田中。天国行けるって。

エンマ:よし、じゃあ、田中さんは2人に付いてって。天国への案内してくれるから。

田中:え?佐藤の審判は?

エンマ:いや、人の罪を聞くなんて、プライバシーポリシーとかあるからさ。そこら辺、厳しいんだよ、地獄って。

田中:散々、恥ずかしい記憶やら罪を公開処刑されたんだけど!?

赤鬼:ほら、行くわよ。

青鬼:天国はこっちでーす。

田中:待て待て待て!!おかしいじゃん!!俺だけプライバシーポリシー無いんか!!おい!!なんとか言え!!

エンマ:逝(い)ってらっしゃ〜い♪
 


赤鬼:じゃあ、このエレベーターで天国行けるから。

田中:いや、なんか納得いかねーんだけど。なんで、俺だけ・・・。

赤鬼:規則なんだからしょうがないじゃない。

田中:まぁ、いいか。

青鬼:次はハーレム築いて俺TUEEEE(つえー)な人生、送れるといいですね。

田中:お願いだから、それは忘れてくんね?そう言えば、佐藤はいつ頃、来るんだ?できれば、友達居た方が落ち着くんだけど。

赤鬼:え?あんた何も聞いてないの?

田中:え?

青鬼:これ、1人乗り用なんだよ。まぁ、あの子も後で来るから、気にせず行っといでよ。僕から先に行ったって伝えとくから。

田中:え?そう?

赤鬼:まぁ、2人の魂がごちゃごちゃに混ざった状態で転生したいなら、止めないけど?

田中:(少し青ざめながら)それは、やめとくわ。じゃあ、失礼して…。

青鬼:はい、上にあがりまーす。


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赤鬼:ねぇ、あんた知ってたの?

青鬼:うん。エンマ様なりの配慮(はいりょ)じゃない?人を呪わばなんとやらって言うし。あの子、真実聞いたら面倒くさそうだし。

赤鬼:なるほどね。じゃ、持ち場に戻りましょ?青。

青鬼:そうだね。さてと、お仕事お仕事。



佐藤:田中、ちゃんと行けたかな?

エンマ:いま、向こうに無事着いたのを確認したよ。

佐藤:それなら良かった♪

エンマ:さて、佐藤くん、君は…

佐藤:はい。地獄に行くんですよね?

エンマ:(嬉しそうに)物分りがよくて助かるよ。・・・なんで田中くんを殺したんだい?

佐藤:なんで殺したって…

エンマ:だって、さすがに殺人はいかんよ。君達は大の仲良しだったんだろ?

佐藤:あ〜、そういう事ですか。(ため息をついて)エンマ様は人を好きになった事ありますか?

エンマ:いや、仕事に影響(えいきょう)するから、愛だの恋だのは遠慮(えんりょ)しているんだ。

佐藤:それは可哀想に。エンマ大王ってのも大変なんですね。

エンマ:ハハハ、まぁね。

佐藤:田中ね、お酒飲むと何でも話すんです。で、あいつ好きな人がいたんですって。それを僕の目の前で嬉々(きき)として話すんです。自分を好いている人が目の前にいると知らずに。僕の方が昔から田中の事、好きだったのに。その話聞いてたら、もうどうでも良くなってきちゃって。どうせ奪われるなら、自分だけが永遠に辛い思いするならいっそ、一緒に・・・。(明るく)気づいたら大きめの石でめちゃくちゃ殴ってて・・・。思わず殺(や)っちゃいましたよね。

エンマ:君、結構ヤバい子だったみたいだね。過去にも田中さんに言い寄ってきた異性とかを生き埋めに、溺死に、うわぁ・・・バラバラにして死体遺棄(いき)はやばいね。田中さん、モテ
モテだったのに、君が裏でこんなにやってたんだ。

佐藤:エンマ大王さんは近寄ってくる蚊とか、ハエにも優しくするんですか?

エンマ:(悟ったように)なるほどね?それで、田中さん殺した後はどうしたの?

佐藤:好きな人が死んでしまった世界なんて自分には価値がないから、持ってきてたナイフで自分の首をグサって、ね?

エンマ:ははは、思い切った事するんだね〜。じゃ、改めて(雰囲気が変わる)君には今から、本物の八大地獄を巡ってもらい、その後、改めて判決を下す。いいね?

佐藤:愛する人を殺した罰(ばつ)と考えたら軽いもんですよ。絶対痛かったりするんだろうなぁ。

エンマ:ハッハッハ、そんなもんで済むといいね? 

赤鬼:準備できたわよ。

青鬼:罪人はこちらへ。

エンマ:佐藤さん。最後に言い残すことは?

佐藤:田中、愛してるよ、とか?

エンマ:いままでの罪人の中で1番ロマンス溢れるセリフじゃないか。

佐藤:そりゃ、どうも。

赤鬼:開門します。

青鬼:地獄門、開門。

佐藤:(中の様子を見て恐怖を覚えながら)これは・・・。

エンマ:あ、佐藤さん。僕からも一言伝え忘れてた。

佐藤:(怯えながらも平気なフリしながら)・・・なんですか?

エンマ:地獄にようこそ。



Fin

 

 

演じて頂きありがとうございました。

今後も煮成焼也(ニルナリヤクナリ)の台本をよろしくお願いします。

 

連絡先はコメントもしくはTwitterID → 【@nalinirunali】によろしくお願いします。