ブラジリアへ移ってからお世話なりっぱなしのB君。
同じ大学出身でダンナさんと学生バンドのメンバーだった。
昔から「虫」っていう感じのニックネームで
いまだに本名で呼んだことはない。
B君と知り合ったのは私が修士課程の大学院生だった頃。
親友のAちゃんの研究室の後輩。彼はまだ大学生だった。
Aちゃんのヒイキの後輩でいつも言ってた。
「あいつ変人だけど一種の天才なんだよ。まだ大学生なのにスゲー研究報告かいてる。」
うわさのB君とはAちゃんのホームパーティで知り合った。
「虫です、よろしく」なんて初めからあだ名で自己紹介。ニコリともしないで。
Aちゃんが変人といってたのがよくわかった。
容姿から変わってる。腰まで伸ばしたストレートの髪、おまけに赤毛。
赤毛の人特有の雀斑だらけの真っ白い肌。しかし顔だちは完全にアフロ。
しかも頭の良い連中特有なシニックな雰囲気。
後で彼はドイツ系と黒人の混血だと知った。
「日本人かーKitaroって知ってる?」
「Kitaroかーダサいよ、嫌いだなー」
何て会話したのを覚えてる。
正直言って気に食わないと思った。
ちょっと高慢なシニックな感じで。
私が初対面で「ダサい」なんていったのは
鼻っ柱圧し折ってやりたかったから。。。
それから数日後彼から電話が掛かってきた。
「猫が車に轢かれたんだけどみてくれる?」
「いいよ」
あの頃クリニックはなかったけど家にはちょっとした設備があった。
てっきり彼ペットだと思った。でも彼の家の前で轢かれた野良猫だった。
野良猫の腰は見事に砕けてた。
彼の車は血だらけに汚れてた。
私が点滴のためにショックで縮んだ静脈を探している間
おろおろしてるB君を横目で見て
こいつ案外といいやつなんだなーっと思った。
かれこれ20年前の話だ。
あれからダンナさんと一緒に弾き始め
長い付き合いだ。
ブラジリアで再会。
B君はいまだに変人だが
年下の優しい人と結婚して
国立大学教授として活躍している。
昔の精悍な感じは消えうせて
いいおっさんになってる。
B君はなんでも物知りなので
私はちょくちょく世話になる。
ダンナさんの苦手な電気関係とか
コンピュターのこととか
ダンナさんは
「あのね、Bに色々訊くのはやめくれる?
あいつ、その度に優越感に浸って俺になだかんだ言ってくるんだよ」
「いいんじゃない、あんたたち愛と憎しみの関係なんだから」
ちゃかしてやる。
B君最近ラジコンに凝って
仕事そっちのけではまり込んでいる。
大学からは大分苦情がでているらしいが
そのうち、ラジコンを使った凄い研究プロジェクトをだすんだろうと思う。
昔からそうだったから。
ダンナさんは
「あいつと一緒にいるとラジコンの話ばっかりで疲れるよ」
なんてボヤイテいるが
「もっと優しくしてあげなよ」
なんて言ってる。
B君には昔から凄く世話になっている。
変人は変わってないけれど
もし何かあったら二つ返事で助けてくれる人だと頼りにしている。
一昔夫婦喧嘩の後ダンナさんが家をでて行ってしまい
真夜中に泣きながらB君に電話かけたこともあった。
でも
男同士の友情って面白いなと思う。
兄弟のように慕いあっていても
悪態ついて競いあったり。。。
今度の日曜日は
彼の新しいプロジェクトのラジコン船の操作に付き合うのに
皆でカイヤックやりにいく予定。
B君が今まで大事に仕舞っていた
バンドの昔の舞台衣装で遊ぶ二人。
いいコンビだ。
