今回は防衛の事について私見を述べさせていただくつもりでしたが、先日開会した平成26年第3回都城市議会定例会(6月定例会)初日に、市民の皆様にお詫び申し上げなければならない事案が発生したので、急遽、そのことについて記してみたいと思います。

このような書き始めだと「そうか、ついに楡田は問題行動を起こしてしまったか」と憂慮なされる方もおられるかもしれませんが、残念ながら今回の主な登場人物は「議会」と「市民」です。

そして、市民の皆様にお詫び申し上げなければならない事案とは、簡単に説明すると…いや、簡単には説明できないので時系列にご説明申し上げます。(※注 文中の標記・時刻はすべて楡田の責任と記憶によるものとします)。

今回の事案とは、去る3月定例会の折、ある市民団体から地方自治法第124条(普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。)により提出された請願の採決をめぐっての議事進行が滞ってしまったことであります。

本請願は、「都島公園北側道路整備及び公園周辺整備について」の請願であり、その概要は、主に≪都島公園北側の道路は、実際約2mの道路幅と狭隘なため、消防車等の緊急車両の通行が困難な状態で周辺住民の安全が脅かされていること、道路の排水能力が不十分で大雨時には流水により道路利用者に不便をきたしていること≫、また≪都島公園は63,000人を超える年間利用者があるにも拘らず、約30台分の駐車スペースしかなく、しかも長い階段を上がらなければ公園にたどりつかない状況で、高齢者や障害のある方々にとっては、利用が厳しい駐車場であること≫などの理由により、「都島公園北側道路整備により地域住民の安全が図られ、公園利用者とりわけ高齢者の利便性を考慮した駐車場整備をはじめとした公園周辺の整備が一刻も早く実現できるよう」議会に要望されたものであります。

その後、建設委員会に審議が付託され継続審査とし、委員会において現地調査、請願紹介議員や請願者からの聞き取りを経て、建設委員会にて採決し(賛成、反対討論共になし)、委員長を除く7名の委員中、1名の賛成で「不採択すべきもの」と決定、この委員長報告ををうけて本6月議会本会議初日に議長が表決を採ったところ

①(10:18頃)同請願について起立採決(問題を可とする者を起立させる)の結果、定足数34名中1名が退席し、議長を除く32名のうち16名が可(賛成)とするほうに起立した。

②(10:23頃)起立採決は、本市議会会議規則(以下、議会規則)第69条第1項の規定(議長が表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、起立者の多少を認定して可否の結果を宣告する)により、可(賛成)を諮るものとしており、否(反対)を諮る規定はないため、可否同数とは認定しがたい(着席者には、反対者、態度保留者、棄権者等も含まれる可能性があるため)状況となり、議長、議会運営委員会委員長(以下、議運・議運長)、議会事務局の協議により、10:23に休憩。

③この間(10:24頃~11:00過ぎまで)、議運にて「可否数を明確に認定するには、議会規則第69条第2項(議長が起立者の多少を認定し難いとき、又は議長の宣告に対して出席議員5人以上から異議があるときは、議長は、記名又は無記名の投票で表決を採らなければならない)の規定により、投票を行わなければならない。なお、投票で可否同数となった場合は、議長裁決となる(地方自治法第116条第1項 この法律に特別の定がある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。)ついては、投票の方法を無記名投票とするか、記名投票とするか、を議運各委員に説明し、投票方法について各会派に持ち帰って協議後、議運再開、議運委員の意見が、無記名投票、記名投票に分かれたため、それぞれに賛同する委員が記名投票、無記名投票による表決要求書を議長に提出し、会議規則第70条第2項(同時に前項の記名投票と無記名投票の要求があるときは、議長は、いずれの方法によるかを無記名投票で決める。)の規定に基づき、採決方法をいずれの方法によるかを無記名投票で決めることに決定した。そして各議運委員は各会派に帰り、そのことを伝えて11:15頃本会議開議となった。

④(11:15頃)本会議開議されるものの、議事進行の準備のため直ちに休憩となる。恐らく、議運終了後、議長と議会事務局の打ち合わせ中に議運での決定事項に不服を唱える数名の議員が議長室に押しかけ、入念な準備の妨げをうけ、本会議開議をいたずらに遅延できないと判断されたことによると思われる。

⑤(11:30頃)本会議開議、議長が議運での決定を踏まえて、採決方法をいずれの方法によるかを無記名投票で決めること宣告し直ちに投票準備を進めようとするとき、出席議員の数名より異議の申し立てがあった為、状況整理・選挙準備のためほどなく休憩となった。

⑥(11:40頃)本会議開議、議長が請願の採択、不採択を諮る採決方法を記名投票・無記名投票いずれの方法によるかを無記名投票で決めること宣告し投票開始(定足数34名中1名が退席中、議長を除く32名のうち)、記名投票11票、無記名投票21票、無記名投票多数につき、採決の方法を無記名投票によって行う旨、議長が宣告、投票開始(定足数34名中1名が退席中、議長を除く32名のうち)、賛成14票、反対17票、無効投票1票、反対多数、よって請願26第1号「都島公園北側道路整備及び公園周辺整備についての請願」は不採択すべきものと決定された(12:10頃)。


と、以上のような顛末でございました。

そもそも、ここまでお読み頂いた方が如何ほどいらっしゃるか分かりかねますが、なるべく簡潔に記しても結構な量ですよね。

ここまでして楡田は「何を言いたいのか?」とお思いになられる方もあろうが、要旨はこうであります。

①理由の如何にしろ、本来粛々と議事進行がなされていれば、こんなにも多くの時間を要する必要はなかった。いわゆるコスト感覚の欠如が甚だしいとのお叱りを頂いても反論の余地がない(議長を含む出席議員33名、市長はじめ当局側出席者数26名、議会事務局員約8名を合計した人件費のロスなど)。
またそのことに対して、議会構成の一員として申し訳なく思い、市民の皆様にお詫び申し上げたいこと。

②上記のやり取りがバカバカしく見えるかもしれないが、当然ながら議会は規則に基づいて運営なされなければならない典型的な事例であること。

③市民目線に立てば、この議会中継を観たところで何が何だか全く理解できない(本会議中での建設委員長報告の際に、何故に「不採択すべきもの」となったのかの根拠も示されず、また、それを受けての質疑・討論で何も上がらなかった)。議会基本条例第4条第2項(議会運営において公平性、公正性及び透明性を重視すること)に対する意識が希薄であったこと。

④結果論ではあるが、市民よりの請願→議会への付議(会議にかけること。また、ある案件に付け加えて討議すること。)→常任委員会への付託(物事の処置などを任せること。特に、議会で、議案の審査を本会議の議決に先だって他の機関に委ねること。)→本会議での採決→規則により採決方法を変更→採決方法を決定→採決 という、議会基本条例全文「地方議会は、住民から直接選挙によって選ばれた議員と首長による二元代表制の下、行政の事務執行に対する監視及び評価機能、住民の多様な意見を反映させた政策の立案及び提言機能を十分に発揮しながら、住民自治及び団体自治の原則に基づく、真の地方自治の実現を目指すものである。都城市議会は、市民の意思を代弁する合議制の意思決定機関であり、市民の負託に応える責務を有するとともに、市政の発展及び市民福祉の向上を図る使命が課せられている。ここに、都城市議会は、住民自治の主権者である市民への誓約として、議会の役割と活動の指針を明確にすべく、議会の最高規範として、この条例を制定する。」と条文に基づき、時間のロスはあったが運営がなされた事を、皆様に説明出来た事はとても良い機会であったと考える所であります。

但し、本請願のような事案が請願としてふさわしいものなのか、また、これだけの手続きを要した上で退席したままの議員がいたこと、かつ、議長に対する異議申し立てが規則によらずに情緒論で行われたとするならば、その議員の資質は如何なものか、等など、そもそも論もあることを申し添えておきます。

では、ここまで記してきてはいる私楡田はどのような立場であったのかという質問も出てこようと思われるので私の投票行動にも言及しておきます。

①そもそも私は、本請願に関して当初より「反対」の立場でした。

②何故ならば、公園整備は「市民の福祉の向上」に必要な手段ではありますが、議会本会議に請願として付議されるべきほどの必要性は感じられなかったからです。同様の要望は数限りなくあり、その一つ一つが請願として上がってこようものならば、本来議会が担うべき「市民全体の福祉の向上を目指す」ことに支障が出かねないと考えます。

③6月定例会においての当初の採決においても、そもそも「反対」の立場であったので、起立しませんでした。

④採決方法も、記名投票でも何ら支障は無かったのですが、会派の協議で「記名投票だと本音で投票できない人もいるだろうから、ここは慮って無記名で行こう」との議論に達したので、それに従い無記名投票に票を投じました。

⑤最終的な請願の採決投票は、当初から何ら変わりなく「反対」票を投じました。

以上であります。

ここで一言付け加えておきたいのは、④で何故、「記名投票だと本音で投票できない人もいるだろうから、ここは慮って無記名で行こう」に同調したかでありますが、ここは恐らく市議会議員の情けない所でもあり、難しいところでもあると思うのですが、「知り合いの誰々さんに頼まれたから頼む」とか、そういった類の依頼と言うか揺さ振りというか、そう言ったものがあるのは事実だと思います。

幸い私にはそのようなお話が無かったので、議会条例等の主旨や自分の信念に基づいてのみ判断できましたが、そのような状況で無かったならば、同じ選択をし得たかと問われれば、「分からない」としか言いようがありません。

「何を情けないことを言ってるんだ」とお叱りを頂くかもしれませんが、その状況にならないと分からない事もあるということをお伝えしたいだけです。

無論、そのような事にならぬよう、日々研鑚し「市民全体の福祉の向上」とは何なのか、しっかりと向き合ってゆく所存でありますし、私が日々申し上げている「明るい未来の為の正しい努力」とはそのことであります。

駄文の為、ここまでお読みいただけた方はごく僅かだと思われますが、最後までお付き合い頂きました方に、衷心より御礼申し上げます。

そして次回はなるべく手短に、防衛に関する「ボクが思うこと」を記してみたいと思います(多分、無理です 涙)。

ではまた次回!