そんな腐りかけのおれを止めてくれたのはパメラだった。

パメラは何の予告もなく、突然日本にやってきた。

今、成田空港に着いたから迎えにきて、とメールがきた。

仕方なく、おれはその日の仕事を休んで空港までパメラを迎えにいった。

パメラは到着ロビーの中のベンチに座って待っていた。

スーツケースは足元に転がっていた。

「よー、久しぶりだな? どうする? 浜松に向かうか? それとも・・・」

おれがそう言っていた時だった。

パメラはツカツカとおれの方に近づいてくると、突然おれの唇にキスしたのだった。

「・・・・・・」

突然の出来事におれは言葉を失った。

「浜松には行かない。アタシ、あんたを迎えにきたの・・・アタシと一緒にケラルクスに帰ろう」

「・・・えっ?」

突拍子もないパメラの言動におれは驚きっぱなしだった。

空港内は普通に稼働しているはずなのに、おれたち以外は全て止まっているようだった。

「金はどうするんだよ? まだいくらも貯まってないぞ」

「それは、後で考えればいいよ。今、重要なのはアタシたちの関係・・・」

パメラは真剣な眼差しで言った。

だが、パメラがおれに何を伝えたいのか、おれには瞬時に理解できた。

「・・・だから、アタシが言いたいのは・・・」

パメラがそう言い掛けた時だったが。

おれはパメラを抱き寄せ、パメラの唇にキスしたのだった。

パメラはウットリとした目付きでおれを見詰めていた。

おれはパメラから唇を離し、はっきりと言った。

「パメラ、おれと結婚しよう!」

「・・・うん」

パメラの眼から涙が溢れ出していた。

「さぁ、帰ろうか。ケラルクスに・・・」

おれはパメラに向かってそう言ったが、パメラはゲラゲラと笑だした。

「何言ってんの? すぐに帰るわけないじゃん。せっかく日本に来たんだから1週間ぐらいは観光していこうよ」

パメラのその言葉を聞いて、おれは笑だしていた。

久しぶりに腹が痛くなるほど笑ったような気がした。

パメラはパメラだな。

いつでも、どこでも・・・

パメラは勝手に歩き出していた。

おれはパメラのスーツケースを持ってその後を追った。