
お別れの会(友人の妹のお通夜)の帰り、くっきりと弧を描いた三日月を見つけ、
鮮やかなオレンジ色が、夜のとばりの深い闇の色とあまりにも鮮やかなコントラストになって胸に迫ってきたので、思わず足を止めてしまいました。
iphoneで撮ったからぼやぼやしているけど、本当はもっと三日月が主張しています。
弧の終わりはとがっていて、鋭いライン鋭利なナイフのよう、触れると指先を切ってしまいそう。
痛みを想像していると、自分の人差し指の傷から、真っ赤な水滴がぽつんと浮かんできては、じわじわと大きくなり、みるみる血の池のようになって、そのまま私の体は地に池に浸かっていき沈んでいくような錯覚にとらわれた。
その時の、鮮血の生暖かさと鉄臭い血の匂いが、リアルに自分の五感に迫ってきた。
血の感覚。
生きている証。
その時、死を感じて、風の冷たさを感じて。
お通夜の時、あの方は笑っていた、写真の中、微笑んでいた。
でも、生きていた…という過去形だった。
今やっと骨身に沁みた、もう生きていないのだと、すとんと胸に落ちた。
三日月を見て、あの方が死んでしまったのだと、すとんと心に落ちた。
歩いても歩いても手が届かない三日月を見ながら家路を急いだ。