文部科学省で宇宙開発の担当課長をしていた時、

予算不足で進まないプロジェクト、必要なのに予算不足

で立ち上げられない新規プロジェクトがたくさんありました。

 

予算編成のさなか、積極財政派を自認していた私が

「こんなの国債発行すれば、すぐできるのに」とぼやくと、

優秀な係長が聞きました(言い返しました)

「国債をいくらでも発行できるなら、税金いらなくないですか」

 

確かに、すべての行政サービスに必要な予算をすべて

国債発行で賄うことにすれば、税金は要らなくなります。

 

この鋭い指摘を瞬時に導き出す、彼の優秀な頭脳に

感嘆したわけですが、

「積極財政が、いくらでも国債発行ができるという意味なら、

税金はいらなくなる」

これも積極財政がうさん臭いと思われる理由です。

「そんなはずはない」「そんな都合の良い話はない」と

直感的に思うわけです。

 

実は、当時、私は答えに詰まって「なるほど」としか

言えませんでした。

 

積極財政なら、本当に税金は要らないのでしょうか。

 

まず、税金には、そもそも他の手段では達成できない

2つの役割があります。

・日本円に価値を与えている

・所得の再配分

 

第一の「税金が日本円に価値を与えている」というのは

私たちがなぜ日本円を使うのか、という理由でもあります。

 

税金は、国民の義務です。払わないと罰を受けます。

ですから、良き市民である私たちは税金をきちんと払います。

その税金は日本円でしか払えません。

つまり政府が税金を日本円で納めるように、と決めているから

日本人は日本円を使い、日本円が流通するのです。

つまり、税金が日本円に価値を与えている、というわけです。

 

税金を一切取りません、というとバラ色のようですが、

そんなことをすると、かえって日本円が価値を失うことに

なってしまうのです。

 

 

第2の役割は、所得の「再配分」です。

 

収入の多い人ほどたくさん税金を納めていただき、

そうでもない人からは少ない税金を納めていただく。

収入の多い人もそうでもない人にも行政サービスは同じように提供する。

所得を再配分する機能を持っているのです。

 

というわけで、

積極財政に転換したとしても、

日本円の価値を維持するために、税金は必要なのです。

また、所得の再配分機能を通じて、経済的な格差を是正するという

大切な役割があるのです。

 

実際、所得税や法人税はこうした再配分の機能を果たしています。

ところが消費税は、所得の少ない人ほど負担が大きい(逆進性)のです。

 

消費税には、再配分の機能がないどころか、

所得のより少ない人により大きな負担を負わせるというデメリットがあるのです。

 

税は必要ですが、消費税は税としての大切な役割を果たしていない、

これが消費税を廃止する本当の意味です。

 

もうひとつ、確認しておきたいことがあります。

次回、「需要と供給をどちらも伸ばしていく」に続きます。

 

 

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