「今の日本人は自分自身の過去についてはなにも知りたくないのだ。それどころか、教養人たちはそれを恥じてさえいる。「いや、なにもかもすべて野蛮でした」、「われわれには歴史はありません。われわれの歴史は今、始まるのです」という日本人さえいる。このような現象は急激な変化に対する反動から来ることはわかるが、大変不快なものである。日本人たちがこのように自国固有の文化を軽視すれば、かえって外国人の信頼を得ることにはならない。」


 

これは、いつの時代に書かれた文書かと言うと、

 

明治時代に書かれた文書です。

 

この文書を書いたのはエルヴィン・フォン・ベルツ(Erwin von Balz, 1849年1月13日 - 1913年8月31日)というドイツの医師で、明治時代に日本に招かれたお雇い外国人です。

 

彼は東大医学部の「お雇い教師」として招かれ、以来いく度かの帰国をはさんで滞日29年に及び日本人女性と結婚しています。

 

そのベルツが書いた「ベルツの日記」に上記の事が書かれているのです。


 

上記の文書は次の様に続いています。


 

「なにより、今の日本に必要なのはまず日本文化の所産のすべての貴重なものを検討し、これを現在と将来の要求に、ことさらゆっくりと慎重に適応させることなのだ。” 無条件に西洋の文化を受け入れようとする日本人に対する手厳しい批判が述べられている。また、注目すべきは、外国人教師である彼が、日本固有の伝統文化の再評価をおこなうべきことを主張している点である。西洋科学の教師として日本にやって来たにもかかわらず、その優れた手法を押し付けるのではなく、あまりに性急にそのすべてを取り入れようとする日本人の姿勢を批判し、的確な助言をしていることは驚くべきことである。」


 

この文書からでも欧米列強の軍事力に圧倒され怯えた明治政府は、自虐史観に陥り、それまで脈々と続いて来た素晴らしい日本の歴史文化を蔑ろにし否定し、自ら自国を貶め無作為的な欧米文化崇拝による政策に基づいて国家を動かしていたという事実が垣間見えます。



 

【日本の文化・歴史の破壊は明治時代からはじまったのです!】


 

つまり、


 

【日本本来の文化・歴史を取り戻す為には、少なくとも(明治時代の愚業を精査し)開国前の江戸時代まで遡らなければならない】


 

という事なのです。



 

この事実を知る為にも下記の本、お薦めです。

 

  ↓

 

驕れる白人と闘うための日本近代史 (単行本)

 

松原 久子 (著), 田中 敏 (訳)


 

「内容(Amazon「BOOK」データベースより)

 

欧米においては、自分たちの歴史こそ世界史であり、自分たちの生き方にこそ文明の名にもっとも相応しく、地球上のあらゆる民族は欧米文明の恩恵に浴することによって後進性から救われたと教えられてきた。だから彼らの潜在意識の奥深くには、確固たる優越感が入り込んでいる。これに対し、著者は、江戸期の鎖国日本は経済的社会的にみごとなまでのバランスのとれた「小宇宙」社会を形成しており、人間と自然の共生に心を砕いていたと史実を示す。それは同時代ヨーロッパの、すべてを侵略征服せんとする拡張謳歌精神とは正反対だと指摘する。ヨーロッパの世界侵略は、その「小宇宙」を壊したのであり、それを「文明開化」と解釈するのは大間違いだと言う。この、ヨーロッパのほうが野蛮だった、とういう主張は、ドイツで大きな物議をかもしたが、同時に今や、世界人口の急増と資源の枯渇を前にして、欧米でも「小宇宙」日本の共生思想に目覚め始めている。欧米人の優越意識を覆すためにドイツ語で刊行された書を、今度は


 

 日本人の劣等感を打ち破るために、邦訳出版する。


 

大航海時代の到来以後、全世界を発見、征服した「偉業」に対する欧米人たちの誇りを根底から覆す書。」

 

▼ドイツで刊行され、大きな物議をかもし、著者はケルンの駅頭で、平手打ちを受けたほど。


 

Amazonカスタマーレビュー

 

 
 
この本の95ページからの

第7章 誰のものでもない農地
 
 欧米式の「農地改革」が日本に大地主を生んだ

から一部抜粋引用します。
 
【「鎖国時代の日本では、農地を所有していたのは実のところ誰なのか?

「所有」とは「自分のものと呼ぶものを、いつでも欲しい人に売却する権利」と定義するならば、実際は誰も所有していなかったことになる。
 
 (中略)
 
農地の所有者が変わると食料の供給に不安をもたらす、と幕府は考えていた。そこで幕府は、農地の所有が営利的な関心の対象にならないように、あらゆる手立てを尽くさなければならないと考えたのである。
 
(中略)
 
結局、国家だけが大地主だったのである。
 
(中略)
 
新しく誕生した明治政府は、今までの日本の法律を根底から変える必要性を痛感した。助言や忠告とといった形で日本に確実な影響力を行使できると実感した欧米列強は、今までの日本の法律は、いかにも古めかしくて理解しにくい代物である、と言った。そして、日本が近代化をめざしているのならば、今こそヨーロッパを手本にして法律を作る時だと助言した。
 
 明治政府が行った多くの改革の一つが、1872年の農地改革だった。
 
(中略)
 
このことは農民たちにとって、農地の共同所有や賃貸契約の申し合わせといった長年培われてきたシステムが、たちまち崩壊してしまうことを意味した。
 
(中略)
 
すなわち農業国日本は、たちまちにして投機の渦の中に巻き込まれてしまったのである。
 
(中略)
 
投資家たちは短期間の内に稲田を次々と手に入れた。
 
(中略)
 
彼らは日本の農地機構を完全に変えてしまった。
 
(中略)
 
そうなると、たちまち今までなかった社会的緊張が生しだ。大地主たちは、日雇い労働者を使い、できるだけ安い賃金で働かせれば、農地からかなり大きな収益をあげられる事に気づいた。それは世界のいたるところで大地主がやって悪評を買い、嫌われたまさにそのやり方だった。彼らはそれを始めたのである。彼らは儲けることしか考えなかった。
 
(中略)
 
農民たちが自分たちの村で確保していた自治、窮乏の時に仲間であることを実感させたあのかつての自主独立は、大きく損なわれ、あるいは消え失せてしまった。長い間、村を支えてきた相互援助のシステムも、大幅に壊れてしまった。以前の人びとの心根は、新しいヨーロッパの精神に取って代わられた。階級意識である。」】

>大地主たちは、日雇い労働者を使い、できるだけ安い賃金で働かせれば、農地からかなり大きな収益をあげられる事に気づいた。それは世界のいたるところで大地主がやって悪評を買い、嫌われたまさにそのやり方だった。彼らはそれを始めたのである。彼らは儲けることしか考えなかった。

これ、今、経団連がやっているそのものじゃないですか。。。

「経経団連は、外国人や派遣労働者を使い、できるだけ安い賃金で働かせれば、自分の会社からかなり大きな収益をあげられる事に気づいた。それは世界のいたるところで大企業がやって悪評を買い、嫌われたまさにそのやり方だった。彼らはそれを始めたのである。彼らは儲けることしか考えなかった。」

つまり、欧米列強の軍事力に屈し、鎖国を解いた後に、欧米列強の軍事力のもとに自信喪失状態に陥ってしまった日本人が、思考停止状態になり自虐史観に陥ってしまった結果、自国の文化を蔑ろにして何も考えずに欧米文化を採り入れる様になってしまった(1872年の農地改革等)のが、日本人の欧米文化崇拝という愚かな行為のはじまりであり、日本の文化・歴史・伝統の破壊のはじまりでもあったのです。

そして、この

日本人が愚かにも自国の文化を蔑ろにして何も考えずに欧米文化を採り入れる

という愚かな欧米崇拝は今でも続いており、それによって日本の文化も失い続けているのです。



 
(ただ、残念なのは、この著者は、大東亜戦争以前、特に江戸時代の日本については肯定的に書いているのに、大東亜戦争後の日本史については所謂 東京裁判史観に汚染されてしまっていますので、その部分(211ページ13行目以降~213ページ7行目まで等の極少数の箇所)はスルーしましょう^^;)

そして、更に、以前、当ブログの記事
   
でも紹介した
 
〈思いこみ〉の世界史 外交官が描く実像
   
という本も併せて読まれる事をお薦めします。
 
この本を併せて読む事により、より正しい歴史認識が出来る様になるからです。


 
この2冊、お薦め本です!


 
貧農史観というウソ
 
「維新」と云う幻想