支那の語源は始皇帝の秦である。
秦帝国は西方に於いてシンと呼ばれていた。
これがインドでは「シナ」「シナスタン」と呼ばれていた。
インドの仏典を翻訳するとき支那の仏教者は「シナ」を「支那」「至那」「脂那」等と書いた。
「支那」という語は仏典以外にも「宋史」などに見える。

「中国」は本来、自国内で「我が国」という意味である。清朝では外国に自国を表す場合は「大清」と言い自国内では「中国」と言った。
この場合の「中国」は、「天下の中心」すなわち「世界の中心に有る国」という意味で、単なる位置的な表現とは違い文化の高い我が国が頂点で周辺国は野蛮で低文化の国という意味である。
これと同じ意味で「日本書紀」でも自国(日本)を「中国」と表している。

自国を文化の高い「中国=我が国」とし周辺国を野蛮国とした関係は華夷秩序と呼ばれ今の中華思想にもそれが在る。
この様な意味を含んで「支那」と言わず「中国」と言えというのは甚だ失礼な事なのである。

秦帝国以前の晋、斉、呉、越、そして秦帝国以後の漢、隋、唐、宋、元、明、清、中華民国、中華人民共和国などの国号は時代の流れの中の一時的なもので国としての支配体制もその都度変わっており それぞれの国は全く違う国と言える。
支那の歴史では複数の国が分立していた時代も在るが、統一国家は秦、漢、随、唐、宋、元、明、清で、この中で漢民族国家と言われてるのは漢、宋、明だけである。
つまり、これらの国号は時間的、全時代通じての共通の国号では無く、時間的、全時代通じて包括する呼称は「支那」以外存在しないのである。
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よく「中国4千年の歴史」などと言うが、この理由からそんなものは存在しないというのが理解出来る。
今の中華人民共和国の建国は1949年だから、たかだか60年弱の歴史しか存在しない。
「支那4千年の歴史」と言うのが正しい。

又、中国と言うと、時代により領土の範囲が大きく異なり何処迄を含むかも解らない。すなわち、「空間的」な呼称も無い。
現在の中華人民共和国を例に出すと、5つの自治区と満州とを除いた地域が支那となり、当然だが台湾は含まれない。
文化的にも「中国文化」と言った場合、漢民族(支那)の文化でその他の少数民族の文化は含まれない。
故に、今の中華人民共和国はそのまま「中華人民共和国」と呼ぶしかないという事になる。
「中共」と呼ぶ事も在るが、これは厳密に言えば「中国共産党」を指す。

大東亜戦争後の昭和20年に連合国として中華民国は日本政府に対して「支那」では無く「中華民国」を使う様に要請してきた。(昭和5年にも中華民国は同様の通告を日本政府に対してしている。)
その結果、我が国の外務省は各省庁に対して歴史的、地理的、学術的叙述以外では「支那」を使わない様に通達した。
しかし、そもそも外国をどう呼ぶかはその国の自由であり、普通の国ならそんな事に拘らない。
例えばイギリスの正式な国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」だが「イギリス」と呼ぶなというクレームは一切無い。