レンコンづくりで通っている蓮田一帯にはトイレが今までずっとない環境だった。
そんななか、地方移住した蓮田仲間の方々が地元の蓮田農家さん達との交流の場を考え、トイレ設置をしようという話が出てきて、その流れでトイレづくりの案内が私にも回ってきた。
トイレづくりは業者に依頼するのではなく、自分たちで作る。
今回は耕作放棄地の自然再生を進める「さとゆい」メンバーと、蓮田仲間とで一緒に縄文トイレを作る事になったそうで、またとない機会と興味津々だった私は、一緒にレンコンづくりをしている友達と共に、いつもの蓮田に向かった。
縄文トイレとは
自分たちで作る、縄文トイレとはどんなものか。
私は半年ほど前に写真を見て知ったのだが、聞いた話によると、造園業を営み土中環境の改善事業もされている、地球守の高田さん達が活動のなかで作っているトイレの事で、縄文トイレと呼ばれている。
穴を掘り、自然にある落ち葉などの有機物を使い、微生物の力を活かした浄化作用を取り入れたトイレで、その穴の上に小屋を付けた簡易的な形態のもの。
野草料理教室の会場となっている古民家の庭に縄文トイレが作られている事を知り、数か月前に実物を見た事はあった。
小屋の中に入ると踏み板があり、ボットントイレのように穴を跨いで使用する形式で、特に臭さはなく、自然による浄化力を体験として感じていた。
作業の様子
当日、10時過ぎに蓮田の現地に着くと、トイレを作る作業場にテントが張られ、すでに10名ほどが集まり作業が進められていた。
作業の流れを聞くと、トイレに使う小屋は、釘を使わない木組みで建てる事になり、前日から作業が行われているという。
暑さもあるので、緩く行こうという雰囲気のなか、その日の午前中は小屋に使う木材を全て準備し、午後は穴空け作業に取りかかる事を目安に動いていた。
ド素人の私は何をしていいかわからないので、まずはどんな作業なのか見ていた。
去年開催された「小屋の学び舎」という講座に参加されていた人達を中心に、完成図面を元に、墨付けという木に穴を空けるところや差し込む部分を工具で計って鉛筆で印をつけていく作業や、墨付け後の印から、木材を実際にノミや電動工具を使って削る作業等が、手作業で進められていった。
その中に、小屋づくりの講座で講師をされた左官職人の方も作業に加わってくれていた。
実際にひとつ体験する事で、壮大なプロジェクトだったのだろうなとスケールの大きさをより想像できた。
穴掘り作業
お昼をはさんで、午後は小屋の木材づくりの傍ら、穴掘り作業も始まり、穴掘りにも興味があった私は、そちらの作業にも加わった。
すでに長方形の穴が掘られていた。
半分は少し浅く、もう半分は1mほどの深さで、ここでは深くする方をダブルスコップでさらに掘り進める作業をしていた。
深さの違いは、小便と大便の成分が違うで別々に浄化作用を進める意図があり、水分が深い方へ流れるようにも考えているそう。
深い方の穴には、長いドライバーでさらに穴を深くし、そこに少量の焼炭を入れ、竹筒、葉つきの枝葉を縦に差し込んでいった。
その後、落ち葉で穴全体を敷き詰めていった。
微生物の力を活用する浄化システムを自然素材で作り出す工程はとても興味深かった。
微生物が働く環境はある程度の湿度がある方がよいそうで、土が乾いているこの蓮田では、トイレに水や落ち葉を足したりしていくと良いのではないかという話に、作る環境により手入れを考える必要があるのだなと感じた。
帰りのバスの時間もあり、途中までしか関わる事ができなかったが、小屋の方は組み立て作業に取りかかっていた。
蓮田の様子
蓮田に来たという事もあり、自分の蓮田の様子も見に行った。
花はまだ咲いていなかったが、また少し葉っぱが増えていて成長はしているように感じた
元気に育っていきますように!
人と協力しながら、自然の力を活かして何かをつくりだしていく。
そんな時間を自分も共有できた事が何より楽しい体験だった
完成まで数日かかっているようだが、次に蓮田に行った時に実物を見るのも楽しみだ。