2か月に1回ほどのペースで、伝統工芸のしな布のオンライン講座を聞いている。

前回はしな織りの体験にも申しこみ、実際の糸を使い、しな績ぎのやり方をオンラインで学んだ。

糸を績ぐコツがまだつかめないが、作業の動きは理解できた。

そのしな布講師で現地の山熊田に住む、大滝ジュンコさんが夫婦で東京で講演をするという事で、どんな雰囲気の方なのか興味があり、夜からなので迷いつつ、当日申込みで参加してきた。

 


 

【講演】地球永住計画 現代冒険者たち~大滝剛×大滝ジュンコ×関野吉晴

講演内容は把握していなかったが、大滝ジュンコ夫妻と関野吉晴氏の3人が会場の前に座っていて、新潟県と山形県の県堺にある山熊田の、山中心の四季の暮らしを映像をみながら関野氏が質問し、伝統工芸のしな布についてはジュンコさん、マタギ文化が残る熊刈りの話についてはジュンコさんの旦那さんが話す、といった対談形式の講演だった。

 

最近ジュンコさんが本を出版し、その本も読み、しな布の講座も受講しているので、ほとんど聞いた事がある話で、直接会場で話を聞いたら何かピンと感じるものがあるかもと期待したが、そういうものは特になかった。

しかし初めて存在を知った、探検家の関野氏の話の切り口はおもしろかった。

 

 

 



関野吉晴氏が見る狩猟民族と農耕民族

関野氏は70代の男性医師でありながら、ナイフ1本で生活するような、アマゾンで狩猟生活をしている現地の人と交流をされ、登山もする探検家でもあり、山熊田との接点は、アマゾンの狩猟民族に近い生活が日本だと山熊田が一番近いと知った事で現在、東京と山熊田の2拠点生活をされているそう。

 

関野氏は現地の狩猟民族と一緒に生活をされた経験を通し、狩猟民族と農耕民族の性格的違いをこう分析している。


狩猟民族は今を生きていて、あまり先を考えないのに対し、農耕民族は、先を考えて生活をする傾向がある。

その違いは生活スタイルからくるもので、狩猟民族は、今ある獲物をどう捕らえるか、いかに近づくかを想像して行動するので、場当たり的でもあるが、今を生きている。

それに対し農耕民族は、大変な草取りをやれるのは、収穫する楽しみがあるからできることであり、先を見据えた計画的な考え方をしている。

そういった暮らしから、物事の考え方が違うのであると。

 

それから狩猟民族は、その時に捕まえた獲物は分けて食べるのが一般的。農作物と違ってあまり保存もきかない事もあるが、皆で分けた種族が結果として生き延びた事からその方法が引き継がれてきたことが大きく、マタギ文化が残る山熊田でも熊刈りをした時に、よそ者が参加しても全員で平等に分けてくれるのは、その狩猟民族的な生き方が残っているからと説明していた。

山熊田には、共有の山のものも皆で分け、山の自然と暮らす生活があるが、それは狩猟生活での人と分けあい、つながって生きていく生活がベースにあると見ているようだった。

 

日本の歴史を見ると、縄文時代は狩猟生活中心の1万人ほどの生活で、弥生時代から農耕が始まり、そこから人口が増え今の社会に至る。

自然中心で考えると、人口が多くなった今より1万人でこの地球を過ごしている方がよかったのかもしれないといった関野氏の発言に、たしかにそういう考え方もあるかもと感じた。

 

日本で人口減少が問題とされるのは人間中心の考え方で、自然本位なら、減ったら減ったでそれでいいのかもしれない…タラー

 

質疑応答のなかで「SDGsを考えた人ほど、それにかけ離れた生活をしている」とサラッと話した言葉に何か共感がもてた…真顔

私も自然や食から日本の先人の知恵に触れ、知れば知るほど興味をもつのは、根本はそこに疑問を感じている自分がいるように思う。

新しい開発が中心で自然がどんどん失われていき、食べ物は遺伝子組み換えなどの技術的なものが注目されたり…、これでいいのかな? 何か違うよね?と違和感を感じている。

すでに日本はSDGs的な生活をしていた文化があったのでは?

 

 

 

これからの関野氏にも注目

質疑応答の途中で会場を出たが、翌日、関野氏について少し調べてみたところ、映画監督もされ、今年映画を上映するようだ。

クラウドファンディングをしているようなので、ここに紹介したいと思う。


すごいタイトル(笑)

一般的に嫌われている存在に光をあてた、おじさん達による循環のお話らしいです。

おもしろい世界観をもっていそうですね爆  笑

https://motion-gallery.net/projects/unkonofukken

 

 


 関野氏により、山熊田にも新しい時代の流れが訪れるかもしれないキラキラ