【手のかからない子に手をかけて】
 
分娩台の上で産声を上げたときから、赤ちゃんは泣き始めます。
そして、泣き続けます。

その声を聞きながらその場にいる誰もがみな、
「良かった、元気な赤ちゃんで」と泣き声に拍手を送ります。

では、そのずっと泣き続ける赤ちゃんはいったい、
いつ泣き止むのでしょうか。

お母さんの胸に抱かれた瞬間に、ピタッと泣きやみます。
 
赤ちゃんは、不安いっぱいの世界に放りだされて、
唯一安心できる人を求めて泣きます。

それがお母さんなのです。
 
ひたすらお母さんを求めて泣き続ける赤ちゃんが、
何もしてもらえなかったらどうなるでしょう。
 
泣かなくなります。

無視され続けると、赤ちゃんは何も感じなくなります、
次第にあきらめて無表情になります。

「サイレントベビー」をご存知でしょうか。

そんな泣かない赤ちゃんのことです。
 
赤ちゃんは、抱っこされる心地よさ、誰かに愛され、
支えられる安心感を感じながら人として育っていきます。

一人では生きていけない「人」に必要な「信頼関係」を
築くことを学んでいきます。

そうして、生きる力を身につけ、よりその力を発揮していきます。
 
お母さんが、少し抱っこすることに疲れたら、
誰かが代わってあげればいいんです。

お父さんでも、おばあちゃんでも。

そしてまた元気になったお母さんが抱っこすればいい。
 
「泣くんです。ずっと泣くんです。」と、
困ったように言うお母さんがいます。
 
泣き続ける赤ちゃんに困らないでください。

赤ちゃんにはそれしか方法がありません。

抱っこしてほしいだけです。
 
抱っこして愛してくれる人がいることに気づいた赤ちゃんは、
愛を知りながら大きくなります。

そんな赤ちゃんは、きっとお母さんを困らせなくなると
私は信じています。
 
「これから赤ちゃんはいっぱい泣くよ、ずーっと泣くよ。
 お母さんが泣きたくなるぐらい泣くよ。
 でもそれはお母さん、お母さんって泣くんよ。
 だから『なんで泣くの』って思わないで抱っこしてあげてね」
 
私は、お母さんの胸に最初に赤ちゃんを抱かせたときに言います。
 
「手のかからない子」にこそ手をかけてほしい。

泣かない、わがままも言わない子を、
いい子だと思わないでください。
 
いつの間にか、子どもたちは、声を立てずに泣くようになります。
人知れず、お母さんにも分からないように声を殺して泣きます。
それが成長の証です。

そんな日が、きっとやってくるのです。
 
声を出して泣けるうちは、たくさん泣かせてあげてください。

おかあさんの胸で思いっきり泣くわが子をほめて、
抱きしめてください。

お母さんが大好きな子どもたちです。

 
 内田美智子



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