病院皮膚科の存在感をいかに示すか? | FF残日録のブログ

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広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

日本臨床皮膚科医会の勤務医部会で、病院皮膚科の存在感をいかに示すか?

医師一人1億の売上は可能??こんなテーマがメール上で議論されていたので、私の思うところを記述してみました。

 

 

高槻赤十字病院は全国91日赤病院のうちの一つです。赤字のために数年に1病院ぐらい閉鎖されています。来年は静岡県の引佐日赤が閉院されます。

高槻赤十字病院の病床は私が院長の時に、439から一挙に335に減らしました。外科手術は少なく、消化器内科や血液内科に強みがあります。

 

さて、高槻赤十字病院皮膚科は、2名体制で毎日外来しています。アルバイトはいません。皮膚科の割り当て入院病床は5床で、蜂窩織炎、帯状疱疹、中毒疹が大半で、とりわけ蜂窩織炎が多いです。

古川は顧問なのでその2名体制には入っていません。週一回の皮膚科と小児科でアトピー外来(売り上げは小児科です)をしていますが、売上的には微々たるものです。

で、しばしば遡上に上がる、売上一人一億は全く無理です。高槻赤十字病院2013年は、皮膚科外来入院を合わせて7000万です。

 

中国地方の某市民病院院長のH先生(〇〇大学皮膚科前教授)とも相談したことがありますが、「皮膚科に売上は期待していません」と明言されていました(私信)。

 

以前、このリストで紹介していただいた今村貞夫先生の論文 「病院長から見た皮膚科」(日臨皮会誌 77:162-169,2003)でも、皮膚科の財政的な位置付けはなかなか厳しい状況であることがわかります。

 

病院の立地条件や教育などの役割を考えたときに、皮膚科の存在感を売上のみでは語ることができません。しかし、昨今の経営状況を考えると経営側から売上をアップせよと言われるのは致し方がないと思います。

 

が、皮膚科で売上を言い始めると、皮膚科勤務医はますます減っていく(辞めていく)と思います。皮膚科は売り上げに貢献するかではなく、病院の質に貢献する科であることをアピールしていくのが、皮膚科責任者の立ち位置と思います。