膠原病の痒み 治療  to do/ not to do | FF残日録のブログ

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広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

膠原病の痒み 治療  to do/ not to do

皮膚科医の中で、比較的 膠原病の皮膚病変を見慣れているものの意見です

 

①ファーストタッチの治療

*保湿を考慮する(皮膚の乾燥による痒み対策)

*日焼け止めを考慮する(紫外線による皮疹の誘発や増悪対策)

*ステロイド外用を考慮する(炎症による痒み対策)

*抗ヒスタミン薬を考慮する(炎症による痒み対策)

*痒みの軽減と引っ掻きによる悪化を防止する(ケブネル現象対策)

*1−2週間の後に、不変または悪化し、全身状態に異常があればスペシャリストにコンサルトする

*膠原病および類縁疾患に造詣の深い内科医と皮膚科医の協働が大切である。

 

②なにをすべきでないか?

*非ステロイド系外用剤を処方しない

 接触皮膚炎や接触皮膚炎症候群・全身性接触皮膚炎が生じることがある

*漫然と痒み止め(抗ヒスタミン薬)を処方しない

 1−2週間以内に止めて、効果の判定を行う

*ステロイドと抗ヒスタミン薬の合剤を処方しない

 セレスタミン配合錠®️の場合、ステロイド(副腎皮質ホルモン)をプレドニゾロン換算で、錠剤として1錠中2.5mg相当量を含有している。

薬効上、抗ヒスタミン薬に分類されているため、ステロイドと認識していない医師がいる

 病態がステロイドでマスクされる

 長期内服するとステロイドの副作用が生じる

*痒みの原因を探る目的で好酸球数などCBC、LDなどの生化学検査、IgE、抗原特異的IgE (RAST)、TARCなどの検査を漫然と行う

 痒みに特異的な血液検査はない

*自己抗体をチェックするのであれば、抗核抗体(できれば蛍光抗体法)で十分である

*網羅的な自己抗体検査をしない

*抗核抗体陽性のみで膠原病あるいは類似疾患と断定しない