君たちが、泣く笑う 全て酵素なんだよ
50年以上前の学生時代の最も記憶に残っている講義の文言です。発言の主は、医化学教授故早石修先生です。早石修先生は、和歌山医大初代学長の古武弥四郎先生の弟子です。本庶佑先生は直系のお弟子さんです。そのフレーズを聞いた当初、意味も分からずほんまかいな??と思ったものです。
早石修先生の履歴は、JT生命誌研究館のサイエンティスト・ライブラリーにある運・鈍・根と題したエッセイに詳しい。
その中で、留学中の早石先生の恩師初対面のコーンバーグ(Arthur Kornberg )先生との会話が印象に残る。何回読んでも印象に残る。多分1950年ごろの話だろう。"コーンバーグ先生は「お前(早石修先生)は広島の原爆をどう思うか」と聞く。「あれはひどい、アメリカの罪だ」とも言えず、「戦争だからしょうがなかった」と下手な英語でボソボソと言った。すると彼は「お前はけしからん、日本人だったら原爆をなぜ落とした、あれを落とさなくても戦争は終結していたじゃないかと堂々と言うべきだ」と言うのでびっくりした。学問の話をする前にそういうことを言うこの人は、研究も立派なんだろうけれど、人間として立派な人だ。ぜひ一緒に研究させてほしいと頼み込んだ”
解釈はいろいろあるのでしょうが、一流の科学者の言葉に何か歴史や人種を超えたものを感ずる。
https://brh.co.jp/s_library/interview/28/
写真は2014年9月に和歌山市で開催された第29回日本皮膚外科学会(会長 山本有紀)において、筆者の特別講演から引用したもので、一部修正がある。新聞記事は京都新聞から。