未完の天才 南方熊楠 | FF残日録のブログ

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広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

未完の天才 南方熊楠

南方熊楠の研究家 志村真幸さんが最近、講談社現代新書に著した書です。
熊楠が和歌山に縁が深く、博学にして、天才的な頭脳を持つ在野の学者でネイチャーにたくさんの論文を発表しているということでも有名です。しかし、その実態というか、業績の中身は十分に検討されていないということだそうです。
志村さんが、新たなメスを南方熊楠に入れたという事で大変興味を持って読みました。南方の凄さは、書くことによって、自分の頭の中に膨大な素晴らしいデータベースを作り上げたということです。
志村さんの研究によると、南方のたくさんの抜書や菌類図譜は、そうしたデータベースの一部に過ぎないそうです。膨大なインプットと少ないアウトプットです。南方が判読が困難な細かい文字で書き表わした巨大な氷山のような資料の解読が可能になりそうです。彼のめざした学問の目的が、いまようやく描けるようになってきたといっていいだろと志村さんは述べています。
—『未完の天才 南方熊楠 (講談社現代新書)』志村真幸著
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