50年ぶりに読み直してみた。当時の教養の生物学の助教授の先生が勧めてくれたので、読んだ覚えがある。読み直して、犬、狼、鳥や魚に対するアプローチには、関心するものがある。その印象は、さほど変わらない。が、最後の文章が心に止まった。「もう十四年も前の話になるが、一九三五年の十一月、私は「動物のモラルと武器」という論文を、つぎのようなことばで結んだ──「いつかきっと相手の陣営を瞬時にして壊滅しうるような日がやってくる。全人類が二つの陣営に分かたれてしまう日も、やってくるかもしれない。そのときわれわれはどう行動するだろうか。ウサギのようにか、それともオオカミのようにか? 人類の運命はこの問いへの答えによって決定される」。さてわれわれは、いずれの道をえらぶであろうか。」