話題の本。読了しました。

HARD THINGS
ベン・ホロウィッツ
日経BP社
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■経営者が書いた、火事場のハウツー本

この本はかのネットスケープ社を経て共同創業者として起業、
会社を16億ドルで売却し、現在はベンチャーキャピタリストとして活躍する
ベン・ホロウィッツさんが書いた、経営本です。

ご本人が「ほとんどの経営書は"平時のCEO"に向けて書かれているものだ」
と文中で看破している通り、この本は著者が実際に経験した事から
起業に置いて起きる様々なトラブルにどう対処してきたか?をまとめた本です。

その様々なトラブルがなかなか奮ってまして、
1999年に2社目となるラウドクラウドを創業。

9ヶ月後、数百人規模に雇用を拡大したところで
ドットコムバブル崩壊、1億2千万ドルをなんとか調達。

しかして業績が予測を下回り、1年立たずにさらに資金調達が必要に。

それをIPOという奇手でくぐり抜けると業績はまたも下方修正が必要になり、
じゃぁ思い切って業態転換したら太客から契約終了を告げられる・・・。

というジェットコースターのような状況がとにかく続きます。

これはさながら、『成功者の告白』のシリコンバレー版とでも言えましょうか。

■優秀な人の共通点

もちろん、それだけではなく「組織をダブルヘッドで任せる」
「やめようとする人間を給与で引き止める」事を『経営的負債』と表現し、
早期に対処しなければ後々大きな問題を引き起こすと紹介したり。

組織が成長すると、創業メンバーの実力が追いつかなくなり、
いつか立ち上げメンバーに降格を告げなければいけない。

という類の現場にいた人だからこそ書ける経営本に仕上がっています。

ただ、ここのところの素晴らしさは他の人がいやという程書いています。


僕が一番共感したのは、
「優秀な人はどこからでも解決策を見つけてくる」
という事です。


例えば、CS部門とセールス部門の仲が悪い。

これを解決する手段として両部門の責任者を入れ替えるという方法を
取りました(実際にとてもうまく行った)。

これは『フリーキー・フライデー』という映画で、母と娘が
入れ替わってしまう事を見ての発想です。

または、自分が難局にいて自責と後悔に苛まされている時。

「やるべきことに集中するべきだ」というある種の開き直りを手に入れたのは、
とあるフットボールコーチのアドバイスを見てからでした。


こういう感じで、実際に仕事に集中している人はそれとなく
四六時中仕事の事が頭の片隅にあるので、思いがけない瞬間に
解決策を思いついたりしてしまうのです。

というわけで、オススメです。

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