『急に売れ始めるにはワケがある』という本を読んだのですが、
マーケティングの本というより、社会心理学の本でした。

当該の文脈でよく引用される実験や事件、事例がいくつか乗っていて、
そういう意味でお得だなと思ったのでメモ。

■キティ・ジェノヴィーズの事件


1964年ニューヨークのクイーンズでキティ・ジェノヴィーズという女性が
30分の間、3度襲われた末、刺殺された。

この事件は「目撃者が38人もいたにも関わらず、誰ひとり通報しなかった。
という意味でニューヨーク史の汚点といわれたりしている。

のちに「傍観者問題」として実験が行われ、一連の結果からかかわる人数が
多ければ多いほど問題に対処する人が少なくなる。
という結論が得られている。

■ケヴィン・ベーコンの六段階


ハリウッド映画で共演した男優・女優をつなげていくと、必ずケヴィン・ベーコンという
俳優に行き当たる。

最初にどんな俳優を持ってきても、平均で3段階で彼にいきつく

現象として面白い。

■ワンダーマンの「金の箱」


アメリカの広告業界では語り草らしい。

1970年代、コロンビアレコードの通販部門のアカウントをめぐり、
マッキャンエリクソンと販促キャンペーン対決をした。

アメリカの26州で『テレビガイド』『パレード』に販促用広告を出稿。
テレビCFを各代理店が作りそれぞれ半分の州で流す。

ワンダーマンは「雑誌に当たりクーポンがあるかもよ!」と
TVCFで放映し、見事返答率80%を達成した。当然勝利。

■ニューヨークの防犯策


ジュリアーニが下げたことで有名なニューヨークの犯罪発生率。

実は、ニューヨークのある市が「地下鉄の無賃乗車」を取り締まり始めた
のがきっかけだった。

そういう種類の「場」が犯罪率を上げていたのだ。

■模擬監獄実験


悪名高い社会心理学の実験。

スタンフォード大学で生徒を囚人役と看守役に分けて
ロールプレイをさせた。

開始数時間で看守役の生徒たちは囚人を虐待するようになり、
36時間後にはヒステリーで脱落する囚人役が出た。

結局、2週間の予定の実験はたった6日で切り上げられた。

人の行動がいかに環境に左右されるかを表している実験として
引用されることが多い。