2日過ぎてしまいましたが、おとといは中島らもさんの命日でした。

らも

■コピーライター、薬中、小説家


中島らもは52歳でなくなった人で、ヒッピーに始まり印刷屋の営業、
広告代理店でコピーライター、小説家、劇作家、ロックバンドと実に様々な
分野で活躍した異才の人です。

小説家としては1992年、『今夜、すべてのバーで』で吉川栄治文学賞を
受賞しています。
彼の魅力は、くだらなさとスタイリッシュさの振れ幅かなと思ったりします。

大麻にとりつかれていた人でもあり、公共の電波で「外国で大麻をやってきた」ことを
自慢して逮捕。その体験記を『牢屋で痩せるダイエット』として発表するなど、
しょうもないエピソードには事欠きません。

かと思えば、彼の、短編小説の落ちや小説のセリフにはやたらとシャレた
ものが多いんです。

例えば、中年詐欺師と写植屋の冴えない物語、『永遠も半ばを過ぎて』では
こんなやりとりがあります。
「つまり、お前は詐欺師なんだな」
「そうだよ、免許なんてもんは持ってないがね」

■インタビュアーとしての卓越した才能


中島らもといえばインタビュアーとして卓越していることも見逃せません。
その生涯でいくつかの短編を出していますが、酒飲んでると簡単に
告白するなどかなり破天荒。

その割にはポイントを押さえていて、かつおもしろいところに突っ込む
独特の才能があります。

火垂の墓の作者であり、中島らもと同じく重度のアルコール中毒である
野坂昭如との対談では、「飲んでべろべろになってたら小説が書けてた」
り、「素面で自分の小説は読めない」などならではのエピソードを語ります。


■欠けている人の魅力


結局のところ、中島らも氏は不完全だからこそ魅力的なのかなと
思ったりします。

真四角じゃない。
そうだからこそ彼は魅力的なんだと思います。

中島らもさんの冥福をお祈りします。


今夜、すべてのバーで (講談社文庫)
中島 らも
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5 a
5 常に醒めていたい、それは悪いことではない気がする
5 娯楽小説
5 うーん、良かったです
5 面白かった