大学では心理学を学んでました。小越です。

■行動心理学はマネジメントの夢を見るか?

行動心理学という学問分野があります。人間の行動は環境の刺激と遺伝に
よって規定されるとする考え方の学問で、単に行動科学と言われたりします。

因みに、パブロフの犬で有名なイワン・パブロフはこの行動心理学の
走りです。もっとも、本人は心理学とは思っておらず、
「私は生理学者だ」という主張をしていたそうですが。

そのパブロフの有名な実験が「パブロフの犬」と言われています。

実験用に唾液腺を口の外側に移植した(なんてヒドイ!)犬に、
餌を与える前にベルを鳴らす。

ベルを鳴らす、餌を与える。ベルを鳴らす、餌。
ベル、餌。 ベル、餌。 ベル、餌。

これを繰り返すと、ベルを鳴らすだけで犬がよだれを出すようになるのです。
ベルが鳴ることが、餌と結びついたのですね。

hungry_dog
by another sergio


さて、本日ご紹介する『パフォーマンス・マネジメント』は、
これをマネジメントに応用しようアイディアが出てきます。

有るわけないと思いましたか?

■We are alike. Let's face it.

厳密に言うと、パブロフの犬はそのまま応用できません。
だから、厳密じゃなくて話をします。
どうしても厳密を望む方は下記のテキストをお読みください。


古典的条件付けとオペラント条件付けの区別


さて、本書の主旨はとてもシンプルです。行動心理学にのっとって、

1)特定の条件下で、
2)起こった行動に、
3)正しくリアクションする。

これだけ。ただし、重要なのは「個人攻撃は意味がない」と理解することです。

例えば、
 1)書類を作ってと指示をする
 2)意図通りのものができない
 3)注意する/怒る

という一連の流れ。一見すると良くありがちですが、行動心理学の立場からは
何も意味がない(というか将来的に改善が見込めない)流れです。

何故なら、注意によってその人が不快になる状態を作っても、
2)でとった行動が弱くなるだけだからです。

ベル、餌、ベル、餌理論からすると、条件づけをきちんとするか、
正解に近付いている行動に賞を与えない限りは改善しないということになります。

人間も動物。

ほめて伸ばせというのは案外正解なのかもしれません。

パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学/島宗 理
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