あなたの周りに「俺の組織にはビジョンが無い」と嘆いている
人はいませんか?

「上司からの説明がろくに無い」「ペナルティだけがやたら厳しい」
こう言っている人は?

もしもいるのならば、彼の働く組織は世界征服をたくらんでいるのかもしれません。

本日ご紹介するのはファンタジーの悪の組織がたくらむ
世界征服をまじめに分析した新書、『世界征服は可能か?』です。

さぁ、皆さん。世界征服しようじゃぁありませんか。

岡田 斗司夫
「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)

■ 悪の組織に必要なのは「ビジョン」

まずは世界征服の分析、分類から始まるのですがそこでいきなり
「世界征服の後のビジョンが無い組織が多い」と看破します。

北斗の拳のサウザーを例にあげ、「彼はわざわざ子供を働かせて
ピラミッドを作らせている。本当に目的を達成したいのであれば
大人を使えば反発が少なくて征服事業もやりやすいのに。」
と指摘。

さらにショッカーは世界を征服するという手段が目的に
なってしまっている。とも言います。

人類を殲滅し、居住地とする目的のガミラス人、
悪を広めるのが目的のピッコロ大魔王、
支配されることへの抵抗を目指すジオン公国を見習いましょう。

本当になぜ世界を征服したいのか、まじめに考える必要がありそうです。


■ 征服者は忙しいし、征服した後は面倒くさい。

「世界征服をしようとしたとき、独裁者は本当に忙しい。」
すべての報告が自分が来て、すべての判断をしなければいけないからで、
ロボットを作って、征服計画を練って、現場で指揮をしてと大忙し。

『バビル2世』にでてくるヨミ様は、3回も過労死しているそうです。

しかも、征服をしたらしたで地域紛争などの事案まで振ってきます。

世界征服を目指すのであれば睡眠不足は覚悟したほうがよさそうです。


■ 失敗したら抹殺は逆効果

失敗したからといって部下を粛清してはいけません。

これをやると「負けそうになる」→「殺されるから逃げる」→「形勢不利」→「さらに人が・・・」
というループにはまるからです。

世界征服をするには部下との関係もうまくやり、
モチベーション管理も必須なようです。

他にも事業資金を確保する為の表の組織が儲かったらどうするとか、
ロボットは作ってもいいですか?とか考えることが山積み。

なんかぜんぜん楽しそうじゃないぞ。
悪なのに。


■ とはいえ

空想科学読本とか、前田建設ファンタジー営業部 が好きな人は多分好きです。
「理想どうあれ現実的にできるの?」が好きな人向け。

岡田 斗司夫
「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)