こと著作権に関する議論は、良識あるニュースサイトを見ていても
何も分からないと思っている。

なぜならば、そこには法律のことしか書いてないから。

法律を破れとか、守らなくていいとかそういうわけではなくて、
コンテンツとネットの問題は、「だって金が儲からねぇだろ」とか
「金と便利さの話ばっかして、アーティストを敬えよ」とか、
そういうところを含めてされるものだと思うからであります。

ようするに権利者が抗議する道具として法律が都合がよかっただけで、
どういう事情でインターネットにコンテンツがオフィシャルに流れて
こないかを理解するには、それでは足りないと思う。

で。長い前置きですがコンテンツフューチャーを読み終えました。
結論からいえば、法律含めてネットとコンテンツに横たわる問題を、
現場の人へのインタビューを通して包括的に理解できる本です。

メンツを見ていただくと大体分かると思うので、
それぞれ象徴的だなと思った一言を抜粋引用します。
小寺 信良, 津田 大介
CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ (NT2X)

第2日本テレビ 土屋氏
『堀江さんが言ったのは「利益がもっと出るようになりますからやりましょう」
ということですね。三木谷さんが言ったのは「便利になるからやりましょう」
ということ。両方とも「利」ですよね。利益とか便利の「利」を言う。』

インターネットならではの表現があるはずだとして

MXテレビ 草場氏
小寺
 ある意味テレビって、ネットと関係ないんだよね。
 今も多分そうだと思うんだけど、もともと眼中にないのよね。

草場
 あ・・・いや、すごく意識はしていると思うんですけど、放送と通信の融合
 というのが、やっぱり・・・。

小寺
 イメージ沸かないよね(笑

草場
 補完関係はもちろんありますけど・・・・なんだろう・・・・関係ないですよね。


テレビというメディアについての話の流れで。

ソニー 西谷氏
『結果的にはやっぱり新しい技術を使って、それでもう一度、
別のビジネスモデルをどう作るか。それを思いついた人が、
きっと一番良い思いをする。』

テクノロジとコンテンツの歴史を振り返って

TBSラジオ 長谷川氏
『現状で言うと、ポッドキャストやネットでは出せないライブ感とか
そういうものがあるから、僕はまだラジオに価値はあると
思ってます。そういう価値をもっとドライブしてくれるメディアが
出てくれば、僕はそっちに行けばいいかな、と(笑)』

音楽家 椎名氏
『僕も「ネットの違法コピーがこれだけある」みたいに数字で仮定で
算出するバカらしさは理解できるけど、でもじゃぁYoutube の的
な違法コピーを認めるの?って言われたら「No!」といわざるを
得ないし、業界はそういう方法でしか身を守る手段が分からない
んじゃないかな。「違法は違法じゃねぇか!」っていう(笑)』

権利者の権利強化は、音楽産業にとってマイナスではないか?
との問いに答えて。

慶應義塾大学 中村氏
もっと言えば、あの審議会は法的な権限が弱いんですよ。
審議会の性格上、あそこで決めたら何かが決まるという
構造になっていないんです。

まだ足りないというかたは、こちらも一緒にどうぞ。

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