パキスタン産マンゴー輸出への壁
今年からアメリカと日本へのマンゴー輸出が解禁されるにも関わらず、パキスタン産マンゴーの総輸出量の増加はあまり期待できない。
現役輸出業者で、全パキスタン青果輸出業(APVFE)前会長であるアブドゥル・ワヒード氏によると、5月28日よりマンゴーが試験的に輸出解禁となる日本について、マンゴー輸出業者はあまり高い期待を抱かないほうがいいと言う。アメリカと日本へのマンゴー輸出において、痛みやすい果物であるマンゴーには輸送距離の問題と貯蔵寿命の問題があるからだ。
パキスタン産マンゴーの輸出は5月20日から始まり9月まで続く。この間に約18億トンのマンゴー輸出を目指すのだが、近年のマンゴー輸出量は減少気味である。近年の収穫量が乏しいこと、低温流通システムが不足していること、ヨーロッパやアフリカへの航空便がないことが原因だ。
輸出業者や農業者によると、1800万トン収穫可能なマンゴー畑があるものの、この先数年のマンゴー輸出量は20-30万トンに設定されている。この数値は政府により管理されているのだが、たとえばパキスタン国際航空が貨物の料金を低く設定すれば、この数値は増える。
現地におけるマンゴーの価格は近年高騰し、例年であれば40kgあたり800~900ルピーなのだが、現在は40kgあたり1300~1400ルピーである。現地の交通手段が近年30%以上値上がりし、梱包などにかかる人件費も値上がりしたことが原因のひとつだ。
マンゴーは輸出される前に、カラチのマリール(Malir) において蒸熱処理を通過しなければならない。これを通過したマンゴーについては、パキスタン貿易開発局が梱包費を負担する。
ちなみに、パキスタン産マンゴーは、アフガニスタン、中央アジア、イランにおいて闇市場があるのだが、税関を通さない貿易では政府に利益は生じない。
在日パキスタン大使館は、マンゴー販売促進のため主要な百貨店などに、マンゴーを配布する予定。