パキスタン、07年の非常事態宣言は違憲 最高裁が判断
パキスタン最高裁判所は31日、07年11月に当時のムシャラフ大統領が発令した非常事態宣言を違憲と判断し、宣言下で発令された暫定憲法や判事の解任な
どすべての大統領令を無効とした。宣言で解任され、3月に政府が復職を認めたチャウダリー最高裁長官が主任判事を務めた。最高裁はムシャラフ氏を訴追する
かどうかの判断を国会に委ねたため、今後、同氏の処遇を巡る党派間論争が活発化し、政局が流動化することになりそうだ。
国会が反逆罪での訴追を決めれば、裁判所が死刑か終身刑を言い渡す可能性がある。
チャウダリー氏は、ザルダリ大統領やブット元首相(07年12月暗殺)らの汚職罪を無罪とした、ムシャラフ政権の国民和解協定(07年10月制定)も違 憲とみなす一方、ザルダリ氏が持つ強大な大統領権限を保障する現憲法(02年改正)にも反発しているとされる。このため、ザルダリ氏の与党「パキスタン人 民党」は、最高裁の出方を注視しつつ、議会対応を図るとみられる。
一方、全国的な抗議デモでチャウダリー氏の復職をザルダリ氏に認めさせた、シャリフ元首相の「イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派」は、ムシャラフ氏の 訴追を強硬に求める方針。シャリフ氏は99年10月、ムシャラフ氏のクーデターで政権を追われたが、最高裁は今年7月、クーデターへの対抗措置に関する シャリフ氏の有罪判決を破棄し、無罪とした。
公民権を回復したシャリフ氏は、下院議会の補欠選の早期実施を政府に求めており、人民党との駆け引きが水面下で活発化しそうだ。これに対し、ムシャラフ氏を支持した「ムータヒダ民族運動」は、同氏の訴追に難色を示すとみられる。
だが、反米世論の強いパキスタンでは、米国に協力して対テロ戦を開始したムシャラフ氏への反感は根強く、同氏を擁護する国民は少ない。
ムシャラフ氏は現在、英国などで生活している。今回の審理は6月に南部カラチの弁護士らの上訴で開始した。ムシャラフ氏側は出廷せず、答弁書も提出しないまま結審した。
◇07年11月の非常事態宣言
ムシャラフ氏が再選された大統領選(07年10月)の合憲性について最高裁が判決を出す直前に発令された。宣言理由は「対テロ戦強化のため」とされ、対 テロ戦のあり方に反発していたチャウダリー氏を非難、解任した。一方、ムシャラフ氏側は米国の後押しを受け、掃討作戦強化を訴えたブット元首相側と政権分 担協議を進めていた。
国会が反逆罪での訴追を決めれば、裁判所が死刑か終身刑を言い渡す可能性がある。
チャウダリー氏は、ザルダリ大統領やブット元首相(07年12月暗殺)らの汚職罪を無罪とした、ムシャラフ政権の国民和解協定(07年10月制定)も違 憲とみなす一方、ザルダリ氏が持つ強大な大統領権限を保障する現憲法(02年改正)にも反発しているとされる。このため、ザルダリ氏の与党「パキスタン人 民党」は、最高裁の出方を注視しつつ、議会対応を図るとみられる。
一方、全国的な抗議デモでチャウダリー氏の復職をザルダリ氏に認めさせた、シャリフ元首相の「イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派」は、ムシャラフ氏の 訴追を強硬に求める方針。シャリフ氏は99年10月、ムシャラフ氏のクーデターで政権を追われたが、最高裁は今年7月、クーデターへの対抗措置に関する シャリフ氏の有罪判決を破棄し、無罪とした。
公民権を回復したシャリフ氏は、下院議会の補欠選の早期実施を政府に求めており、人民党との駆け引きが水面下で活発化しそうだ。これに対し、ムシャラフ氏を支持した「ムータヒダ民族運動」は、同氏の訴追に難色を示すとみられる。
だが、反米世論の強いパキスタンでは、米国に協力して対テロ戦を開始したムシャラフ氏への反感は根強く、同氏を擁護する国民は少ない。
ムシャラフ氏は現在、英国などで生活している。今回の審理は6月に南部カラチの弁護士らの上訴で開始した。ムシャラフ氏側は出廷せず、答弁書も提出しないまま結審した。
◇07年11月の非常事態宣言
ムシャラフ氏が再選された大統領選(07年10月)の合憲性について最高裁が判決を出す直前に発令された。宣言理由は「対テロ戦強化のため」とされ、対 テロ戦のあり方に反発していたチャウダリー氏を非難、解任した。一方、ムシャラフ氏側は米国の後押しを受け、掃討作戦強化を訴えたブット元首相側と政権分 担協議を進めていた。