初めての妊娠でかかった病院は、近所の町医者でした。

 

10週で稽留流産の診断をされ

手術のため1泊することになりました。

子宮口を開くための器具を一晩入れるのですが

それが痛くて眠れませんでした。

 

そして当日。

麻酔をしてくれるのかと思いきや、

最初の処置は麻酔なしで何かをしていて

あまりの激痛に大袈裟かもしれませんが

このまま死ぬのかなと思いました😅

私はそれくらい悪いことをしたんだと

罪悪感がさらに大きくなりました。

 

手術後麻酔から覚めて診察室に行きました。

「これが子宮から出したものです」

茶色のガラス瓶にバラバラになった物質が浮かんでいました。

エコーで見たときはわずかながら人の形だった。

私は無意識に感情をシャットダウンしていました。

でも心のどこかで

「なんてひどいことを」という声がしていました。

涙は出ませんでした。

先生は淡々と何かを説明して

私は表面上なんともないみたいな感じで家に戻りました。

 

子どものころから感情を抑える癖がついていて

私は悲しみや怒りを表に出しませんでした。

 

手術後から少量の出血が2週間以上続き

止血剤を飲んでいても効かず

別の病院に行ったりもしましたが

原因はわかりませんでした。

そのうえ右側の足の付け根が歩くたびに痛むようになって

整骨院や整形外科にも行き、MRIも撮ったんですが

何も出てきませんでした。

病院巡りをしているうちに大学病院を紹介され

子宮や卵管の検査もしましたが異常なし。

 

大学病院では妊婦さんもたくさんいて

産婦人科の待合室では複雑な気持ちでした。

悲しみと不安しかない私の心と

希望と喜びの妊婦さんたちの心には

大きな溝がありました。

今は配慮されつつあるかもしれませんが

それでもまだ心のケアはできているのかなと疑問に思います。

 

私の出血は1か月くらいで止まったのですが

足の付け根の痛みはずっと続きました。

もともとその原因を知りたくて

病院を渡り歩いていたんですが

結局何もわからないまま。

大学病院で月に1度基礎体温を見てもらい

何か薬をもらうという生活が

気づくと1年くらい続いていました。

 

ある日の診察で

「不妊外来に移りませんか」

と言われました。

私は自分が不妊だという自覚がなかったので

先生の言葉に驚きました。

私があまりにも受け身だったのでわかってなかったんですが

先生は原因がわからないのでタイミング療法で

子どもを授かる方向に持っていこうとしていたようです。

産婦人科なので当然かもしれませんが💦

お互いに意思の疎通がないまま月に1度検診をして

ある日突然の不妊宣告(だと私は受けとめました)。

 

満開の桜が咲く4月の出来事でした。

美しいピンクの花を楽しむ心も持てないまま

私は泣きながら桜並木の坂道を登って家路につきました。

これまであまりにも受け身でいたことが情けなくて

病院に対する不信感や怒りも湧いてきました。

私はこのとき

「もう病院には頼らない」と決意しました。

 

病院が悪いわけではないと今では思います。

ただ、患者の心に寄り添う医療というのは

果たしてどこまで改善されてきているのだろうと

ふと思ったりします。

もちろんお医者さんや看護師さんは

カウンセラーではありません。

ただ心と体は密接に関係していて

心の状態が体に影響します。

これからの医療に欠かせないものとして

ド素人の意見ではありますが

心に寄りそう医療というものが広がってほしいと

心から思います。

 

医療関係者の皆さまのことは

心から尊敬しているし感謝しています。

それだけはお伝えしておきます✨