こうなるのは当たり前だ
ニノを一人にした理由も掴めていないくせに何が「腰、もっと動かす?」だ
情けない
恥ずかしい
「あの、ニノ…」
早く謝らなきゃっ
「大野さん」
「はいっ」
「ちょっとだけ話したいんですけど…」
「う、うんっ」
「それで、あの、さっきみたいに抱きしめてもらいたいんですけど…いいですか?」
「もちろんだよ!来て、ニノ」
ドキドキしながらニノの幅の分だけ腕を広げる
「…ありがと」
そこへニノがぽすんと収まってくれた
またニノを抱き締めることが出来て嬉しい
話の内容は分からないけど、やっぱり嬉しい
「…俺はね、大野さん」
「うん」
ニノの身体から少しずつ力が抜けていくのが分かるけど、小さな手は、ぎゅっと握られている
…緊張、してる?
「元気が無い大野さんも、好きなんです」
「うん」
「ネガティブなの知ってるし、俺に嫌われるのすっごく嫌なことも知ってます」
「うん」
「逃げたい時は思い切り逃げていいんです」
「うん」
「でも一人で落ち込まれたり、一人で逃げて一人で閉じこもったり…そうなるとどうしていいのか分からなくて、すごく悲しいんです」
「…うん」
「俺も一緒にって思ったけど、生活とか、仕事とか、そういうのが全部ダメになったらって思ったら…出来なくて…」
「うん、分かるよ、そうだよね」
「二人で居るのに…一人…だったんだよ」
「…ごめん」
「違うっ 謝ってほしいんじゃないっ
仕事が大変で疲れも溜まってて精神的にもギリギリでっ そーゆーの分かるしっ それにもっと早く気付いてもっと早く楽にさせてあげられなくて俺もすっごくダメだったけどっ」
そんなことない
ニノはダメじゃない
「誕生日を忘れたからってなんですかっ 長く一緒に居るんだからそんなときもあるでしょっ
そーゆーことも一緒に笑ってダメじゃんって言いながら楽しくケンカしたりするのが一緒に生活するってことなんじゃないんですかっ?それをっ それをっ…
そんなもの大野さんが俺を見てくれないことに比べたら…比べたらっ」
「うん、そうだよね、ほんとにごめん」
つづく