「ここはなんですか?仕事じゃないですよね?
部長?聞いてます?時間ありませんよ?」
「う~ん…」
「よろしければ、お出しいたしましょうか」
「ゔーん…」
出してもらうにしても、どれを出してもらえばいいんだろう
ここにあるやつ全部?
「お贈りするお相手様は、どのような方でしょう?」
「可愛くて、綺麗で、強くて、優しくて、女神なのに小動物みたいなところもあって
照れ屋さんで、頑張り屋さんで、笑顔がきらきらしてて、泣いてる顔もすごく素敵で
側に居てくれるだけで空気がふわっと軽くなる人で…ん?!ぉお?!
これ!これ出していただけますか?!」
ニノのことを想いながら一つ一つしっかり見ると、こっちを見て呼んでるのがあった
「お待たせしました、こちらでございますね」
シンプルなシルバーだけど、手の上に乗せてみると
光の角度によってピンクゴールドにも見えるリング
「これ…似合う気がする…」
「号数はお分かりでしょうか」
「翔くん、号数ってなに?」
「指の太さですよ!それより!時間!やばいからっ!」
なるほど、指の太さか
「失礼」
「あっ…あのぉ…」
「ちょ!智くん?!」
白い手袋をしてる店員さんの人差し指を掴む
「これの一つ小さいの、どれですか?」
「は…はい、えっと、こちらでございます」
出された見本のリングを人差し指に通す
第一関節で止まって、くるっと回る
うん、これだ
「これと同じ号数で」
向こうへ行く前に、旅行で言えなかった最後の我が儘を言おう
そして、これを一緒に渡そう!
つづく