絶炎・3 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「来週から現場手伝ってみる?交通費程度だけど謝礼も出るよ」

「え?!マジっすか!やります!」



この学校は現場主義

取ろうと思えば難易度の高い資格も狙えるけど、まずは現場を経験しないことには腕は上がらない



「これ申請書、教員室に出しといて

これが図面、倉庫から機材乗せてくから、遅れずに来いよ」

「はいっ」




自分のやりたいこととか、夢とか


そういうことを考えたことが無かった



昔はなにを思っていたのか気になって小学生の文集を引っ張りだすと


「スチュワーデスになりたい」と書いてあった



多分、あの人が姉に「色んなところに行けるから、なってみたら?」なんて言ってたのを


そのまま書いたんだと思う



大人になれば色んなところに行けるんだ



この時は、それが唯一の希望だったのかもしれない






入りたくない家から出る努力をしようと思ったのは

びっくりするくらいたくさん泣いて、練習をしてもらった翌日のこと



それから無我夢中で資金を蓄えた



些細なことに左右されない強さと

誰にも頼らずに、一人で生きていく力



それらも同時に得ようとしていた




俺を必要としてくれる場所がどこかにあるといいなって思ったけど

それが見付かるのは10年後かもしれないし、死ぬ間際かもしれない



だから、それまでは、とにかく生きないと…



日増しに遅く進む時間の中

どうしても苦しい時だけ、あの夜のことを胸に甦らせて眠った






「図面は読めるけど、これってどんな照明になるんだろ?」



自分の将来について、生まれて初めて考えた時

大野さんと接点がある

それが一番重要だと思った



道標だなんて言ったらドン引きされるかもしれない

だけど、あの空気に、生涯触れていたいと思った



これは可能性の話だけど


大野さんが作品を発表したり、個展を開いたり、なにか大きな賞を貰うような時

その作品を照らすのは俺でありたいんだ



だから、その時までに確かな力を身に付けて


大野さんから指名してもらえるように頑張る



もし大野さんに必要としてもらえたら…



そこが俺の居場所になるんじゃないかって、思った











「行くぞーっ」

「は~い」



念願の特売日

駅で待ち合わせをして、お店へ向かう



「飯、食ってくだろ?」

「…え?いいんですか?!」

「母ちゃんから絶対に連れて帰ってこいって言われてんだよ」



大野さんのお母さんと会うのも久し振りだな…



「昨日から張り切って煮込んでたぞ」

「もしかして…ハンバーグ?」

「お決まりのな」

「わぁ~!食べた~い!」

「よし、食ってけ!」



この世で一番美味しいのは、大野さんのお母さんが作るハンバーグだと思う



隠し味がさ、あるんだよね

ふわふわと漂う優しさがお肉と一緒に練り込まれてるんだ


そんなの美味しいに決まってるよ



…あ、やばっ

想像しただけでヨダレが出てきちゃった

















つづく