人は人を愛せます・2 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。



~青志先生とへっぽこ釣り部の大野くん~





















6月




試験期間となって、部活動が禁止になった



僕は落ち着くこの部室で勉強をしてるんだけど…



「練習が足りない…」



なぜか田茂先生もここへ来て

ぶつぶつ何か言っていた




「野球部、うまくいってないんですか?」

「…え?あぁ、すまない、声に出ていたか」

「ちょうど休憩にしようと思っていたので、大丈夫です」

「あいつら、勉強は出来るんだよ

頭はいいんだ、当たり前だよ、ここの生徒なんだから

だけどなぜか野球という分野に足を踏み入れると頭を使わなくなる


目の前の問題を自分の問題として捉えなくなる


自分の頭で考えなくなってしまう

そこの…そう!気持ちに問題があるんだ

弱いままでいいということを、まだ理解していない」



「…ふふっ」



先生は、凄く楽しいんだなと思った



初めは嫌々だったのに

もうずっと、野球部のことばかり考えてる




「面白いことを言ったつもりはないが?」

「違います、羨ましいなと思って」

「羨ましい?何が」

「田茂先生に、そうやっていっぱい考えてもらえる野球部のみんなが、です」



部室の隅にある一人掛けソファに深く腰をかけて

窓の外に広がる空を眺めていた先生が



「なるほど、では、君のことを考えようか」



僕に向き直って、足を組んだ




「僕のことを?」


「そう、こうやって思考する場所を提供してもらってるんだ

君のことも考えるのが筋だろう」

「いいですよ、僕のことは」



誰にも理解されたことはないし

多分、僕自身、理解されたいとも思ってない



僕は僕で、好きなことをやっていれたらそれでいいんだ




「私はこう見えても君の先輩だ

君は賢いが、私は君よりもっと賢い、それなりの経験と知識がある

利用しておいて損はない」



そっか…


言ってみようかな…



きっと田茂先生なら笑わずに聞いてくれる


そんな気がした





「あの…」

「ん?」

「不安…が、あるんですけど…」


「不安、とは?」


「人と付き合うのが苦手で、これでこの先やっていけるのか、不安なんです


生きていく限り、人と関わりを持つことは絶対条件

でも僕は…はっきり言って面倒臭い

一人で出来ることが限られてくる世界で

僕は生きていくことが出来るのか、不安です」




言ってしまった



誰にも言ったことのない、僕の本音を




先生はなんと応えてくれるだろうか…





「ははっ」



えっ?


笑われた…?



田茂先生だけは笑わずに聞いてくれると思ったのに…




「…もういいです」



やっぱり人に理解されようなんて思わなければよかった





「私も“人”だが、それについてはどう思う?」

「…え?」

「君の言う“人”とは、まるで君とは相容れない存在のようだが

私も人だ、今現在、君と関わっている人そのものだ

これは私の勝手な見解だが

私は君とうまくやれていると思っている

ここから追い出されたことはないし、私の存在を疎んでいると感じたこともない

この仮説から導き出すと、君は私という“人”と非常にうまくやれているという結論になるんだが…

この仮説は、果たしてそれほど検討違いなものだろうか?

君の意見を聞こう」



目から鱗がボロボロとこぼれる音がした



「検討違い…ではありません」


「そうか、それはよかった

狭い人間関係しか形成出来ない学生というある意味特殊な空間で

自分とぴたりと合う人間が居ないからといって悲観するのは早計だな」


「…はい」

「さ、おしゃべりはこの辺にしよう

勉強の邪魔をしてすまなかった」




田茂先生は、ふっと笑って

部室から出ていった

















つづく