人生の続きを思う~医学生の言葉から~ | にのさかクリニック公式ブログ

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福岡市早良区で外来・在宅診療を行っているクリニックです

にのさかクリニック公式ブログ、略して 「にのログ」

院長二ノ坂 建史です。

 

4月、5-6月と、2人の医学部6年生が臨床実習の一環で当院に来てくれました。

1週間 (4~5日) という僅かな期間ですが、

外来診療・在宅診療に同行し、地域医療のリアルを感じてもらいました。

 

実習終わりには、例によってレポートを書いてもらいました。

彼らの言葉の一部を紹介します。

 

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にのさかクリニックで実習を行うまでは、

在宅医療に対して看取りのための終末期の医療のイメージを持っていました。

しかし実際に訪問診療に同行してみると、

そこには患者さんの終わりを看取ろうとするご家族の姿はなく、

患者さんをケアする家族もスタッフも、

患者さんにとっての苦しみを減らすために努力をしていました。

その姿は、安らかな死に向かっていく終末期医療ではなく、

生きる場所を支える医療だと実感しました。

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高齢化が進む現代社会において、

在宅医療は患者さんの自立や生活の質の向上、

医療費の削減など多くのメリットがあります。

同じ疾患に対して同じ治療を行う上でも、

入院が良いか在宅が良いかは患者背景によって変わってくるので、

常に在宅という選択肢があることは

患者さんのQOLを向上させるために重要なことであると感じました。

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まず感じたことは、私が見てきた大学病院での医療は、

医療のほんの一部にしか過ぎないということです。

大学病院で実習している際は、

担当患者さんが退院後にどうなったかを気にすることもありませんでしたし、

カルテで調べたこともありませんでした。

しかし、今回の外来・訪問診療実習では、

大学病院を退院された後の方もたくさんいらっしゃり、

当たり前のことではありますが、患者さんの人生は

大半大学病院退院後も続いていくのだということを再認識しました。

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どのような職種の方々が、

どのようなことを考えて医療を行っているのかを目の当たりにすることは、

たとえ自分が急性期病院で働いていたとしても、

患者さんの退院後のことを想像しながら、

その方に対して急性期病院で何ができるのかを

考えるための糧になるのだと感じました。

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医療の時系列に沿って患者さんが回復する過程に立ち会えたことは、

私自身にとって一生忘れることのない経験になりましたし、

人の生命に携わる医師という職業を志して良かったと思える瞬間でもありました。

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大学病院では、患者さんへの何らかの治療を行うことがほとんどであり、

私はそれだけを見てきました。

しかし実際には、入院して治療を行うのか、

もしくは、たとえ亡くなる可能性があっても、

自宅で家族と過ごしながら生活を続けるのかなどを

選択しなければならない場面もあり、

その際のご本人やご家族への意思確認や、

他の職種の方も交えて話し合いを行っている様子がとても印象的でした。

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訪問診療では、患者さんのパーソナルスペースにお邪魔するということもあり、

ドアの開閉や家の中での所作など、医療以外の場面でも

患者さんとの信頼関係を構築する要素になるということを学びました。

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2人とも、本当に豊かな感性で大切なことを学んでくれたと思います。

この記事にも書いたような僕の学生時代と違って、

本当に真面目で素晴らしい・・・(苦笑)

 

これからも、よく学び、よく学び、よく学び×∞・・・よく遊んで、

良いお医者さんになって、

患者さんとそのご家族のために尽力してくれることと思います。

そして、立派になって当院で勤務してくれたら尚嬉しいですね。

彼らの将来に期待大!!

 

ある訪問先で咲いていた紫陽花です。

 

にのさかクリニックは、これからも学生・研修医の指導を頑張ります。