チェンミン
ジョンデside
最近涼しい日が続いていたから今日の気温の高さに身体が思うように慣れてくれない。
しかもじめっとしている気もする。…ああ、耐えられない。
だったら冷房をかければいいじゃないかと思ったが行動に移すのは躊躇う。こんな朝っぱらから冷房なんてミンソギ兄に怒られるに決まってる!と一人うなだれる。ああ、耐えられない。
抱けるサイズの大きな氷があればいいのに。
ふと、ミンソギ兄の肌は冷たいことを思い出した。そうだ、兄は事務所の設定通り年がら年中身体がひんやりしている。それなのに汗は人一倍かくから不思議なものだといつも思っていた。
そうか、冷房なんてかけなくても兄にくっつけば涼しいじゃないかと兄の部屋まで歩く。
コンコンと控え目に扉をノックすれば中から兄の返事が返ってくる。
「兄~!ちょっといいですか~?」と声をかけるとああ、ジョンデか。なんて呟きながらこちらに足音が近づいてくるのがわかった。
ガチャと扉が開きタンクトップ姿の兄が出てきた。相変わらず透き通るような白い肌だった。季節はずれの雪を思わせるような兄をみてああ、やっぱりきてよかったなんて安堵を感じる。
兄は顔に?をだしながらこちらを見ている。俺の方が少し背が高いから上目になってしまうのが可愛らしい。チャニョルがいつも兄のこの目線にでれでれしているのは誰が見てもわかった。心のどこかで兄をそんな目で見るなと嫉妬してしまうのはまだ俺が若いからなのかはわからない。
部屋まで来たのに何の用事も伝えてこないジョンデに痺れを切らしたのか兄の方から「どうした?」と聞かれてキリのない考えから抜け出す。
ああ、アツい。耐えられない。
無意識にジョンデはミンソギ兄を腕の中に閉じこめた。それはとても大事そうに。
ミンソギ兄が突然のことに動揺しているのがわかる。可愛い。
こんなに長い間一緒にいるのにまだこうやって身体に触れられることに慣れないのだ。まあ、そこがいいんだけど。なんて1人にやつく。
「お、おい!どうしたんだよ?」と兄に声をかけられる。ああ、そうだ。俺は涼みに来たんだったと、ここでようやく最初の目的を思い出す。
ニッコリとした顔で「暑かったから涼みに来たんです。」と告げると、兄は対照的には?と怪訝そうな顔をする。
「俺の部屋冷房ついてないよ?」
「そんなの最初からわかってますよ~」
「…だったら来る意味ないじゃん」と兄は口を尖らす。ああ、もう。本当に可愛い人だ。無意識にさらっと可愛いことをするから困る。
さらにジョンデは腕に力を入れてぎゅうっときつく抱きしめる。兄の身体が俺の体温を吸って暖かくなるのがわかる。
だんだん暑くなってきた。
でも離れたくない。離したくない。
矛盾した考えを振り切るようにぐりぐりと頭をミンソギ兄にすりつけると
兄が「なんだよ~、暑いから離れろよ~」なんてクスクス笑いながら腕の中に大人しく抱かれているのがたまらなく愛おしい。
少し色づいた頬が、
くしゃりとした目尻が可愛い。
なんだろう、全てが可愛くて愛おしい。
あ~、俺この人のこと本当に大好きなんだなぁ、なんてちょっとくさいことを考えてみる。
「俺もだよ」
無言のまま抱きしめ合っていたら急に口を開いたミンソギ兄。
…俺もだよ?え?何が?
よくわからなくて首を傾げる。
兄はなんでお前はこんなこともわからないんだとでも言いたそうにキッとこちらを見つめると、
「だから!俺もお前のこと大好き!って意味だよ!わかれよ!バカ!」
え?なんでそのことを?
「さっきからお前声に全部出てたから!!」と顔を赤くして兄は叫んだ。
ここで自分がしたことに気づいた。
身体の全細胞が一気に熱くなるのがわかった。
ああ、ただでさえ暑いのにさらに熱くなってしまったじゃないか。とジョンデは額を手で押さえる。
ああ、熱いなら兄に冷ましてもらえばいい。
お前はいっつも直球だから心臓に良くないだのああだこうだとブツブツ言ってる兄の唇を奪う。
「な、おま、ここ廊下!誰が通るかわかんないんだぞ!」と兄が文句を言っているのが聞こえるが無視を決め込んでさらに深く口づけをしながら、いいじゃないか、俺と兄は恋人なんだし。と子供じみた言い訳を頭の片隅で考える。
きゅっと服を掴まれる感触に気を良くしてさらに角度を変えながら可愛い年上であり、俺の前では少しわがままで怒りん坊な恋人の唇を味わう。
そう、まだ夏は始まったばかりだ。