妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「・・・潤くん」
N宮の蜂蜜色の瞳がウルウルと潤んだのを見て、
「泣くな・・・悪い、それまでは我慢してくれ」
目頭を優しい仕草で拭った。
「・・はい」
N宮がゆっくりと頷き、それを見た潤も頷きで返した。
「・・・潤さん」
そんな潤を見つめるA葉の瞳がキラキラと輝き、素直に反応できるA葉を羨ましそうにS井が見る。
そんなS井に気がついたA葉が、
「ね、翔ちゃん!俺たちの潤さん、めっちゃカッコいいよね?」
体当たりするみたく飛びついた。
「ちょっ・・・雅紀!」
困った顔をしつつもA葉を振り解こうとしないS井、そんな2人の姿にムッとした表情を向けた潤が、
「雅紀・・・S井も俺に協力してくれ。とにかく、カズは今まで通りに振る舞うこと」
真面目な顔をして言った後で、
「・・・膝枕の件、忘れてないからな?」
小声でボソッと呟いた。
「・・・?」
N宮が小首を傾げてA葉とS井を興味深げに視線を移すと、
「雅紀、ヤベーよ」
S井は焦りの表情を浮かべて、
「ふふっ、潤さんが嫉妬してる♡」
A葉が煽るようなセリフを吐く。
「お前ら・・・」
「え・・・まーくん、膝枕って?」
「ニノ、突っ込むな!」
わちゃわちゃと過ごす4人の智を取り巻く人物たち、けれど彼らの心中は決して穏やかとは言えないのだ。
解決すべき大きな問題、それにどう挑んでいくのか。
これから4人の戦いが始まることになるのだった。
中心となって動くのは、年上であり社会人でもある潤とS井だ。
この日から2人は協力体制を強固なものとし、智の不在時にペアで動く機会も増えて行った。
S井は医師としての立場から斗真に助言を求めた。
「・・・そういうこと・・・か。N宮くんの嘘とO野さんの記憶の喪失、そしてその関連性は不明・・・と」
「なぁ・・・斗真、どう思う?」
ここは会員制のとあるバーの個室、潤はN宮とA葉に智を託してこっそりと屋敷を抜け出していた。
S井の問いかけに、斗真はチラッと潤を窺うように視線を動かす。
「I田先生、あなたの手助けが必要です・・・忌憚のない意見を、医師としての立場からお願いします」
以前とは異なり低姿勢でこの場に臨む潤の姿に、斗真が頷いて口を開いた。