妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「・・・何がおかしいんだよ?失礼な奴だな」
ムッとしたS井の白衣を指差して、
「いや、お前の方は大惨事じゃん?」
そう告げると、
「いいんだよ・・・俺のなんてどうせ安物の市販の白衣だし」
S井がまた視線を逸らす。
「クリーニング代、出すよ」
潤は滑るような動作でS井の前で膝を突けて彼と同じ姿勢になると視線を合わせ、白衣の襟に軽く触れた。
「いいよ、これくらい・・・どうせラボからまとめてクリーニング行きだし」
途端にブワッと赤面して潤の視線から逃げたS井の様子に智の言葉に間違いがないことを実感して、いたたまれない気持ちになった潤は頭を掻いた。
「はー・・・」
S井は潤のそんな仕草に、
「・・・何?」
訝しげな視線を投げてくる。
「いや・・・別に」
「言えよ、気になるだろ?お前らしくないな」
「じゃあ単刀直入に聞くけど・・・S井って・・・俺のこと好きなの?」
「・・・っ?!」
S井が驚いて目を見開いて固まり、それが答えだと悟った潤は、
「はぁぁぁ・・・マジか。分かりにくいんだよ、お前」
大きく肩を落とした。
「なっ・・・なっ・・・!!」
S井は慌てて立ち上がって一歩後ろに下がって潤から逃げ、落ち着かない様子で少し長めの前髪で顔を隠そうとするけれど、耳まで真っ赤に染まっているのは隠しようがない。
頭はいいのに人間関係に躓きやすい人種多めな【ザ 理系】のイメージそのままに、S井の恋愛偏差値は高くはなさそうだ。
そんなS井がおかしくて堪らず笑いが込み上げる。
「何?お前ってゲイなの?」
「は?!・・・知らない・・うるさい!」
いつも自信満々な態度と振る舞いで周囲を圧倒しているS井とは思えないほど弱々しい反応に、潤はドS根性にも似た感覚に襲われる。
「まさか、俺みたいな人間にマジ惚れするなんてな」
潤が立ち上がって腕組みをして悪い笑顔を浮かべると、
「なんだよ、その言い方・・・俺がまるでお前にベタ惚れしてるみたいじゃん!」
拗ねるように呟くと潤の視界からS井が消え、気がつけばその場所にS井がしゃがみ込んでいる。
ヤバ・・・虐めすぎたか。
「悪い・・・」
思わず同情めいた声をかけると、S井が立ち上がり潤をジト目で睨みつけた。